第26話 『久しぶりのエレナ』
「今ままで、どうしてたの?」
「いやぁ、大変だったよ。
いきなり変なところに飛ばされて、北も南もわからないところでなんとか、生きて、ある人に助けてもらって、、、。とにかく、いろいろだよ」
「そうなんだね。大変だったね」
「てか、エレナも大変そうだったけど?」
「ん?何が?」
「いや、今あの馬ズラに絡まれてたよね?」
おいおい。
この人、絡まれてたことをわかっていなかったのか?
1200年も生きてると場数を踏んでるということか。
なんの場数かは言えないぜ。
「あぁ。そうだね」
「エレナも大変そうだったね」
「ははは。そうとも見れたね。」
エレナは流すように笑った。
気にしていないようだ。
この人はなんだろう。
天然?というやつなのか。
「てか、なんで反抗しなかったの?」
この人は火属性魔術ならば無詠唱で唱えられるはずだ。
あんな馬ズラ、骨すら残らずに消し炭にできるだろう。
「いやぁ。そんなことする相手じゃなかったしね。それに、僕が魔術なんか使ったら、ここら一体吹き飛んじゃうよ。あと、アキトくんが助けてくれたでしょ?」
確かにそうだ。
エレナの魔術は規格外だ。
火属性魔術のみならステークストさんに匹敵するぐらいだ。
そんなのが魔術を使ったら、あの位置にいた俺も危なかったか。
「俺が助けに行くなんて保証なんてないじゃないか」
「ははは。まぁ、いいじゃないか」
そうだった。
自分で言って忘れてた。
この人はノーテンキで『天然』だ。
「じゃあ、こんなとこにずっといたら、鼻がおかしくなっちゃいそうだから、早く出よ」
「そうだね。
あれ?そんなこと考えてるなら、なんで路地裏なんかにきたの?」
そうだよ。
俺は自称『神』に言われたからきただけであって、エレナはなんで?
こんな臭いところに普通好んではこないだろう。
「あぁ。それは、、、、
なんでだっけ?
多分なんとなくだよ」
なんとなくか。
そりゃあ、ノーテンキand天然だからな。
納得だ。
「さ、ほら!」
俺は、エレナに腕を引っ張られて路地裏からでた。
「エレナは宿とか借りてるの?」
「いや?ずっと、野宿だよ」
え?
この人、だから、こんなに泥だらけで匂いが強いのか。
宿のようなところじゃなければ、水浴びはできない。
「では、俺の借りている宿に行こうか」
あれ?
俺、女の子を家に誘ってる?
いやいや。
そんなことはない。
そんなことをしたことはない。
そういったことを今日するつもりはまったくない。
俺は健全な男だ。
「オッケー。で、どこ?」
「この街の北側にある宿なんだけど、ここって、どちらかといえば南側だから、反対側に行かなくちゃ」
「了解。
さ!行こ。水浴びがしたい」
待て待て、俺の宿の部屋で水浴びをするのか?
そんな、俺は理性を保てるのか。
大丈夫と信じたい。
ーーー
宿に戻ってきた。
現在、エレナは俺の部屋で水浴びをしている。
俺の泊まってる部屋はベッドが3つ置けるくらいの広さだ。
6畳くらいの部屋だ。
もちろん、こんな広さだから、エレナが水浴びをしたら、俺の視界に入ってしまう。
そのため、今は宿の外で待機している。
見たいなんて、、、、
少しくらいしか思ってないからね。
偶然見てしまうのは大丈夫、、、、
ダメだ。
気を確かにしなければ。
「おーい。アキトくん。あがったよ」
「はーい」
あがったようだ。
さてと、戻るか。
「開けるよ」
「いいよー」
俺はドアを開けた。
そこには、裸、、、、
ではなく、服を着たエレナがいた。
偶然は起きなかったのか。
クソゥ。
自称『神』よ。こういう時に力を発揮してくれ。
「この水、捨ててくるね」
エレナは半径1メートルほどの大きな桶にためた水を窓から捨てた。
「ねぇ、エレナ。転移してからエレナは何をしてたの?」
「あー。僕は数日前にちょっと北に行ったところに転移して・・・」
北の方角?
転移先は俺と近かったのか?
やはり、転移魔術には誤差が生じるのだな。
「・・・そして、ここにきて、僕の持ってた少しのお金を冒険者ギルドで両替して、
そのお金で2日ほど生活したんだけど、宿のお金を出すほどなくて、
お金も少なくなってきてたんだよ。ほんと、助かったよ」
「いや、全然。俺も、人に助けてもらっただけなので。
この宿もその人に出してもらってるだけで、、、。」
そうだな。
ラクガンには相当お世話になっている。
お金の面でもな。
宿代なんて馬鹿にならんでしょうに。
ステークストさんレベルのお人好しだ。
「へぇ。いい人に助けてもらったんだね。
で?その人誰?」
「そうだなぁ。身長が3メートルくらいあって・・・」
「3メートル!?巨人族?」
当然の反応だ。
俺も言葉だけならこんな反応をするだろう。
「魔族だよ。力が強いんだ。力だけならステークストさんを超えるかもしれないくらいに」
「えぇ?そんな奴がいるの?」
「身長が3メートルで力が強くて、お人好し。
ぜひ会ってみたい」
「今日は、もう夕方なのでもうそろそろ帰ってくるよ」
「ほんと!?」
すごい。
尻尾と犬耳が見える。
大型犬みたいだ。
かわいい。
ーーー
「アキト。帰ったぞ、、、、誰だ?お前は」
「僕の名前はエレナ!君がアキトくんを助けてくれたんだよね?」
「ふん」
ラクガンは嫌そうな、不機嫌そうな顔をした。
「アキト。エルフは信用するな」
「え?」
ラクガンがいきなりそう言ってきた。




