第27話 『助けて!エレナが嫌われてます』
「あの、ラクガンさん。俺のそんな人じゃないし、信頼できる人です」
「ふん。エルフは信用しない方が吉だ」
そういうと、ラクガンは何か昔のことを思い出すように明後日の方向を向いた。
「あの、ラクガンさん。
昔、何かあったのですか?」
「あぁ。まぁな」
「できれば、何があったか教えてもらえませんか?」
「、、、、。
我が幼い時、集落が襲われたことは言ったな」
「はい。以前聞きました」
「その時に、銀髪の不気味な男が1人で攻めてきた。しかし、1人できたわけではなかったのだ。その男に2人の女がついていた。そのうちの1人はエルフだったと戦っている我の親が叫んでいた。その日からエルフは信じないと決めたのだ」
なんとも勝手なことだ。
でも、言いたいことはすごくわかる。
自分を襲った奴の仲間がエルフだったから、全てのエルフが敵に見えるんだ。
「わかりました。しかし、エレナはエルフであってもラクガンさんの昔のようにはなりません」
「ふん。どうだかな」
「あのー、僕、どうしたらいいのかな?」
エレナが俺にこしょこしょと言ってきた。
エレナも嫌がられてると感じて、焦っているようだ。
「いや、多分どう言っても変わらないと思う。下手に何か言って、不機嫌にさせたりしたら面倒だし」
「ん?アキトくんは僕を信用してないの?」
エレナはぷくーっと頬を膨らませて、
いじけたように言ってきた。
まるで5歳児のようだ。
ほんとに1200歳を超えているのだろうかね。
「いやいや、エレナのことは信用も信頼もしているよ。
でも、ラクガンさんはエレナを見るときに偏った考え方で見るから、たとえ良いことを言ったといても疑われるのがおちってことだよ」
「そっかー。なんとかできないかなぁ。
ていうか、ラクガンさん?って体が大きいね」
「え!?今ごろ?」
あんまり、驚かなかったし、見慣れているのかな。
さらに、あった瞬間に言うんじゃなくて、ちょっと経った今にいうのか。
まぁ、いいか。
「あぁ、なんか、ベルノール族っていう種族の魔族だそうで体が大きいんだ」
「へぇ、巨人族よりかは小さいけど、大きいなぁ。」
そういうことか。
巨人族をみたことがあるから、あまりおどろなかったのか。
巨人族って、どんだけでかいんだろうか。
「おい。アキト、何こそこそはないてるんだ?」
「いえ、なんでもありませんよ」
「さて、これからのことを今から話したいのですが良いでしょうか?」
「あぁ。このエルフも一緒に話をするのか?」
「当然です」
「当然?なぜ当然だ?」
「エレナも一緒にアース大陸に行くからです」
「ほう?エレナを仲間にするということか?」
仲間にする?
いやいや、元から信頼し合う仲間だ。
「言っていませんでしたが、エレナは転移前からの仲なのです。
エレナと転移魔術をかけられ、デザーム大陸へと飛ばされました。
ならば、ここからすることはエレナと俺が協力してアース大陸を目指します」
「エルフと共闘するのか?
信頼できるのか?
我は貴様を友だと思っておる。
我は友の失敗を見過ごすわけにはいかないのだ」
やばい。
ラクガンに惚れそうだ。
年齢も、、、20代くらいだろうか。
いや待て、ラクガンは男だ。
男の趣味はない。
「俺もラクガンさんを友だと思っていますよ。
しかし、エレナは、友以上に思っています。
エレナと一緒に行くのが1番です」
ラクガンが俺を睨んでくる。
俺はそんな圧には負けず、睨み返した。
数秒睨み合った後、ラクガンが口を開いた。
「そうか。
貴様の選択を尊重しおう。
だが、常に注意を払えよ。」
「もちろんです」
そう言って、エレナを見た。
エレナは『え?そんなこと思ってたの?』みたいな顔だ。
違うんです。
ラクガンに合わせないといけないからだよ。
俺は断じてそんなことは思ってないから!
信用してるから!注意なんて払ってないから!
「そうか。ならば良い。
では話そうか。これからどうするつもりなんだ?」
「はい。
最終的な目標はアース大陸のカルコネアに戻ることです。
戻るためには、宿代や食事代などのお金が必要となります。
お金を得るために冒険者になろうと思います。
冒険者となり、毎日お金を稼ごうと考えてます。
冒険者はEからSランクがあり、そのランクごとで受けられる依頼内容が変わり、報酬も変わります。
そのため、できるだけ、数多くの依頼をこなし、ランクを上げようかと。
俺は無詠唱で魔物の動きを止められますし、
エレナは軽くここら一帯を吹き飛ばすほどの魔力を持ってます。
戦闘面では問題ないかと。
そして、メインは徒歩での移動と考えてます。」
エレナも頷いている。
エレナに話していなかったが、同じようなことを考えていたようだ。
俺の考え方やプランは間違えてなかったようだ。
「そうか。
アキトよ。
貴様の考えはよくわかった。
それは当面の目標だな。
では、明日はどうするんだ?」
「明日、、、
エレナ。どうします。」
「そうだね、僕は明日から冒険者ギルドに行って冒険者登録をしても良いと思う」
「うん。そうだな。
俺も賛成する。明日、冒険者登録をしに行こうか。」
「了解」
「明日に行くのか。我も行こう」
「あれ?ラクガンさんも冒険者登録しようとしてるんですか?」
「ああ。お金が貯まるまでこの街にいるだろう?」
「はい。お金がなければ移動できませんからね」
「うむ。この街で冒険者をするならば我も手伝おう」
「そんな。今まで、こんなにお世話になってきているのに」
ほんとにそうだ。
いや待てよ?
もしかして、自称『神』の手先か何かなのか?
あの金髪の青年みたいな。
なんか、そう考えるとそうとも見えてきた。
「かまわん。暇つぶしだ。我にはそう友もおらぬ。友のために尽くすことは当然だろう」
なんか、あんまりピンとこない理由だ。
やっぱり、手先か?
ラクガンの方が警戒した方がいい気がするぞ?
「ありがとうございます」
「エレナもそれで大丈夫だよね?」
「うん。オッケー」
よし。明日からの日程は決まった。
寝るか。
おやすみ。
ーーー
ーラクガン視点ー
急にアキトが路地裏に行くといった。
やつは等級に関係なく呪術が効くし、無詠唱でも使えるため、あまり、心配していなかった。
だが、仲間を作ろうと思うなら、どう考えたって、冒険者ギルドだろう。
アキトなりの考えがあってのことだと思った。
しかし、連れてきたのはエルフだった。
それも、洗練された魔力を持ち、相当な実力を持った女だ。
アキトも相当強い。
呪術師でアキト以上に戦闘に向いたものはいないだろう。
呪術とはもともと、拷問や尋問のために行われ得ていたものだと聞くしな。
そのため、呪術は戦闘向きではないのだ。
自分より弱い者にしか効かぬし、魔力消費量も激しいからな。
従って、アキトは呪術師としてはもう、完成形と言ってもいい。
だが、アキトは過去の盟友だと言ったが、ここで連れてくるのはタイミングが良すぎる。
もしかしたら、このエルフに騙されているだけかと考えた。
いや、そうとしか考えられない。
馬鹿っぽく見えるが、それも演技だろう。
我は友を救う。
数日も共に行動すれば友だ。
信頼できれば友だ。
友は守るべき存在だ。
2度と、我の元から離れないように。
そのため、当分の間、エレフを監視する。
問題がなければそれはそれでいい。
が、しかし、問題があるならば、、、、殺す。
それが、アキトに嫌われてもな。




