111_黒き者
グレモと別れた黒い液体は徐々にその形を人の形へと変えようとする それは崩壊し流れ出てはもりあがりまた人の形をなそうと繰り返しているようにも見えた
「グググ ブロロロロ ワシノカラダヲ・・・・・・ カエセ・・・・・・ブロロロロ・・・・・・」
グレモールは流れ出た体液を発酵させながら周りに異臭を放ちそれでもなお人の形を保とうとしている
「ラスト 行くぞ 魔弾じゃ!」
「了解 ばあちゃん」
僕と祖母は両手を上げ空へ向かって魔弾を放つ
その魔弾は一度上空に打ち上げられた後放物線を描きながら流星雨のようにグレモールへと降り注いだ
ドバババババ
「ラスト! まだじゃ まだ動いてはならん!」
僕に祖母が警告を発する
黒煙が晴れようとした頃 真黒に濡れた下方の土がゆっくりと動き始めた
「ブロロロロ・・・・・・ブハハ ウマイ マリョク ブロロロ」
「ッチ 食われたか」
祖母は小さくそういって童顔の眉間にシワをよせた
グレモールの体は一度完全に形を失ったと思われたが土に染み込んだその黒い液体は集まりそして又人の形を形成しては崩壊を繰り返した
「魔弾!」
「ラスト! 駄目じゃ あやつには直接の攻撃魔法は通じん」
「わかった! ばあちゃん」
僕は即座に地上に降り落ちていた石を拾い魔法で強化した腕力で投げつけてみる
ドボ ドボ ドボッ
石はグレモールへと突き刺さったがその勢いは流体によってかき消されグレモールの崩壊した体と共に流れ出る
(く だよなぁ)
「ブロロロロ 先程の貴様らの魔力を食ったおかげで我が知力も覚醒してきたわ ブロロロロ だが 礼はせぬぞ 死ね ブロロロロ」
「ラスト!」
グレモールの黒い液体は地を這いながら触手となり僕に襲いかかる
上空から祖母が危険を知らせる声を発すると同時に僕は上空へと飛び上がった 触手は飛び上がった僕を追い垂直へ曲がりダンジョンの天井へ届こうかというところまで追ってくる
(魔法攻撃も物理攻撃も効かない 万事休すか?)
「ラストくん!大丈夫か? 天射翼双破聖弾!」
イシューの声が下方から聞こえイシューから広がった巨大な光る羽から放たれた光る無数の羽毛が僕を追っていたグレモールの触手へと放たれた
「ブロ ギュラギュラアアア ブロ ブロッ」
イシューの放った天射翼双破聖弾は僕を追っていたグレモールの触手を貫通しその先端を地上へとドボドボとおとすとグレモールは獣のような悶絶の叫びを上げた
「イシューさん!」
「ラストくん グレモールに闇属性の魔法はきかんよ 効くのは光属性または聖属性のものだよ だろ ラミスさんよ」
イシューは上空にいる祖母に向かって先程のお返しと言わんばかりに声を上げた
ミカエルちゃんはイシューの後で顔だけだし祖母にしかめつらで舌をだしている
「くあぁ 神が・・・・・・ 神が・・・・・・・ これだから 神はすかんのじゃ 孫の前で恥をかかせおって ふんっ」
(あ〜あ ばあちゃん 拗ねちゃった)
「あぶない アルミちゃん!」
グレモールの次の標的になったのはアルミちゃんだった 僕は地を這う黒い影の先にアルミちゃんの姿があることに気づき急降下で救出に向かう
僕の声に気づいたアルミちゃんは咄嗟に背中の大剣を抜こうとするが触手の襲ってくる方向を見失っていて一瞬動作が遅れる
(間に合えええ)
「レイ・スペクトル!」
僕の右手からまばゆいばかりの光が放射されその光はアルミちゃんの前へ光の障壁を出現させた
「きゃあ」
