第32話 『初めての冒険者活動③』
「大丈夫ですか?」
俺がラクガンとエレナに追いつくと、2人が大量の魔物と戦っていた。
2人が戦っている周りは火の海だ。
きっと、エレナの火属性魔術によって前ているのだろう。
「ああ。来たか、アキト」
「はい。遅くなってしまい申し訳ありません」
俺が近くまで行くと、ラクガンが俺の方まで飛んできた。
「敵はどんなのですか?」
「まだ、わからん。
だが、この場にはさっきのビーストベアーからした特殊な匂いが全ての魔物から匂う。
きっと、ここにいる全ての魔物が操られているのだろう。
操っている主体はまだわからん。
個々の力はそこまでだが、数が多い。引き締めろ。」
「はい!」
この中のどこかに、操っている張本人がいる。
どんな見た目なのかはわからない。
「『炎』」
大きな火の玉が放たれる。
エレナだ。
エレナの3級火属性魔術が魔物にめがけて飛ぶ。
炎のあたった魔物は廃になった。
なんと言う威力だ。
俺がカルコネアで教師をしていた時の俺に舐めてきた生徒クロレッツの数倍の威力だ。
さらに、無詠唱。
さすがはエレナだ。
「アキトくん!」
エレナは、俺に気付き、風魔術をうまく使い、俺の方まで飛んできた。
「アキトくん、大丈夫だった?」
「はい、大丈夫」
「よかった、数は見ての通り、大量だ。
僕が風魔術で空を飛んで確認したけど、
ビーストベアーが15体ほどに、
レッドタイガーが5体。
この中の誰かが操ってるのか、それとも、いないのかわからない。」
「了解」
エレナの戦闘モードだ。
こうなると、いつものノーテンキand天然が消える。
冷静沈着となる。
真面目だ。
真面目エレナだ。
いつものニコニコ笑顔が、真剣で笑いゼロな顔だ。
こんなエレナもかわいい。
「おい、アキト。
なにをニヤニヤしている。
ここは戦場だ。気を引き締めろ。
引き締めなければすぐに死ぬぞ。」
「す、、、、すみません」
「でね、アキトくん。
特に、レッドタイガーは火を吹くから気をつけてね。
操られているからか、連携をとってくる。
レッドタイガーが後衛で、ビーストベアーが前衛。
常に360度気をつけて、戦うんだよ」
「はい!」
きっと、ビーストベアーを相手をしていると後ろから攻撃されるんだろう。
「我らが、ビーストベアーを5体潰している。
残り、ビーストベアーが10体、レッドタイガーが5体だ」
俺が来るまでに、そこまでやったのだろうか。
たかだか、5分程度だ。
5分でそこまで削ったのか。
さすがはエレナとラクガンだ。
心強い。
「アキト、お前は戦うな。」
「え?」
戦力外通告ですか?
なんでよ。
「そりゃ、お前は呪術師だろう。
呪術が使えない相手ならば、お前は役にたたん」
確かに、そうか。
でも、ちょっと言い方ひどくありませんかね?
いやね?確かにその通りだけども。
「お前には、操っている奴を探してもらう。
後ろから、戦場全体を見て、相手の状況を見ておけ」
「はい」
「じゃあ、我がこの戦闘でも前衛を務める。」
「わかった、僕は後衛」
「俺は敵の司令塔を見つけるんですね」
「ああ。よし、行くぞ」
そう言って、ラクガンは飛び出していった。
あの、バカでかい戦斧を振りかぶって、ビーストベアーの間合いまで入る。
秒数にして、1秒ほどだ。
1秒ほどで、20メートルほど移動した。
とてつもないスピードだ。
しかし、この速さでもこの世界では中の上くらいだ。
ステークストさんなら、1秒あれば200メートルは移動するだろう。
ちなみに、この世界では、魔力の含まれたものならば、物理法則は当てはまらない。
魔力を気のようにまとえば、作用反作用はない。
ちなみに、この魔力の気のことを『闘気』と言うそうだ。
そのため、速いからと言っても、衝撃波が生まれたりはしない。
しかし、ラクガンも、ものすごく速いな。
俺では、目で追えない。
さすがと言うべきなのだろう。
ラクガンがビーストベアーの懐にはいると、
ビーストベアーが大きく右腕を振りかぶった。
しかし、ラクガンは体を捻り、ビーストベアーの右腕を切った。
ビーストベアーの右腕がぼとりと下に落ちる。
「ゴァァァ」
その場で、ビーストベアーが大きな声をあげた。
痛そうだ。
その、叫びに間髪入れずに、ラクガンはビーストベアーの首を切った。
ビーストベアーの首もぼとりと地に落ちる。
飛びついてから、わずか10秒もたっていない。
その間に、エレナも3級火属性魔術で他のビーストベアーを消し炭にしていた。
あっちもこっちも、圧倒的な差だ。
余裕そうだ。
これなら、負けることもないだろう。
さて、俺は司令塔を探さなければ。
どこだ。どこにいるんだ。
どうやって、探せばいいかわからないが、
常に全体を見なければ。
ラクガンの方で、ビーストベアーの首が落ちて、体も倒れた。
体が倒れると、その後ろから、レッドタイガーが火を吹いた。
そして、ラクガンはその火を避けることなく、受けた。
そのまま、ラクガンは燃えた。
「ラクガンさーん!!」




