表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/43

第四十話 共に舞う

刻との戦闘が始まった。

「行きなさい、クロ!」

 優奈さんが自身の影に向かって叫ぶ。


「Gyururiraaaaaa!」

 影からクロが飛び出し、即座に元の姿に戻る。


「なんだよそれっ⁉︎」

 クロから溢れ出る魔力に刻は狼狽える。


「Gyuwaaa!」

 クロがその大きな顎を開けて刻に襲いかかる。


「祈闘さん、俺たちも!」「はい!」

 クロを追いかけるように俺と祈闘さんも駆け出す。


クロが大きな顎で刻に喰らいつく。

「あまり僕を舐めるなよ!」

 しかし刻はギリギリのところでクロの上に転移していた。


「くらえっ!【爆破】!」

 刻がクロにいくつかの魔石を投げつける。


 閃光が走り、轟音が鳴り響く。

「Gruaaaa⁉︎」

 ダイナマイトのような爆発を連続で受けたことでクロはたまらず叫ぶ。


「俺たちを」「忘れないでください!」

 すかさず俺たちは刻に追撃する。


「【須佐男ノ祓い】!」「【別雷】!」

 俺が広範囲を薙ぎ払い、祈闘さんが上から叩き落とすような攻撃をする。


「こっ、のっ!【氷白盾】!」

 刻の背後と上空に氷の盾が生まれ、攻撃を防ぐ。


「あれはっ⁉︎お父様の!」

 俺たちの攻撃を防いだ魔術を見て優奈さんが驚く。


 刻は俺たちの攻撃を防ぎ、距離をとる。

「あっ、ぶな⁉︎まったく、勘弁してくれよ。三対一とか卑怯と思わないのかい⁉︎」

「俺とクロは優奈さんの使い魔だ。実質ニ対一だし、お前は他人の魔術を使えるから対して変わらないだろ」


「黒峰さん、刻家の魔術を知ってたんですね」

「え⁉︎あっ、いや。なんとなくそんな感じかなぁって」

 祈闘さんの言葉に俺は焦る。

 少し詳しすぎたか?いやでも、すでに刻が操蛇さんの魔術を使うところとか見ているわけだし。鋭い考察ってことで……。


「魔術を使う魔力は僕自身のなんだから結局僕は一人なんだけど。……まぁいいや。僕だって七大魔家の当主だ。負ける気は無いよ」

 刻の纏う空気が変わる。

 本気になったということか。


「数的不利を埋めるためにはどうすればいいと思う?」

 刻がいきなり尋ねてくる。

「はぁ?いきなり何を言って……」

「答えは超接近戦かつ超短期戦だ」

 刻の姿が掻き消える。

 転移!どこから来る⁉︎


 俺の背後から声がした。

「【祈祷・身体強化】」

「くっ⁉︎」

 俺はナイフを振るう。

 しかしナイフを空を切った。


「このパンチは結構重いよ」

 しゃがむことで俺の攻撃を避けた刻から拳が飛んでくる。

「がぁっ⁉︎」

 刻の打撃を受け、俺の体は吹き飛ぶ……かと思われた。


「【土棘(アース・ニードル)】」

 地面から生えた土の棘が俺の体に突き刺さり、強引に体を止める。

「ごぼっ⁉︎」

 打撃の衝撃と体に棘が刺さってことによって俺は血反吐を吐く。


「さらにダメ押し」

 刻は魔石をいくつか置いて転移する。


 魔石が光り、爆発する。


「黒峰さん(くん)⁉︎」

 僅かな合間に行われた連続攻撃に二人は悲鳴をあげる。


「さすがにここまでやれば死んだでしょ。次は誰の番かな?」

 二人の背後に刻が現れる。


「誰が……死んだって?」

「っ⁉︎」

 煙が晴れて俺の姿が現れる。


「あー、くそっ!痛ってーな。死ぬかと思ったぞ」

「いやいや。そこは人として死んどきなよ。君ホントに人間?」

 刻の言葉に俺は返す。

「悪いが、純度100%の人間じゃないんでな」


 親切な俺は刻に忠告をしてやる。

「言っておくが、そこに突っ立ってると危ないぞ」

「へっ?」

 刻の上空から大口を開けたクロが降り注ぐ。


「わっと!もう動けるのか⁉︎こっちも丈夫だな!」

 刻はギリギリでクロの攻撃を避ける。


「祈闘さん、()()をやりましょう!」

「え⁉︎()()をですか⁉︎」

 前回は刻が自身の方が上だという慢心があったのだろう。

 基本的に遠距離からの攻撃しかしてこず。

 回避も転移頼りだった。

 今回はさらに全力を尽くしてきている。

 そんな刻に勝つには祈闘さんと特訓した()()をするしかない。

 まだ練習段階だが、ここで成功させる……!


「祈闘さん、行きます!」

「……わかりました!」

 俺と祈闘さんは駆け出す。


「そんな暇与えると思うのかい⁉︎」

 刻は転移をし、俺の背後に現れる。

 手負いの俺なら今度こそ倒せると思ったのだろう。

 しかし、その考えはハズレである。


 俺は叫ぶ。もう一体の仲間の名前を。

「クロ!」

「Gaaaaa!」

 俺の影からクロが飛び出す。

「何っ⁉︎」


「このぉっ!【爆破】!【風壁(ウインド・ウォール)】!」

「Gruuu⁉︎」

 刻はどうにかクロを吹き飛ばす。

 しかし既に俺と祈闘さんは刻を挟むように立っていた。




 時間は少し遡り特訓中

「実はですね。黒峰さんに祈闘神楽を教えようとした理由がもう一つあるんです」

 突然祈闘さんからそんな話をされた。


「もう一つの理由?」

「はい、実はですね祈闘神楽には更なる段階があるんです」

 祈闘さんに祈闘神楽の技は一通り見せてもらった(習得したのは半分程度)が更なる段階があると言うのだろうか?

 すでに完成されているように思えるが。


「そもそもですが神楽は基本的に一人で踊るものではありません」

 確かにあまり他の神楽を見る訳では無いが、それでも一人で踊っているイメージは無い。

 ……ん?ということは、()()()()()()()()()()()()()()()()()


「気づいたようですね。そうです祈闘神楽も本来は一人で踊るものではありません。今の祈闘家には私ほどの祈闘神楽の使い手がいません。それゆえに私には共に舞う相手がいないんです」

「それが俺に祈闘神楽を教えたもう一つの理由ですか」

「はい、黒峰さんなら私並の祈闘神楽の使い手になれそうなので今からその技を教えます。二人で踊る祈闘神楽、その名前は――」


 俺と祈闘さんは同時に呟く。

「「【祈闘神楽・共舞(ともまい)】」」


 俺たちは一つ目の技を繰り出す。

「「一の舞【相撃つ天矢(あまや)】」」

 俺たちは【天の羽々矢】と同じ要領で刻に迫る。


「はっ!何かと思えばただ真っ直ぐ飛んでくるだけなら簡単に避けられる!」

 刻は俺たちの攻撃が当たるギリギリで上空に転移する。


 ナイフと大幣が正面からぶつかる。

 しかしこれは同士討ちではない。


 俺たちは次の技の名を呼ぶ。

「「二の舞【相乗る双嵐」」

 ぶつかった衝撃を全て回転の力に上乗せする。


 回転の力はそのまま次の技の推進力となる。

 刻が上に逃げてくれて本当に()()()()()()


 天が撃つ矢は二つの大きな嵐となり、最後には雷神の両の手に侍る2本の槍となる!


 俺たちは一瞬にして刻のさらに上をとる。

「何っ⁉︎」


「「三の舞【雷神双槍】‼︎」」

 2本の槍が刻を貫いた。


「があっ⁉︎」

 刻は勢いよく地面に叩きつけられる。

 轟音が鳴り響き刻は指一本動かない。

 どうやら気絶したようだ。

 正直殺してしまうんじゃないかと思ったが、刻もかなり丈夫だ。

 いや、そういえば今の刻は【祈祷】を使っていたからその影響かもしれない。


 突如刀也が話しかける。

「おい、()()()()()()

「あぁ、わかってる」


 俺は優奈さんに近づく。

「魔使さん、【瞬間強化】をお願いできますか?」

「え?えぇ、いいけど……。【瞬間強化】」

 優奈さんによって俺の身体能力がさらに強化される。


 俺は少し離れた場所に一瞬で移動する。


 そこには紙でできた小さな式神が飛んでいた。


「見えているぞ呪禍桔梗」

 俺は式神を切り裂く。


 俺は最後に一仕事終えて二人の元に戻る。

「すいません、誰かに見られていたようです」

「今のはまさか……!」

 祈闘さんは勘づいたようだ。


 ともかく、二度目の刻との戦いも俺たちの勝利で終わった。




 三重県 某所 呪禍家別邸

 平安時代の貴族が着るような服装、いわゆる狩衣を黒に染めた服を着て、頭に被り物をした男がいた。

 呪禍家当主、呪禍桔梗である。


「まさかこちらに気づくとはな。侮れない相手だ」

「当主様、如何なされましたか?」

 近くにいた一族の者が呪禍に尋ねる。


「別に、少しばかり骨が折れそうだという話だ。苦労はするだろうが手が無いわけではない」


 呪禍は接続していたが故に切り裂かれた手元の式神を見て呟く。

「祈闘、あの小娘に勝つためであれば如何なる手であろうとも使ってやる……」


 刀也たちはまだ知らない。

 一人の男が持つ、底知れない悪意と執念を……。

 

 

 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