106_狭隘魔法反重力監獄構築
「ウサギヨ・・・・・・スマヌ ヤハリワタシハココヨリホカエハ ウゴケヌヨウダ・・・・・・」
「グレモちゃん なにようっだぁ ミカエルちゃん グレモちゃんはなんにも拘束されてないっていようったがぁ あと ウサギじゃなくって ナバねえさんって呼びんさい な」
手をひこうとするナバに対してさらに身を固くしてしまったグレモはまるで子供のように恨めしそうな表情をナバに向けたあとナバにひかれた手を引っ込めようとしたがナバはそれを許さずニッコリと笑って子供を諭すように話を続けた
「わかるでぇ ナバさんにはグレモちゃんが怖いって思う気持ちがようわかっとるつもりだでぇ・・・・・・でも そこにじっとしとったらなんもおきんだけじゃないで じっとしとることはゼロじゃなくって・・・・・・マイナスになっていくだぁで だけぇ・・・・・・」
「イヤダ イヤダ アイツ イタイコトスル」
(あいつ?)
グレモは急に子供のような口調になりナバの手を振りほどいた
「じゃあ ナバさんたちだけで行くけど ええだか?」
「イヤだ いやだ ナバ姉 おいて いくな」
もう一度ナバが手を差し出すとグレモはゆっくりと手を取る そういったやり取りを何度かくりかえしたあとようやくグレモはあぐらを組んでいた足を片方地につけた
「お おい ラスト」
アルミちゃんが僕らの頭上を見上げるとそこには巨大な黒い影が空を覆っていた
「・・・・・・ワガコントンヲツカサドルセイレイヲ・・・・・・ドコヘツレテイクキダ・・・・・・」
その姿は巨大な双頭の亀のようであったが甲羅の縁は様々な色に輝き生き物というより機械的なものを感じさせられた
グレモはその声を聞いた瞬間動きを止めナバの後ろに隠れるようにしてガタガタと震えだした
「触鬼か? 何故に触鬼が人語を話す? もののけの類か?」
アルミちゃんは空に向かい大剣を構えその巨大な物と対峙した
「ワガ チカラノ ミナモト コントンノセイレイ ワレニ チカラヲサシダセ・・・・・・」
「イヤだ イヤだ ナバ ナバ 助けて・・・・・・きゃああああああ」
双頭の亀の尾から発せられた無数の光の管はナバを避けグレモへとつきささった
「いやあああああああああ」
グレモの絶叫が山の頂へと木霊する
グレモにつきささった光の管はグレモをかばったナバの体ごと空中へと浮かせ始めた
「きさま!」
「魔 力 石 弾!」
アルミちゃんが動き出す前に僕は拾った石に魔力を込め光の管の真中に向かってそれを投げつけた
「ナバ!」
「おk」
魔力をまとった石が光の管を貫通し切断すると ナバはぐったりとしているグレモちゃんを抱え落下途中でスキル”兎神足”を発動しその場所から岩場の影へと瞬間移動した
「グレモちゃん だいじょうぶか?」
「・・・・・・ モウニゲナイ イタイノイヤ・・・・・・」
(なるほど・・・・・・グレモを縛っていたのはこの化け物への恐怖か・・・・・・)
「ラスト・・・・・・倒すぞ」
「了解!」
僕達が戦闘へと移行しようと身構えると触鬼は甲羅の縁を赤く光る警告色にかえ大きく息を吸った
「ハムカウナ ニンゲン ワガチカラハ コントンノセイレイニヨッテキョウカサレテイル ハムカエバ コロス」
そして片方の頭は炎 もう片方の頭は冷気を僕達に向かって放出した
ナバは咄嗟にアルミちゃんを抱きかかえ炎のあたるすんでの所でグレモのいる同じ岩場へと瞬間移動した
「アルミちゃん ナバ!」
僕は魔力をまとわせたイシツブテを敵に向かって投げつけながら同じ岩場へと逃げ込んだ
敵にダメージを与えたと思われた僕の魔弾は相手の高速回転により弾かれ遠くのほうで小さな爆発を起こした
(っく 効かないか!)
