第12話 『エレナの話』
今、俺らはキャンプをしている。
ただの野宿だがな。
イザベルの狩ってきた魔物の肉を食べて、エレナの作った石屋根の下で眠る。
それぞれ2人1組となり夜の番をする。
俺は、エレナとだ。
イザベルがステークストさんと一緒にいたがっていたので、俺とエレナの粋な計らいだ。
ステークストさんは呪術師である俺と、魔術師であるエレナでは接近戦が弱すぎるので心配だと言った。
まあ、出てきてもゴブリン程度しか出てこない。
そのため、俺らでも解決できるため、ステークストさんをみんなで説得し、ステークストさんとイザベルと一緒にしてやった。
今更だが、俺っていいやつなのかもれない。
イザベルはご満悦だった。
イザベルのあんなに耳が立って頬を赤らめているところを見たことがない。
相当嬉しかったのだろう。
「ねね、どうやってステークストに出会ったの?」
夜の番をしていると、エレナがそんなことを聞いてきた。
なんで、気になるんだ?
いや、単に話をしたいのか。
暇だからな。
話でもしてないと、寝てしまいそうだ。
「そうですね、僕は、あるところで迷子になってしまいまして、あてもなくどうしようか考えていた時にステークストさんに出会いました。それから、ひとりでも生きられるように魔術や勉強を学ばせてもらいました」
「へぇ。そうなんだ!僕はね!僕はね!」
話したかったんだな。
そんなに、みんなステークストさんが好きなんだな。
イザベルは恋心として、エレナはどういう感情なんだろうな。
憧れとは言っていたが、恋心を頑張って隠しているようにも見える。
「僕はね、イザベルと元々、バディを組んで共闘していたんだけどね。ある時、イザベルがドジを踏んでしまって捕まってしまったから、それを助けに僕も行ったら逆に返り討ちにあって、僕も捕まっちゃったんだ。その時に、そこにステークストが殴り込みに来てくれて、僕だけじゃなくてそこに捕まっていた全員を助けてくれたんだ。危ないところだったよ。奴隷になりそうになったからね」
そうか、そんなドラマ的に助けられたのか。
そりゃ、悪魔だとしても、ときめいてしまうか。
イザベルから見たら、白馬の王子様に見えたんだろうな。
少なくとも、俺を助けてくれたステークストさんは神のように俺は見ている。
「すごくいい出会いですね」
「でしょ!でしょ!」
「そりゃ、イザベルも惚れてしまいますね」
「そうだね。僕にも最初は白馬の王子様に見えたよ。でも、1200年も生きているからかな?恋愛感情というものが薄れてしまってね。まだ、300年ほど前まではしてたんだけどね。はっはっはっ!」
すごい笑ってる。
そんなに笑うとこあったか?
でも、300年ほど恋愛してないのか。
俺じゃ、死にそうになるね。
俺は、元の世界で生活をしていた時はいつも好きな人はいた。
まあ、結局、告白できなかった人が多かったけど、、、
唯一できた彼女も3年間付き合った。
でも、異世界に転移する前に振られてしまって、病んでたんだな。
それに酒を浴びるほど飲んで、酔い潰れて、トラックに轢かれたんだっけな。
まあ、今も引きずってる訳じゃない。
てか、今日、恋愛の話が出るまで思い出さなかった。
「いい話じゃないですか!」
「そうだよね!」
『ガサ ガサ』
ステークストさんの話をしていた話をしていたら、何かが草を踏む音がした。
ゴブリンだろうか。
魔物だろうか。
ゴブリンだ。
ゴブリンは、夜にあまり行動しないものだと思っていたが、この世界ではしっかり動くのだな。
だが、大丈夫だ。
俺が、呪術で止めて、エレナがトドメを指す。
よし、いける。
「呪術で動きを止めます。そうしたら、魔術で倒してください」
「必要ないよ!ここらで、僕の力を見てもらわないとね。まだ、僕の魔術見たことないでしょ!」
「え?大丈夫なんですか?」
「もちろん。前にも言ったよね?僕は2級魔術師だよ?」
そうか、そうだったな。
でも、、、、、大丈夫か?
女の子ひとりで、、、
いや、異世界の女の子は関係ないか。
エレナはそう自分に宣言して、杖を構える。
エレナの杖は大きい。
てか、あの杖は絶対に高価だ。
黒い、杖の素材に、拳大ほどの赤い魔石がついている。
絶対に、そこらで手に入る代物じゃないだろう。
「じゃあ、さがってて、見ていなさい!」
いつもの気配と違う。
いつもはいつもはふわふわしたアイドルのような人だ。
しかし、今は威圧感と覇気がある。
エレナの背丈ほどの大きな杖をゴブリンに向け構える。
「では、ふう」
エレナは大きく深呼吸をして詠唱を、、、、
『バァーン』
エレナは詠唱を唱えず、杖からドデカい炎を作りだし、ゴブリンに飛ばした。
ゴブリンは消し炭となり、周りの木にも火がついている。
詠唱なしで、、、、、え?
