第33話 『初めての冒険者活動④』
気づけば、ラクガンが燃えていた。
常人であれば、普通に燃えて骨だけになる。
俺も、そうなるだろう。
そんな危機に陥っている。
くそ、ラクガンさんが、死んでしま、、、てない?
「アキト、騒ぐな。
我なら大丈夫だ」
ラクガンは燃えているが、
ダメージが食らってないように見える。
「ラクガンさん。大丈夫、、、なんですか?」
「無論だ。」
ラクガンは火を払うように、右腕を振った。
火は、ラクガンの腕の一振りで消えてしまった。
「我は、ベルノール族。
ベルノール族は、尋常ならざるパワーと硬い皮膚を持っている。
無論我もだ。
この硬い皮膚のおかげで、燃えても深部まで燃えず、
火からのダメージも少なく、火傷などもない。」
なるほど、そうか。
ベルノール族はそんな種族なのか。
火からのダメージもなく、パワーもすごいのか。
じゃあ、当然、無傷か。
心配して損した。
まったく、心配させるなよ。
あらかじめ、硬い皮膚だと言っといてくれよ。
それが優しさじゃないか。
まぁ、そんなことは後だ。
「アキト、我のことは気にするな。
お前は操っている者を探せ。」
「どうやって、、、やればいいんですか?」
「知らん。自分で考えろ」
「は、、、はい」
どうしようか。
呪術が効くのは意志のある者のみだ。
この魔物どもは操られている。
そのため、呪術が効かない。
あぁ、考えてもいい案が浮かばない。
一匹ずつ、呪術をかけるか。
そんなことをしても、俺の魔力が消えるのが先だ。
さらに、視界の中にいなければ、一匹ずつも叶わない。
エレナとラクガンでザコを狩ってくれているが、本体を見つけなければいけない。
見つけなければ、依頼も達成できない。
「『炎』」
エレナの3級火属性魔術『炎』を無詠唱で唱えて、
大きな火の玉をビーストベアーにぶつける。
ビーストベアーはエレナの火の玉を受けて体が燃え尽きて灰となった。
「アキトくん。早く見つけてよ。
こうも多いと疲れる。
無詠唱は普通の魔術よりも、魔力をくわれるんだよ」
「あ、、、はい」
エレナにも期待されている。
残念ながら、そんな能力はない。
ただ、戦う能力がないだけだ。
ないから、後ろから見ているだけ。
考えても見てほしい。
ただの大学生が、いきなり異世界にきて、
ギリギリ生きていける能力を得ただけだ。
うまく生きていけるわけではない。
「『火破裂』」
エレナが2級火属性魔術を唱える。
半径10メートルほどの高火力の爆発が起きた。
それによって、5体のビーストベアーが灰となった。
そして、ラクガンがレッドタイガーの火の攻撃を受けながら、
レッドタイガーの間合いまで踏み込み、
2体のレッドタイガーの胴体を半分にした。
レッドタイガーは血飛沫を上げながら、バタンと倒れた。
現在、ビーストベアーが7体とレッドタイガーが3体だ。
エレナの大爆発によって、気温も上がっている。
凄まじい、大爆発だった。
火の壁によって、魔物の逃げ道も防がれている。
魔物は、これから、エレナとラクガンに蹂躙されるだろう。
無抵抗にだ。
エレナとラクガンが強すぎるのだ。
仕方がない。
2級火属性魔術師とステークストさんレベルのパワーを持っているラクガン。
こんなのと対峙したら、普通は死ぬ。
いや、範囲的な魔術か。
そうか。
範囲的に呪術を書ければいいのか。
範囲的に呪術を使えば、自然と操っている魔物のみにかかるはずだ。
俺が使える範囲呪術で1番魔力消費量が少ないもの。
よし。
「聖なる糸よ。対象を縛り上げ、我が人形とし我の思うがままにその場に打ち付けろ。俺の視界のものの時を止めろ『拘束』」
俺が呪術を詠唱をして唱える。
俺の呪術にかかったのは3体だ。
そう、3体かかった感じがする。
そのうち2体にかかった呪術はすぐに解けた。
否。
反発されたのだ。
「おい。アキト。なにをする?」
「そうだよ。なんのつもり?」
俺の呪術を解いたのは、2体は、エレナとラクガンだ。
2人は、俺の呪術をかけた瞬間、瞬時に呪術に反発し呪術を解いた。
長年の癖みたいなもんだろう。
一瞬で解いた。
「すみません。
でも、だが、大丈夫。
司令塔はわかりました」
「そうか。どいつだ?」
「後ろのレッドタイガーの右のやつです。」
「なに?動いているぞ?」
そう、俺の呪術にかかったレッドタイガーは動いている。
4級呪術『拘束』は範囲的に相手の筋肉を硬直させる。
しかし、あの反応したレッドタイガーは動いている。
ちなみに、筋肉を硬直されていたとしても脳は動いている。
そのため、発動している魔術は消せない。
と言うことは、操っているのはレッドタイガーではない。
しかし、反応はあのレッドタイガーからだ。
すなわち、あの場にいるのだ。
「あのレッドタイガーのすぐ近く、もしくは上に乗っている、口の中にいると思われます」
「了解した」
すると、ラクガンは戦斧を構え、そのレッドタイガーに向かって飛んだ。
レッドタイガーを守ろうと5体のビーストベアーがラクガンの前に出る。
ラクガンは体を捻りながら、その5体のビーストベアーの胴体を切る。
ビーストベアーの上半身はぼとりと地に落ちる。
ラクガンはあっという間に、反応したレッドタイガーの間合いに入る。
レッドタイガーはラクガンに恐れを成した。
レッドタイガーは間合いに入った瞬間、ラクガンから逃げようと後ろに向かって走り出した。
しかし、ラクガンはそんなことなかったかのように、レッドタイガーの胴体を切った。
その間に、エレナが他の魔物を火属性魔術で焼き払っていた。
「エルフ、アキト。
正体がわかったぞ。これだ。」
ラクガンはレッドタイガーの背中から1匹の魔物を摘み上げた。
「こいつはヒプノシスモンキーだ」
摘み上げられたのは、猿だ。
白色で片手サイズの小さな猿。
こんなに小さいんじゃ、気づかないわけだ。
全く、苦労をかけやがって。
現在、この白い猿は俺の呪術によって、動きが止められている。
「ヒプノシスモンキーは他の魔物を操る。
どうやって、他の魔物は操るのかはわからないが、厄介な魔物だ。」
「なるほど」
「こいつの首を持って、冒険者ギルドに行けば依頼達成だ。」
「了解」
と言うことで、依頼完了です。




