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第16話 『こんな感じで授業やってます』

 授業をするようになってから、1ヶ月がたった。

 順調だ。

 授業は、お世辞にも質の良いものだとは言えないが、生徒はみんな聞いてくれている。

 威厳は保てているようだな。


「おす!先生、おつかれっす。」


 この声をかけてきた生徒は、舐めてきた生徒だ。

 彼の名は、『クロレッツ』だ。


 なぜかわからないが、彼は俺に懐いている。

 この子は、正直、天才と言われるような子だ。

 生成魔術は全て3級。

 付与魔術は、治癒魔術と呪術のどちらとも4級だ。

 もともと、呪術は一切できなかったが、教えたらすぐに習得してくれた。

 

 前にも言った通り、3級生成魔術師か、4級付与魔術師であれば王宮魔術師になることができる。

 彼はもう、そのレベルになっていることだ。

 そして、3級と2級の難易度の差は10倍以上だ。

 これからだ。

 きっと、彼はこれからも成長するだろう。

 

「やぁ、クロレッツくん。調子はどうですか?」

「はい。絶好調っすよ」

「それはよかった」

「今日は授業っすね」

「そうですね。今日も頑張りましょうか」

「もちろんすよ。そろそろ、3級呪術を教えてくださいよ」

「そうですね。でも、まだ力が足りません。またの機会にしましょ」


 この子は向上心が人一倍だ。

 まあ、この学校で1番自分の力を過信している。

 自信を持っているのは良いことなんだけどな。

 過信は良くない。過信しすぎるといつか失敗するからな。


「ちぇ。でも、先生はすごいっすよね。あんなに感覚の掴みづらい呪術を2級まで極めてるんだからさ」

「それほどでもありません。俺は逆にクロレッツくんほど生成魔術はできませんからね」

「そうだな。先生、生成魔術はまだ4級だもんな」


 そう、俺はもともと風属性魔術のみ4級だった。

 でも、今では全ての生成魔術で4級を扱える。

 俺も日に日に成長しているのだよ。


「はい。面目ないです」

「先生よ、やっぱ、俺とパーティ組みません?」

「断ります」

「なんでさ!俺にできないことは先生にできるし。先生のできることは俺にできる。良い連携が取れそうじゃないですか。歳だって4つしか変わらないのに」

「俺には、まだ学ばなければいけないことがありますからね」

「ガリ勉っすか?」

「なんとでも言ってくれ」


 こんな感じで、俺は順調だ。

 これから、授業か。

 今日は4級呪術を教えるかな。

 

 よし、授業の始まりだ。


「おい、アキト。呪術の授業の調子はいいみたいだな」


 ドアを開ける前にステークストさんに声をかけられた。


「はい。おかげさまで順調です。でも、ちょっと悩みがあるんですけどね」

「なんだ?」

「授業内容です。少し、何をやるか困ってましてね」

「そうなのか。でも、ただ単にやるよりも工夫して、わかりやすくやるのが必要だな」

「それが難しんですけどね」


 どうしたもんか。

 どうやったら、わかりやすく教えるにはどうすれば良いだろうか。


 そうか!

 イザベルの授業みたいに、語源を教えるように仕組みを教えれば良いのか。

 これがわかりやすい授業だ。

 俺の元の世界の英語の先生も、語源や大元の意味を教えてくて、すごくわかりやすかった。


 そうと決まれば、呪術の効果などをわかりやすく、仕組みから話すか。

 前、ステークストさんから聞いたことを少し俺の思うことを含めて言えば良いかな?


 よし。

 教室のドアを開けて、いつも通りの授業の始まりだ。

 

「みなさん、こんにちは。お疲れ様です。それでは授業を始めます。今日は座学です。

 呪術とは何か、そしてどのような効果を与えるのかを話します」

「先生!」

「なんですか?」


 クロレッツが発言してきた。

 なんだろうかね。

 

「生成魔術の授業でもそんなことを習った覚えはないんすけど」

「確かにそうですね。でも、これを理解すれば格段に呪術について理解でき、レベルが向上するでしょう」

「そうなんですか」

「はい。それでは始めます」


 出だしはあまり良くはない。

 生徒はあまり良さそうな顔をしていない。

 よくわかってなさそうだ。

 でも、話し始めれば、きっと興味を持ってくれるだろう。


「いいですか?みなさん。これから、呪術はどのようにかかっているのか話します。

 まず5級呪術。5級には2つあって、相手の筋肉を収縮させる術と、魔力の消費量を格段に増やす術だ。

 そして、4級。4級は5級の呪術の範囲を広げたものだ。5級は1人のみにかけるが4級だとは半径10メートルの生物にかける。

 3級は、相手の視覚と聴覚を無くすことができる。これは、範囲的なものかただ1人のみにかけられるかは魔力の使い方によって変えられる。すなわち感覚だ。この感覚が掴めなければ、詠唱をしてもずっと1人のみにしかかけられない。

 2級は、相手の5感と体の神経を無くすことできます。かけられれば、何もできません。これも、3級同様に感覚を掴めば範囲的に唱えられる。この前、クロレッツにかけた呪術だな」

「ははは、先生、あのことは出さないでくれ」

「すみません」

「でも、その時に感じることはありませんでしたか?」

「ああ、あります。呪術は普通なら自分の魔力で反発すればとけました。でも、あの時は反発しても解けませんでした。何か、大きい力で反発できないようになってました」

「いいことに気が付きましたね。呪術は前にも言った通り、自分より弱い人にのみ使うことができます。しかし、自分の魔力で反発すれば簡単に解くことができます」

「じゃあ、なんでですか?」

「それはですね。呪術による消費魔力と同等の反発がなければとくことはできません。なので、あなたたちが使うような5級や4級のような魔術は簡単に反発できても、2級のような莫大な魔力を消費する呪術には反発できない」

「あ!そうか。だからか」


 何か察してくれたのだな。

 わかってくれてるみたいだな。

 

「そして、5級魔術でも解けないように消費魔力を増やすことができます。これも感覚です」

「先生はできるんっすか?」

「はい。それなりに時間はかかりましたが、その感覚をわかっているつもりです」


 この感覚はステークストさんとの練習によって習得したものだ。

 この感覚を習得するのに、数ヶ月かかった。

 相当難しい。 

 

「よし、今のことを実践しましょうか」

「よっしゃ、俺が相手をしましょう」

「ありがとうございます」


 クロレッツがでてきてくれた。


「それでは、やってみましょうか」



ーーー



「それでは、授業を終わります」


「先生!」


 教室を出たら、クロレッツがでてきて、俺に声をかけてきた。


「やっぱり、先生の授業は最高ですね」

「ありがとうございます」

「ほんと、わかりやすいです」

「ははは、まだまだですよ」

「ということで、俺とパーティ組みませんか?」

「嫌です」


 クロレッツは粘着質だな。

 まったく、ガムみたいだ。

 でも、こういう奴はクラスにいるとありがたい。

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