第15話 『授業を始めます』
と言うことで、威厳を見せつけることができました。
どうやら、俺はだいぶ強くなってるらしい。
せこいとは言うなよ。
これも戦略よ。
そもそも、呪術師は仲間の援護がメインだ。
魔術師も含めてな。
魔術師は単体でも戦える人もいるんだから、呪術師にハンデをくれてもいいだろう。
でも、俺も単体で戦えるようにはなりたい。
今度、ステークストさんあたりに戦い方を聞いてみるか。
一昨日、舐めてきた生徒と戦って、圧勝して、
それから舐めてくる者はいなくなった。
そして、今日から俺の授業のはじまりだ。
初めてだから、最初は流れを掴む感じでいければいいな。
「おい、アキト。先日、1人の生徒と決闘したそうだな」
「はい。え?何かまずかったですか?」
「いや、問題ない。それで、勝ったか?」
「はい。問題なく勝てました」
「そうか」
なんか、ステークストさんが嬉しそうだ。
口角が少し上がってる。
いつもはそんな顔を見せないのにね。
やはり、教え子の成長というものは嬉しいのだろう。
「呪術師の対人戦の訓練などしていないのに、よく勝てたな」
「はい。普段からイメージしていましたからね」
「そうか、どうやったんだ?」
「相手が詠唱している間に腹パンしました」
「そ、、、そうか。でも、いい考えだ。しかし、無詠唱でできるものには通用しん。肝に銘じろ」
「はい」
厳しいな。
でも、気分がよさそうだ。
「今日から、授業だな。もう、お前は舐められていない。胸を張っていけ」
「はい!」
しゃあ!
やってやるぜ。
ーーー
さて、今から授業です。
俺の目の前に教室のドアノブがある。
昨日は会えた瞬間に喧嘩をふっかけられた。
今日はそんなことがないように祈ろう。
俺はドアノブに手をかけた。
よし、いくか。
俺はおもいっきりドアを開けた。
「ひっ!!」
開けた瞬間に怯える生徒がでた。
なぜ?
あっ、そっか。
一昨日、このクラスのリーダーを倒したからな。
そりゃ、生徒全員俺のことを恐怖の対象として見るだろう。
でも、このままじゃダメだ。
仲良くしないと授業は円滑に進まない。
ここは愛想を振る舞いていかなきゃな。
「こんにちは!一昨日はいろいろありましたが、このクラスの呪術の授業の担当になりました、フィフティ・ストームです。よろしくお願いします」
その声にみんなが会釈を返してくれた。
きっと、みんながやんちゃなわけではないのだろう。
恐怖で目が合わせられないとかじゃないよな?
きっと違うさ。
違うと思いたい。
「では、早速呪術の授業を始めます」
魔術の授業は至って簡単だ。
詠唱を教えて、暗記をしてもらい、実際に使ってもらう。
現代の数学のように応用などはない。
簡単だ。
「では、みなさん!前教師からはどのくらいまで習いましたか?」
「、、、、、」
沈黙だ。
このクラスは特にできる子たちだと聞いた。
でも、この沈黙。
なぜだ?
「あの、、、、まだ、、、5級すらわかりません」
「え?」
なして?
そんな馬鹿な!
あっ、そっか。
こいつら、前教師をやめさせたんだった。
呪術なんていらないと言っていたしな。
じゃあ、まずは呪術に興味を持ってもらわないといけないかな。
「じゃあ、呪術についてわかることはありますか?」
「相手にデバフを与えるもんだろ?」
舐めてきた生徒が返事をしてくれた。
一応授業を受けてくれているのか。
「はい、その通りです」
「でも、考えてもみろよ、相手に動きにくくするだけなんて卑怯じゃんかよ。あと、ダサい」
「確かにその通りですね。呪術はみなさんにとってマイナスなもののように思っているのかもしれません。しかし、自分の敵わない敵に対峙した時にどうするのですか?」
「そ、、、それは、、、」
「呪術は、確かに卑怯です。私もそう思うこともあります。でも、呪術を覚えておけば、いざという時に必ず役に立ちます。これだけは断言しましょう。
いいですか?嫌なら、これから世界に出た時に使わなくても良いのです。でも、使わないけど知っている者とそもそも知らない者とでは、大きな差が生まれます。ピンチの時に、呪術を知っておけば、回避できるかもしれません。それは知っていてできることです。君たちは、自分のやりたいようにやるのが一番です。でも、知識を得られる時に得ないのは未熟者です」
ちょっと、カッコつけてしまったかな。
でも、本心だ。
元の世界での俺の中学の先生の言葉をパクっただけだけどな。
「、、、、そうだな」
舐めてきた生徒は納得してくれたのだろうか。
わからんな。
でも、生徒の目に輝きというものを感じる。
まるで『早く教えてください』と言っているようだ。
俺にはそう聞こえる。
耳がおかしいわけではない。
「では、授業をはじめます」
ーーー
「これで、授業を終わります」
ふぅ。
緊張した。
みんな、真面目に聞いてくれたな。
舐めてきた少年もちゃんと受けてくれたしな。
いい滑り出しじゃないか!
「なんの問題もなかったな」
「はい。なんとか」
廊下に出るとステークストさんが出迎えてくれた。
もしかして、ずっと見てくれていたのだろうか。
一昨日のことを気にしてだろうか。
「もしかして、ずっと見ていたのですか?」
「ああ。でも、その必要はなかったな」
「ありがとうございます」
「いい授業だった」
「そうですかね?ミスも多かったような気がしますけど」
「ミスをしない者などいない。ミスをするから成長できる。さらに、このクラスは全員を席につかせ続けるのさえ難しいクラスだと聞いている。それを、たった2回の授業でここまでにするとはな。すごいな」
褒められた。
やったぜ。
俺は褒められて伸びるからな。
鼻じゃないぞ?
「ありがとうございます。俺としてはステークストさんに教えてもらった内容をそのまま言ってるだけですので」
「そうか。でも、これからだ。精進しろ」
「はい!」
よし、今日はうまくいった。
俺の授業は2日に1回だから、今日は休むか。
じゃあ、宿に戻ろう。
この世界には残業とかないしな。
仕事が終われば、さようならだ
ーーー
「初めての授業おつかれー!」
宿に戻ると、そこにエレナがいた。
「はい。なんとかできたよ」
「ほんと、心配で、授業の時、アキトくんを見に行ったんだよ。気づかなかったでしょ!しれっと、クラスに混じってたからね」
「え?」
「すごいでしょ!アキトくん緊張してたからね。気づかないのも無理ないよ」
すごい行動力だ。
俺だったら、絶対にしない。
この人だからできるんだな。
「はは、恥ずかしいな」
「ほんと、いい授業だった。僕も始めようかな。呪術!」
「おー、いいですね」
この人が、呪術を覚えたらもっと強くなるだろう。
頼もしい。
好奇心が強いのはいいことだ。
「一昨日、あんなことがあったのにすごいね。みんな、真面目に聞いてたよ」
「あれ、なんで知ってるの?」
「あっ!」
「あぁ、一昨日も来てくれてたのか。ありがとうございます」
「いいよ、いいよ。今日はお疲れ様。はい!これ」
「なんですか?」
「お酒!飲も!お祝いだよ」
この人もいい人だな。
「はい。でも、ほどほどにね」
「そうだね」
こんな感じで、俺の授業は順調だ。
そして、エレナは可愛い!




