第22話 『大男の力』
「どうした?ついてこないのか?」
「いえ。いきます」
俺は、このバカでかい戦斧を持った大男と共にラトネアに向かって出発した。
俺の思った通り、太陽の方角に行くそうだ。
さすがは俺だ。
さえてる〜!
「貴様の名前は、、、なんだっけか?」
「俺の名前は、フィフ・・・」
「どうした?」
「俺の名はアキトです」
「そうか。変わった名だな」
俺は最近、この世界にずっといてもいいと思っている。
最初は『戻りたいなぁ』とか思うことはあった。
だって、ご飯が美味しくないんだもん。
でも、今ではこの世界もいいところに感じる。
住めば都ってやつだ。
この人に本名を言っても大丈夫な気がする。
あの胡散臭いやつを見たからだろうか。
この人から、殺気というものは感じないし、
体から滲み出る優しさを感じる。
だからこそ、彼には俺の本名を教えるんだ。
てか、人族じゃないから、そもそも人族の名前なんてあんまり気にしないだろう。
「あの、あなたの名前も聞いてもいいですか?」
「我か?我の名は、『ラクガン・ベルノール』だ」
「ラクガンさんは巨人族なんですか?それとも魔人族ですか?」
「我は、魔族だ。魔族『ベルノール族』の生き残りだ」
なるほど。
クライブの言っていたことは、そういうことか。
苗字に族名を名乗るってことか。
この人は、ベルノール族という族の1人ということか。
「ん?生き残り?」
「ああ。そうだ」
やばい。
地雷を踏んでしまったか。
生き残りってことは、元は仲間がいたが、この人以外死んでしまった、もしくは殺されてしまったということだろう。
キツかろう。
1人はキツくて当たり前だ。
だから、1人で生きようとして、他人を寄せ付けないようなさっきみたいな行動をとるのだろう。
「我が生き残りということが気になるようだな」
「え、、、まぁ」
まずい。
気づかれてしまったのか。
顔にはできるだけ出さないように心がけていたのだけどな。
「我は昔、戦ったんだ。ベルノール族は他族とは違い、団結力が強い。そのため、戦う時も族の全員で戦った。しかし、ある男と戦った時、我らは歯が立たなかった。その当時、幼かったために1人だけ逃された。ということだ」
「そう、、、なんですか」
話が重い。
重すぎだろ!こんな重い話をされた時、どう返答すればいいかなんて、元の世界でも習っていないぞ。
こんな話をするということは、もう克服しているのだろう。
「ただの昔話だ。我も幼かったため、どうして戦ったのか覚えてなどおらんが、姿は覚えている。足がすくみそうなほどに恐怖の見た目だった」
この人のような強そうな人たちしかいないであろう人たちに圧倒的な力でねじ伏せたというのは恐怖そのものだろう。
俺が、知る中だったら、ステークストさんくらいしかできなそうだ。
あっ、あの金髪の青年もステークストさんと戦えていたしあの子もいけるだろう。
「そんなところ、、、、ん!?」
どうしたのだろうか。
ラクガンは肩から斧を抜いた。
殺気だ。殺気を感じる。
一度も、この人からは感じたことはない。
「魔物だ」
「え?」
現在、朝だ。5時くらいかな。
太陽がちょうど出てきている。
日の出の時間だ。
そんな時間に魔物が出るとは。
てっきり、夜に出なかったからこの辺りには魔物はいないかと思っていたからな。
「おい。何をしている?構えろ」
「あっ、はい」
俺は、杖を持って構えた。
よし、いける。
どこからでも来い。
『ドン』
大きな音が聞こえる。
さらに、地震のような地響きもする。
この音はどこから、、、、
見渡す限りでは見当たらない。
『ドン』
まったく、どこだよ。
『ドン ドン ドン』
何度も地響きがしてきて、音も大きくてったきている。
近づいてるってことか。
どこだ。
東西南北のどの方角にもいない。
くそ、どこだ。
空、、、、
否。
空であれば、こんな音はしないだろうし、こんな地響きもしないだろう。
『ドン ドン ドン ドン ドン』
この音は、、、、、下だ!
地を潜っているのか。
「ラクガンさん、下です!潜っていると思われます」
「うむ、わかっておる」
そう言って、ラクガンは戦斧を大きく振りかぶり、
そのまま、大地を叩いた。
『バァーン』
さっきの音の数倍の音が響き渡った。
砂埃が上がっている。
そして、地面に亀裂が入り、この辺りの大地がボロボロだ。
さらに、地響きがなった。
地響きというよりも、巨大地震だ。
立ってられない。
俺は、ラクガンの一発によって、俺は立てなくなり膝をついた。
膝だけでなく背中全体がついた。
『ギャー』
ラクガンの一撃によって、魔物が地面から叩き上げられた。
その魔物はモグラのような見た目だ。
そうか、モグラか。
地中にいるのも頷ける。
「出たぞ。我がやろう」
「了解です」
ラクガンが今までにないほどに殺気を放った。
そして、殺気を放ったままモグラの方に歩いた。
『ギャー』
モグラはラクガンに気づいた瞬間に吠えた。
モグラも戦闘体制をとった。
牙と爪を見せて、挑発している。
そんなことにラクガンは恐れることはなく、そのまま歩き続けた。
ラクガンが近づくにつれて、モグラが威圧されていることがわかる。
モグラの殺気はラクガンの殺気に比べると月とスッポンだ。
モグラはラクガンへの恐怖でまともに動けていない。
モグラの殺気もほぼないようなものだ。
そのまま、モグラとラクガンは互いの間合いに入った。
ラクガンは余裕そうだ。
それに対して、モグラは焦りが隠せていない。
『ギャー』
モグラは大きく振りかぶり、ラクガンに爪をたて、殴ろうとした。
それに対し、ラクガンは左腕一本で受け止めた。
そのまま、右手に持った戦斧でモグラの胴体を真っ二つに切った。
緑色の血飛沫が上がっている。
モグラの上半身は吹き飛び。
下半身はそのまま倒れた。
ラクガンはとてつもなく強い。
ラクガンさんの力を数値化したら、パワーがカンストしてそうなほど、パワーが凄まじい。
体がでかいことも納得の力だ。
「終わったぞ」
ちなみに、俺は倒れたままだった。
びっくりして腰が抜けてしまった。
治療で治したがな。
「ありがとうございます」
「ああ。大丈夫だ。さぁ、行くぞ」
「はい」
「貴様、飯を食っているのか?」
「いえ」
「このモグラを食うぞ。朝飯だ」
え?このモグラを食うの?
まずいだろ。
モグラはあり寄りのなしの味だ。
出されたら渋々食べるが、好き好んでは食べない味だ。
そうだな、まずい豚肉の味だ。
アキトの食べログ評価☆1、5だ。
そのまま、俺らは、太陽の方向に歩いた。
2日後。
「ついたぞ」
「え?」




