第30話 『初めての冒険者活動①』
現在、冒険者として依頼を受けて森に来ている。
この森に住む魔物を退治することが依頼達成の条件だ。
この森に住む魔物は、誰も見たことがないそうだ。
否。
この森に入った冒険者が戻って来ないからだ。
誰も見たことがないのではなく、見たものは全員が死んでるのだ。
「アキト、気をつけろ。
森には、お前らが思っているほど甘くはない。」
「はい。よくわかってます。
アース大陸でも森は危なかったですから」
アース大陸でもどこでも、森は危ないのだ。
森の中の魔物は昼夜常に活性化している。
そんなに強くない魔物でも活性化すれば、何十倍にも強くなる。
なにやら、森のには魔力がとてつもなく、こもっているそうだ。
魔物が森に大量に流れている魔力を体に取り込んで、活性化する。
だからこそ、森は危ないのだ。
「なにを言っている?
アース大陸とデザーム大陸の森の危なさが同じなわけがないだろう。
アース大陸の数倍は危険な区域だと考えておけ」
「了解です」
確かにその通りだ。
アース大陸とデザーム大陸を比べたら、デザーム大陸は相当危ない。
気をつけていかなければ。
「そうだよ、アキトくん。
僕らがいるとしても、あんまり気を抜かないように」
「もちろん」
よし、気持ちを切り替えて、いつでも戦えるように、
すぐに杖が取り出せるようにしておこう。
いや、もう、杖を持っておこうかな。
俺はカバンの中に入っている杖を取り出した。
この杖はステークストさんが作ってくれたものだ。
あの自称『神』ではなく、ステークストさんだ。
ステークストさんは大丈夫なのか。
ーーー
『カサカサ』
森の中を歩いていると、草の中を何か歩く音が聞こえた。
「アキト!魔物だ!」
「アキトくん!構えて!」
「了解です」
カサカサという音を立てながら、こちらに近づいてくる。
「エレナ、どの方かわかる?」
「静かに!聞こえない。
、、、、ん?10時の方向!」
10時の方向か。
そちらを向いて、杖を構える。
ドンとこい。
『カサカサ』
どんどん近くに来ている。
もうそこにいる。
音が近い。
「ガァァァー!!」
魔物が木の影から出てきて、威嚇してきた。
見た目は熊にツノが生えたような見た目だ。
大きさは5メートルほど。
爪が長く、目が鋭い。
「ビーストベアーだ。強力な魔物だ。
おい!エルフ!我が前衛を務める。
エルフとアキトは後衛だ」
「エルフじゃなくて、エレナね!
了解だよ」
「了解です」
俺は杖を構えて、戦いの準備をする。
俺が、呪術を魔物にかけてから他2人がやっつける。
完璧だ。
「では、俺が呪術で動きを止めます」
「ああ」
その声を聞いて、ラクガンは戦斧を肩から抜き、飛び出した。
よし、呪術をかける。
ふっ、、、
「『束縛』」
あ、、、あれ?
かからない。
というか、魔力が減らない。
いつもと魔力の流れ方が違う。
うまく発動できない。
「どうした、アキト」
「すみません。うまくいかなくて、、、」
いつものように、体が動かない。
魔力が相手に流れ込まない。
「そうか。まぁ、大丈夫だ。我に任せろ」
ビーストベアーがラクガンに右手を大きく振り上げて、爪をたてて、振ってきた。
その、一撃をかるく左手で止めた。
左手で掴んだ、ビーストベアーを投げ飛ばした。
なんというパワーだ。
信じられない。
ビーストベアーは投げ飛ばされて森の木にあたった。
『ガァア』
再び、ラクガンに向かって、飛んでいった。
ビーストベアーは再び大きく右腕を振りかぶり、ラクガンを殴る。
ラクガンはさっきと同じように左手でビーストベアーを投げ飛ばした。
「なるほどな。
アキト、こいつは今、他の何者かに操られている」
「え?」
「操られているから、呪術がかからんのだ。
ビーストベアーは魔物の中では比較的賢い。
我に、勝てないとわかればすぐに逃げようとするからな」
そういうことか。
呪術は、相手の意志にかける魔術だ。
相手の脳にかけるようなもんだ。
そいつの考えで動いてないということは、かからないわけだ。
「ガァー!」
ビーストベアーが再びラクガンに向かって飛んでいった。
ラクガンは戦斧を構えた。
ビーストベアーがラクガンの間合いに入ると、
ラクガンは一瞬でビーストベアーの首を刎ねた。
「うわー、すっご。
ラクガンくんって、こんなに強かったんだね。
アキトくんから話は聞いていたけど、見るのは初めてだからさ」
「くんだと?
我をなめているのか?」
「え?ダメだったの?」
「当然だ」
3メートルある男がなぜ君付けにできるのだろうか。
どう見てもくんじゃない。
様でもないが。
「アキト、エルフ。
森を散策するぞ。この森のどこかに、ビーストベアーを操っていた魔物か人間かがいるはずだ。
きっと、そいつが森に住む魔物の正体だ」
「だから、エレナ!
そうだね。早く、探しに行こう」
さっきは、操られていたから呪術がかけられなかった。
だが、次は違う。
操っていたやつには絶対に呪術はかかる。
「了解です」
俺らはそのまま、森のおくに入っていった。




