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第五十三話 仲間

今回は短めです

星詠との戦いまで残り一週間、俺たちはできる限り修行することとなった。


「私たちに必要なのは連携だと思うの」

 優奈さんが最初にそう発した。


「連携ですか?」

 俺は優奈さんに聞き返す。

 

「そうよ、星詠未来は強大な相手。間違いなく今までの相手で最強よ。だけど、そんな星詠に私たちが勝っている部分がある。それが……」

「仲間、人数ですね」

 今までだってそうだったが、俺たちは人数で勝っている。ならば、これを活用しない手はない。

 今までだって連携はしてきたつもりだが、優奈さん曰くまだまだらしい。


「魔使家は複数の魔獣を使役する人だっているのよ。当然、連携についても色々な資料があるわ」

 というわけで、俺たちは魔使家の屋敷で修行することとなった。




 魔使家 別荘

「みんな、よく来たな。資料はすでに集めてある。存分に使うといい」

「ありがとうございます。お父様」


 最初の一日は有効そうな連携を探すことから始まった。

 魔使家の屋敷にある様々な資料をみんなで手分けして読み耽る。

 朝早くから来たというのに、読み切るだけで一日かかってしまった。

 これで、屋敷にあるのはあくまでも特に使われる一部だけだと言うのだから、あらためて魔使家の凄さを思い知った。


 流石の蔵書量ということもあり、いくつか有効そうな連携が見つかった。

 たとえば、『矢突』という連携。

 これはその字の通り、使い魔が矢のように一直線になって相手に突貫するという連携だ。

 先頭に耐久力の高い魔獣を置くことで、相手の攻撃を跳ね除けながら攻撃するらしい。


 星詠の魔術は強大だが、クロであればひょっとすると耐えながら進めるかもしれない。


 また、『砲弾』という連携もあった。

 この連携は一匹の使い魔を、他の使い魔が飛ばして加速させるという連携だ。

 砲弾役の使い魔は耐久力がありつつも、軽くなければならないが、一瞬にして相手の懐に潜り込めるという連携となっている。


 どれほど加速できるかにもよるが、もしかしたら星詠の魔術を潜り抜けて、星詠の懐まで迫れるかもしれない。


 今回、星詠の攻略法として考えられる方法は主に二つ。

 一つ、星詠の魔術を受け切りながら攻撃する。

 これは星詠の魔術を意にも介さない程の圧倒的な耐久力が必要だ。

 クロであればひょっとすると……。とは考えるが、あまり現実ではない。


 そしてもう一つ、星詠の処理能力の限界以上に攻撃する。

 人数で勝っている以上、こちらの方が現実的だろう。

 いくら未来が視えると言っても、星詠は一人だ。

 星詠の手数をこちらの手数が上回れば勝つことができる。


 俺たちはこの方針を軸に連携を深めていった。





 一週間後

 俺たちは伊勢神宮近くの路地裏から間界へと入る。

「この戦いで最後なのですね」

「絶対に勝つわよ」

「Gruua!」

「それじゃあ、みなさん。行きましょう!」


 みんな揃って間界の中を進んでいく。

 しばらくして境内へ入ると白い狩衣を着た、星空のような髪をした男が見えた。


「……やはり、来たか」

 星詠がぽつりと呟いた。

 なんだ?星詠の様子が少しおかしいような……?


 その時、突如として()が開いた。

 窓からは赤く燃え盛る岩石が飛び出してくる。

「っ⁉︎」


 音速を優に越えるスピードで飛来する岩石を俺は切り裂く。

 二つに分たれた岩石は後方で燃え尽きる。


「なっ、何⁉︎」

 優奈さんは何が起こったのかわからず動揺している。

いや、声に出していないだけでその場にいる全員が動揺していた。


「おい、星詠!急に何をするんだ!」

 俺は星詠に向かって叫ぶ。

 

 やはりおかしい!星詠は敵を殺すことに躊躇は無いが、だからといって、不意打ちまがいのことをするような奴ではなかったはずだが……⁉︎


「やはり死なない……か」

「え?」

 星詠の呟きを上手く聞き取れなかった。


 僅かな間黙った後、星詠は叫び出す。

「これは殺し合いだ!生きるか死ぬか、互いの全力をもって殺し合うのだ!いまさら正々堂々などと、生温いことを言うか!」

 なんだ?明らかに星詠の様子がおかしい。

 奴は敵に容赦はしないし、偉そうな奴だったが、こんな、こんな()()()()()()ことを言う奴だったか?


「俺は死なない。絶対に死なんぞ。……構えよ!黒峰刀也‼︎」


 よくわからないが、やるしかない!

 今の俺には未来を切ることはできないが、代わりに頼りになる仲間がいる。

  きっと勝てる!


 こうして俺たちと星詠との二度目の戦いが始まった。





「始まったか……」

 二組の戦いの始まりを見下ろすものがいた。


 長い金髪を垂れ流した白衣を着た美男であった。

 術木家当主、術木萄越である。


「星詠未来、君はきっと敗北するだろう。だが安心してくれ、きっと私が勝たせてあげよう」

 見下ろした先の星詠を見て萄越は笑う。


「まぁ、戦いに勝った後、君が君である保証はないがな」


 刀也たちはまだ知らなかった。


 この戦いはすでに、星詠未来との戦いでは終わらないことを……

星詠は未来を見ることができますが、未来は複数見え、どの未来を選び取るかは星詠次第です。

そのため、負ける未来が見えた星詠はその未来を意識しすぎるが故に、その未来へと近づいていきます。

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