詠唱ってなくてもできるのか?
どういうことだ?
てか、威力もおかしいだろ。
ゴブリンは消し炭になって、周りにも、ものすごい影響を与えてるじゃないか。
「どうだい!僕の魔術は!すごいでしょ!僕は無詠唱でできるんだ」
「こ、、これはすごい、、ですね」
「おい!なんの騒ぎだ」
ステークストさんが怒ったような低い声で言ってきた。
ステークストさんは周りを見てため息をついた。
「またか、おいエレナ、、、」
「や、、、やべ、、、」
聞こえてますよ。エレナ。
そうか、昼に魔術を使うなって言ってたもんな。
「昼に言ったことを忘れたのか。どうせ、お前のことだ、アキトに自分の力を自慢するために魔術を使ったのだろう」
さすが、ステークストさん。
正解!
この人が自分から、自慢してきいたのですよ。
「はあ、、、おいアキト。こいつの自慢を鵜呑みにするなよ。こいつが無詠唱でできるのは火属性魔術のみだ」
それでも十分すごいだろう。
無詠唱なんて、、、
そういう、ステークストさんはできるんですか?
まあ、できるんだろうな。
こんな言い方だし。
「ご、、、、ごめんなさい」
お、、しおらしいな。
また耳が垂れている。
かわいい。
ほんとうに、かわいいなこの子は。
「まぁ、いい」
後ろから、イザベルが見ている。
なんか、嬉しそうだ。
顔がニマニマしている。
きっと、エレナの失敗で、ステークスさんからのエレナへの評価が下がったと思っているのだろう。
安心しろ、そんなことはないぞ、エレナよ。
俺の評価だったら、エレナの評価は急上昇中だ。
「次から気をつけろ」
「はい、、、」
そう言って、ステークストさんは木に引火した火を水属性魔術で消している。
しれっと、あのひとも無詠唱でやってるじゃないか。
今まで俺に見せてきた詠唱はなくてもよかったんですか!
嘘をつかれた気分だ。
「じゃあ、交代だ」
「はい、、、」
「了解です」
漫画だったら、『シュボン』という吹き出しがつきそうな感じで、エレナは落ち込んでいる。
耳が垂れていて、非常にかわいい。
「じゃあ、お願いします。俺たちは寝るので。」
「ああ」
これから、女子と2人きりで寝る。
変なことは、、、、しない。
でも、、、ね、、、
ちょっと、興奮しちゃうじゃないか。
ちゃんと寝られるだろうか。
ーーー
朝だ。
全く寝られませんでした。
あんなに狭い部屋で女の子と寝られる訳がないじゃないか。
逆に目が冴えてたよ。
「さあ、行くぞ。このまま東に移動する。今日中にラトネアに着くか着かないかだろう」
「了解」
「あと、エレナ。魔術は使うな」
「はい、、、、」
そんなことを言われて、シュンとしている。
そんなに言わなくていいじゃないか。かわいそうだ。
昨日寝た時は移動用の服のままだ。
そのため着替えることや、準備をすることはあまりない。
そのため、すぐに出ていける。
「じゃあ、陣営を組む」
「今日からですか?そんなにいきなり、、、」
「ああ、いきなりで悪いが、次の国『ラトネア』の付近にはゴロツキが多い。きっと、俺らのような旅人をカモにし、金目のものを奪い取り、奴隷商に差し出そうとする。それを回避するための陣営だ。」
いやな思い出が蘇るな。
あんなことには、2度と遭遇したくないものだ。
じゃあ、致し方ないか。
「無論、俺がいれば大事にはならない。だが、万が一ということもある。ゴロツキの中にも賢い奴が1人くらいいるだろうからな」
「と、いうことで、陣営はこうだ。最前にイザベル。中2人にエレナとアキト。最後尾に俺だ。これがベストだろう。前から来てもイザベルが反応し、横からでも後ろからでも俺が反応する。エレナとアキトはイザベルをサポートしろ」
本当にステークストさんは頼りになる。
あの自信を持った声を聞くと、大丈夫だと感じる。
「さあ。行くぞ」
ーーー
歩き始めてから、半日くらいか。
現在は、ゴロツキに360度包囲されています。
なんで、、、こうなった。
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