第四十七話 格上
第四十七話 格上
俺は家へと帰る途中、祈闘さんと優奈さんに軽く説明をして、我が家で作戦会議をすることにした。
「絶っ対、罠よ、それ」
優奈さんが作戦会議を始めて、開口一番にそう言った。
まぁ、普通はそう思う。
というか、俺だって前回はそう思ったからな。
「たぶんですけど罠の可能性は低いです」
しかし、俺は反論する。
「なんでよ」
優奈さんからは至極当然の疑問が飛んでくる。
「あいつは、四元は、罠を張るようなタイプには見えませんでした。あくまで、戦うなら真っ向勝負で、そんな風に見えました」
前回は罠じゃなかったというものあるが、前回を含め、俺が見た四元は、罠を張るような奴には見えなかった。
彼のプライドが、罠を張るなど許さない。そんな風に見えた。
「それって勘でしょ?」
「はい、勘です」
優奈さんの問いに、俺は真っ直ぐ答える。
いくら前回での経験があるとはいえ、勘は勘、しかし、この勘は当たると強く確信している。
「私も、四元殿が罠を張るタイプとは思えませんので、そこは信じてよいかと」
祈闘さんが助け舟を出してくれる。
よし、ここで、前回と同じ説得をしよう。
「それに、残りの候補者の居場所がわからないなら、結局、この誘いに乗るしかないのでは?」
「そう、なのよねぇ」
優奈さんがため息をつく。
今の俺なら居場所がわからないでもないが、四元と星詠は正確な居場所はわからないので、向こうから来てくれるなら、ありがたく誘いに乗るべきだろう。
「それにしても四元ですか……」
祈闘さんが呟く。
「四元がどうかしたんですか?」
俺は意味を尋ね、四元の説明を聞く。
何も聞かずに四元のことを知っていたらおかしいからな。
「四元、四元学人はですね……」
その後、俺は四元家の魔術と、現代魔術長、四元学人について聞いた。
あらためて俺は前回の四元との戦いを思い出す。
圧倒的な魔力による手数の多さと、汎用性の高い魔術、これらが合わさることにより、かなり苦戦した。
しかし、ここはまだ、問題ではない。
今の俺たちにはクロもいる。戦力的には有利だろう。
「厄介なのは秘奥だな」
刀也が俺に語りかける。
そうだ。四元家の秘奥、【滅の魔力】。
四属性の魔力を融合させ、触れるもの全てを消し飛ばす、五つ目の魔力を生み出す魔術。
滅の魔力による攻撃は【魔切断】では無効化できない。
何故なら、【魔切断】で切れるのはあくまで魔術であり、魔力自体は切れない。
そのため、魔力自体がとんでもない威力を持つ、四元家の秘奥は防げないのだ。
「対処法を考える必要があるな」
そうなんだよなぁ、とはいえ、どうしたものか……。
「黒峰さん?どうしました?」
俺がうんうん唸っていると祈闘さんに心配される。
「あぁ、いえ、なんでもないです」
祈闘さんを心配させないためにも、一旦思考を切り上げる。
対決は2日後だから、それまでにはなんとか思いつけるといいが……。
「対決まで時間はありませんが、少しでも特訓しましょう!」
「そうですね」
残り少ない時間を無駄にしないために、俺たちは特訓をすることにした。
「俺の方でも、考えとく」
「助かる。頼むよ」
俺が特訓している間は刀也に秘奥対策を考えてもらおう。
俺の方も、秘奥対策ではないが、一つやってみたいことがあるしな。
そして2日後
俺たちは四元から貰った地図に書かれた場所の近くに来ていた。
「それじゃあ、行きましょう!」
俺たちは間界へと入っていく。
俺たちが間界に入ってしばらく歩くと、一つの人影が見えた。
シルバーのベストに黒のスーツ、そして眼鏡をかけた男。
四元家当主にして現代魔術長、四元学人である。
「来たか」
「あぁ、ダンスの誘いは断らない主義なんだ」
「そうか」
四元は言葉少なに返す。
どうした?やけに言葉が少ないように思うが……。
四元学人は呪禍桔梗が敗れた日のことを思い出していた。
「どうやら奴らは生き残ったようだな」
白き狩衣を着た星空のような不思議な髪の青年がそう呟いた。
「お前、最初はどちらも死ぬと言ってなかったか?」
四元は青年に尋ねる。
「また未来が変わった。やはり奴らは未来を変えられるようだな」
「そうか、なら聞いても意味はないかもしれないが、彼らと私が戦えばどちらが勝つ?」
青年は一瞬目を瞑り、答える。
「どうやらお前は負けるようだ。努力次第でいくらか巻き込めるが、基本的にお前は負けるな」
その言葉を聞き、四元は目を見開く。
少なからず魔術長としての自負があった四元は、敗北の未来を言い渡されてわずかに動揺していた。
「そう、か。だがそれは、未来を知らなければだろう?」
「まぁ、そうだな。しかし、俺はお前に肩入れする気はないぞ」
「わかっている。心持ちの話さ。おそらくさっきまでの私には少なからず慢心があった。だがもうそれは無い」
四元の中から慢心は完全に消え去っていた。
現在
「君たちは私よりも強い」
「「「⁉︎」」」
四元から衝撃の一言が紡がれる。
四元は強い、故に四元から俺たちの方が強いと言われるとは思わなかった。
「慢心はしない。私より格上である君たちに敬意を払い。私は君たちを全霊を持って殺す」
四元の気迫が前回よりも鋭い!
「さぁ、始めようか!私と君たちの、全身全霊の殺し合いだ‼︎」
四元も、俺たちも構える。
俺たちの二度目の四元との戦いが今始まる。




