113_宝庫の守り
「みんな 止まるのじゃ」
薄暗い洞窟の中を進む僕たちは祖母の静止の合図を聞き立ち止まり魔気の根源ダンジョン地下15層にある旧魔王であり祖母ラミスの宝物庫の巨大な扉を見上げた
岩盤の壁に作られたその姿はとても宝物庫の入口とはおもえないほどに堂々としておりまるで来客者を待っているかのようにも見えた
「ばあちゃん こんなによく見えるところに宝物庫なんか作ったよね 荒らされたりしたりしないの?」
「ん? カッカッカ ラスト・・・・・・ 考えても見よ まず このダンジョン15層の環境・・・・・・魔気は魔気の根源の影響により薄っすらと光を放つほど濃く普通の盗賊風情ではここまでたどり着くことはできまい・・・・・・ さらにじゃ 元魔王である妾が作ったこの宝物庫の扉・・・・・・強力な結界と魔力によって守られておる 妾より強い魔力保持者でなければ破壊することは困難であろう 仮に扉を開けられたとしても・・・・・・」
「ラミス様」
「ん? ああ カンナ 気づいておる ラスト 扉を開けるぞミューを貸すのじゃ」
「あ はい ばあちゃん」
「ミュ ミュ ミュー」
「まて あばれるなって」
僕は頭に取り憑いていたミューを捕まえるとそれを祖母に渡した
「よし いいじゃろ ラスト・・・・・・しばし危険じゃさがっておれ」
(危険?扉建付け悪いのかな?)
僕が言われたとおり岩陰までさがると祖母は扉に向かいミューを高々と掲げると詠唱を始めた
「ミュ ミューーーーーーーーーーー」
ドドドドド
ミューが光りはじめると扉は地響きを立てながら開く
扉が最大限に開かれそこに広がっていたのは美しく整地された真平な大地であり門から宝物庫であろう建物までは飛び石が設置されていた
「ラスト もう少しそこにおれ 行くぞカンナ ナベちゃん」
「うぃー」
「魔法障壁」
祖母はなぜか自分とカンナさん ナベちゃんのまわりへバリアをはると僕とサキさんアルミちゃんを残し門の中へと一歩を踏み出した
ズドドドッドオ
雷のような閃光と共に祖母達に雨のような魔弾が降り注ぐ
「ばあちゃん!」
「問題ない! カンナ」
「うぃー」
魔弾が途切れたすきに僕の心配の声に答えた祖母はカンナさんになにかの指示をだすとカンナさんは障壁の中から一瞬で消える!
「ラミスさまぁ ただいまぁ 捕まえてきたよう」
「こ こ こんにちは・・・・・・ ラ ラミスさま ほ ほ 本日 は は は 拝謁をた た賜ることはか か感慨無量でごご・・・・・・」
「宝物庫の護衛ごくろうであった 腕をあげたの リッカ こらこら そんなに緊張せんでもよい カンナ離してやれ」
「うぃー」
カンナさんに抱きかかえられて現れたのはメイド姿をして眼鏡をかけ少しだけ頬を赤らめた赤髪のおさげの少女であった
「みんな 入ってよいぞ」
(どうやら宝物庫への侵入者はこのかわいいメイドさんによって攻撃されるらしい・・・・・・おおこわ)
僕とアルミちゃん サキさんは周囲を警戒しながらおそるおそる門の中へと入っていく
「ラスト 紹介しよう 宝物庫の護衛をしてもらっているリッカじゃ もうひとりもおるのじゃがの今は休憩中じゃの 妾の4柱はリッカも知っておろうこっちは妾の孫でラストという」
「こ こ こんにちは は はじめまして リッカと いいます あ え? お孫さん?」
リッカは祖母の顔と僕の顔を交互に見ながら驚いたように話を続けた
「ご訪問の告はサキさまの従魔様によって事前に受けておりましたしラ ラミス 様達の気配は皆様がこの階層に入った時点で気づいておりました」
「え じゃ なんで攻撃してきたの?」
「かっかっか ラスト これは妾の策じゃ ま あれじゃ 本番さながらの訓練も兼ねたテストというところじゃの 常日頃からの訓練は欠かせぬだろう・・・・・・のう リッカ もちろんリッカには手加減せず攻めて来いと言ってある 妾も元魔王を名のるもの・・・・・・ 自分が雇ったものの力量はわかっておるつもりじゃ まぁ それ以上に腕をあげておったがの かっかっか」
祖母は嬉しそうに高らかな笑いを響かせると宝物殿のほうへ歩き出した
「えーっと リッカさん ちょっと質問いいですか?」
僕は率直に疑問に思ったことを聞いてみる
「な なんですか?」
「こんな 怖いところに一人でずっといてさびしくないんですか?」
「え あ いえ あの 私達はずっとここにいるわけではないですから・・・・・・一応交代制ってことになってまして・・・・・・私の双子の姉であるマーリィは今休憩中でダンジョンの外にいます あと宝物庫の中の居住空間は非常に快適でして・・・・・・不自由は感じたことはないですね」
「ふぅ ラストちゃん あはん ラミス様がおつくりになった お仕事はどれも従業員のことが しっかり考えられているのよお 元魔王でありながら経営手腕もすばらしいの ねぇ」
「かっか サキ もっと ほめたたえよ かっか」
祖母は上機嫌にそういったが後でぼそりと僕に続けた
「まぁ 経営や福利厚生などはほとんどじいさんがやっておったがのぅ その前まではひどいものじゃった・・・・・・ 皆には内緒じゃ かっか」
・・・・・・
「ラ ラミス様 お茶を御用意いたしますのでぜひ詰め所まで お およりください」
僕らが宝物庫の入口付近へとやってくるとリッカは一人先にとびだして宝物庫横に備えられた詰め所へと走っていった
「ラミスさま」
「うむ せっかくの歓迎じゃ」
ナベちゃんは祖母に確認を取ると僕らを詰め所に誘導するように歩いた
詰め所の入口まで来るとリッカによってす何がしらかの用意がしてあったのか僕の嗅いだことのないほんのりと甘い香りが漂っていた
「ふふ ラスト これ飲んだことある?」
アルミちゃんはなぜか意地悪そうな顔をしてこちらを見ていた