「ムダダ クルシマヌヨウコロシテヤル コントンノセイレイヲサシダセ」
ゆっくりと回転を止めた触鬼は怒りで湯気をあげながら甲羅の縁の赤色をさらに点滅させているようだ
(わかりやすいな・・・・・・)
「どうする? ラスト 炎属性に氷結属性 おまけに硬い装甲に覆われている 逃げるか?」
「はぁはぁ うちい 3人担いでは走れんでぇ」
ナバはグレモとアルミちゃんを担いでここまで来たためかなりバテているようだ
「・・・・・・いや」
僕は片方の腕を空間に開けたインベントリにつっこみ祖父の魔導書をひっぱりだす
「これで どうにかする」
僕には前々から試してみたいと思っている魔法がある・・・・・・それは祖母やアガレス様が使っている重力魔法を逆に構築し相手の分子をバラバラにするというものだ・・・・・・とはいえこの広い空間でその魔法は使えない そこで思いついたのは前に一度父の兄妹であるリリスの部下であった ルウミーナ ラストラ クレゼルの3人がリリス討伐隊のギエルを打つ為に使った魔気監獄だ これをなんとかこの空間で使えるよう再構築しさらにその中で反重力を発動させる計画であればこの触鬼をうてるかもしれないと考えた
「それじゃあ ちょっと行ってくる」
「ああ」
僕はアルミちゃんとアイコンタクトをとり岩場を離れたあとイシツブテを放ちつつ相手の注意をこちらへ引き寄せ走りながら考える・・・・・・
当初の予定では触鬼を魔法監獄により囲ってしまおうかとも考えていたのだが 監獄の点を結ぶ自分の分身を構築する際に多量の魔力と関係式が必要なこともありこれをあきらめた
ならばこれを小さく大量に作り相手にぶつければ多少使えるものができるかもしれないと考える
そして僕はアルミちゃんやナバとある程度距離がとれたのを確認して立ち止まり大声で魔法を発動した
「狭隘魔法反重力監獄構築(きょうあいまほうはんじゅうりょくかんごくこうちく) スキルプログラミング量産!」
背後に大小さまざまな三角錐が様々な光を放ちながら浮き上がる
(さて うまくいくか?)
「ガハハ ナンダ ウマソウナ チカラダ・・・・・ オマエモ ワガカテトナレ」
触鬼は双頭の口から手当たりしだいに炎と冷気を吹き出しながら迫ってきたがそれを止めるとグレモを襲った光の管を尾から僕の方へ伸ばしてきた
「ラストそいつにふれるな! 吸われるぞ!」
アルミちゃんが岩の影から顔をだし僕へ叫ぶ
「大丈夫!・・・・・・狭隘監獄・・・・・・掃射!」
僕の背後から大量の小さな魔法監獄が掃射されていく
(どうだ?)
「ナンダ コレハ キカヌ キカヌ ガハハ ヤハリ オロカ・・・・・・ダ・・・・・・ニン・・・・・・ゲ」
触鬼はこちらに話しかけながらも小さな3角のモザイク状に体に穴を開けていく
(痛みは感じないのか?)
そしてすべての魔法監獄が掃射されたあとそこには何も残っていなかった
・・・・・・
「おーい アルミちゃん ナバ やっつけたぞ」
「おお やったなぁ さすがはラストちゃん・・・・・・えーっとなぁ それで ドロップはなんだった? あれだけでけぇ触鬼だけぇなぁ よっぽどええもん落としただろ な な」
岩場からアルミちゃん ナバ グレモの3人が顔を出し真っ先に称賛?の言葉を投げかけたのはナバだった
(ナバ・・・・・・あ・・・・・・もしかして・・・・・・すべてを無に戻すこの魔法・・・・・・ドロップも無し?)
「ご ごめん ナバ・・・・・・ドロップ品はない・・・・・・みたい」
「なんで なんで なんで なんでない なぁ なぁ なんで」
ナバは5人位の自分の分身をつくり僕の周りを取り囲む
(ああ うぜぇ・・・・・・)
「ナ ナバ ねえちゃん・・・・・・」
僕の周りをグルグル回るナバにグレモが恐る恐る声をかけた