障壁は触手を防いだがその衝撃波を受けたアルミちゃんは転がりながら大剣を手放してしまった
「アルミちゃん!」
「ラスト・・・・・・大丈夫 っく だがすこし 腕を負傷したようだ すまない」
「ブロロロ 小僧! 貴様 光魔法がつかえるのか? ブロロロ こざかしい」
(僕のまわりは魔族ばかりだからな・・・・・・気を使ってあまり聖属性や光属性の魔法って使って来なかったんだけど・・・・・・)
「しかし 所詮は付け焼き刃 ブロロロ 我が積年の呪いの攻撃をどこまでたえられるのか ブロロロロ これではどうだ!」
グレモールは背後に無数の口を出現させると一斉にその口から触手を吐き出しそれを僕とグレモールの間で絡め一本の巨大な触手を作り攻撃してきた
(まずいな レイ・スペクトル持ちそうにない・・・・・・ 背後にはアルミちゃん・・・・・・どうする)
「おまちかねー きたでぇ ナバさん 登場 ラストちゃん アルミちゃんはもらっていくでぇ 」
「ナバ!」
背後に倒れていたアルミちゃんをどこからか現れたナバが残像を残しながら背負いそのままいなくなってしまった
僕はナバたちの気配が消えたのを確認すると レイ・スペクトルを解除し触手を交わし横に飛び避けた
「ブロロロ まだまだ ブロロロロ」
グレモールの複数の触手が容赦なく僕を襲う
「天射翼双破聖弾! こっちだ グレモール!」
「ウギャアア ブロロロロ 貴様もかぁ!」
僕に気をとられていたグレモールにイシューが攻撃をしかける
「イシューさん!」
(こちらの攻撃が少し弱まったか・・・・・・)
「アルミちゃん ちょっと借りるよ レイ・スペクトル!」
僕はグレモールの攻撃の合間を見てアルミちゃんの落とした大剣を拾い片手でそれを持つともう片方の手で魔導書を開き障壁をはった
「大剣に光魔法付与 スキルプログラミング発動 プログラミング名 大剣無限複製 攻撃無限ループ! 無限倍速 条件はグレモール討伐まで ゆけ! 命名 スペクトラル・クラッキング(愛の漸化式)!」
(うわぁ 中ニ病出ちゃった・・・・・・)
僕のまわりにコピーされたアルミちゃんの大剣が大量に出現しまるでダイヤのような七色の光を放つ
「これでどうだ いけ!」
「・・・・・・おお 若きの日の爺さんを見ているようじゃ・・・・・・」
祖母が何かをつぶやいたがよく聞こえなかった
光の剣は一斉にグレモールに襲いかかり剣によりつけられた傷を少しずつ霧散させていく
「ぐぁあああ ブロッ ブロッ ブロベ ブロッ く クソッが ブロ・・・・・・天に召すぅ」
そしてグレモールの最後の黒い影が霧散すると光の大剣はゆっくりと一つになりカランとその場に落ちた
「でかした ラスト あれだけの光の攻撃じゃ 奴もそうそう復活出来まい ま 後の始末は奴らに任しておけば問題なかろう」
祖母はそう言いながらゆっくりと僕の横に降りてきた
イシューとミカエルちゃんは祖母の話を聞いていたかのようにグレモールの消滅したあたりの土を丁寧に浄化しているようだった
・・・・・・
「カンパーイだでえ 飲むでぇ」
「みんなぁ のむにゃあ のむにゃあ」
「あはぁ ラストちゃん こっち来て 一緒に飲まない うふん 」
ドゴッ
(ぐはっ そんなぁ)
サキさんの薬指が僕の顎をなぞった瞬間アルミちゃんの負傷しているはずの方の腕での肘鉄が僕の脇腹につきささる
グレモール討伐後僕らはベースキャンプにて今後の計画立案と今回の慰労をかねて小さな宴を開くこととなった




