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第三十二話 フライングエンカウント

俺たちが間界の外へと出た時、優奈さんに話しかけられる。

「ねぇ、今晩だけでも泊めてくれないかしら」

「えぇ、いいですよ」

 俺は二つ返事で了承する。

「そうよね、急に言われても……って、え?」

 俺はもう一度答える。

「だから、家に泊めてもいいですよ」

 刀也が俺に語りかける。

「事情も聞かずに了承したら逆に怪しまれるぞ」

 そうか、父さんも姉さんも一周目の時に何も反対しなかったからすぐに了承してしまったが、確かに事情も聞かずに了承するのは逆に怪しく思われるか。

 優奈さんが事情を説明しだす。

「えっと……、私、魔使家に生まれながら魔術が使えないって言ったわよね。それでお父様と仲が悪かったのだけど、このあいだ本格的に喧嘩しちゃって家出してきたの。お父様に私のことを認めさせるために魔獣と契約しようとしたのだけど、結局失敗しちゃったし、だから今晩だけでも泊めてくれないかしら」

 俺はもう一度了承の意を示す。

「はい、このままほっとけませんし、いいですよ。一応家族に許可を取る必要がありますけど」

「ありがとう。恩に着るわ」

 俺たちは黒峰家へと帰ることにした。



「ただいまぁ」

「あら、お帰りなさい。遅かったわね」

 俺が玄関に入ると姉さんが出迎える。

 さて、前回は優奈さんを紹介したら勘違いをされたので今回は先手で釘を刺すことにしよう。

「あ〜、姉さんちょっといいか?」

「?何かしら」

 俺は優奈さんを紹介する。

「さっき知り合った人なんだけど家出をしてきたそうで、今晩だけでも泊めてあげたいんだ。魔使さん、入ってきて」

 優奈さんが家に入ってきて自己紹介をする。

「えっと、魔使優奈って言います。今晩だけでも泊めてくれませんか?」

 念のためにもう一度釘を刺しておこう。

「家出して困ってるって言ってたから!別に何もないからな!」

 姉さんは前回と同じく驚愕の表情で固まっている。

 なんだか嫌な予感がする。

 刀也が俺の中で呟いた。

「残念だが、この人には釘刺し(そんなもの)は効かないぞ」

 同時に姉さんが再起動した。

「お父さ〜ん!刀也が女の子連れ込んだー‼︎」

 姉さんがリビングに走り去って行く。

「おい待て、姉さん‼︎止まれぇっ!」

 その後、父さんが出てきて一周目と同じ説明をする羽目になった。



 一周目と同じく、食事をした後話し合いをすることになった。

 優奈さんは決議が始まったために三重に来たことや、自身の父との確執について説明した。

 父さんは黒峰家についてと、俺が魔術を使えないことなどについて説明した。

「私、やっぱりリタイアしようと思います」

 やはり前回と同様優奈さんはリタイアしようとしている。

 しかし、ストーリーを攻略するためにも優奈さんには決議に参加してもらいたい。

 なのでもう一度、優奈さんと取引をする。

「優奈さん、俺と一緒に決議に参加しませんか?」

「えっ?」

 前回と同じやり方で優奈さんを説得してみることにする。

「一応俺は優奈さんに命を救われたわけですし、優奈さんの手助けをしたいです。決議に参加して、結果を残せばお父様も認めてくれるんじゃないですか?」

「でも、戦うのはあなたなのよ!見ず知らずのあなたにそこまでさせるわけには……」

 優奈さんだって決議に参加したくないわけじゃない。

 しかし、他人のことを気にしてリタイアしようする。

だから――

「いえ、俺にだって戦う理由はあります。もしも決議の参加者にやばい奴がいればそんな奴に魔術長になってほしくありませんから。確かめるためにも決議に参加したいんです。そのために、優奈さんの使い魔として俺に決議に参加させてください」

 こちらにもメリットがあると言えば優奈さんは頷くはずだ。

「いや、でも、あなたを助けたというより助けられたが正しいし、出会ってすぐの私をそこまで信じられるの?」

「はい、魔使さんだったら信じられます」

 これは偽りの無い本心だ。優奈さんは知らないが俺のは優奈さんと過ごした約一ヶ月の記憶がある。

 だから、この言葉だけは計算とか計画のようなものじゃない本心の言葉だ。

 とうとう優奈さんが折れる。

「……分かったわ。そこまで言われたらやるしかないわね。決議に参加するわ」

「ありがとうございます」

 俺がお礼を言うと優奈さんが答える。

「やめてよ、お礼を言うのはこっちの方よ。あなたが決議に参加する必要なんかこれっぽっちも無いのに私と一緒に参加しようだなんて、本当に変な人」

 前回は優奈さんにここまで言われることは無かったが、前回も優奈さんはこんな風に思っていたのだろうか?

 そうなると俺はデフォルトで変な人になるのだが。

 俺は刀也に聞いてみる。

「なぁ、刀也、俺がやったことってそんなに変か?」

「いや、そうでもないだろうこれくらい当たり前だからな」

 刀也もこう言っていることだし、優奈さんがそう思っているだけのことなのだろう。

 その後は前回と同じく、風呂に入って寝ることになった。



 夜、俺はベッドか抜け出して外へと出る。

「どうした?眠れないのか?」

 いつの間に父さんが後ろにいた。

「まぁ、そんなとこ。ちょっと散歩してくる」

 祈闘さんを探しに行く予定なので、散歩どころではないのだが、とりあえず散歩と言っておく。

「そうか、あまり遠くに行くなよ」

 ひとまず怪しまれずに外に出れた。


 祈闘さんの居場所だが、基本的に祈闘家の近くの間界で鍛錬をしていたらしい。

 なのでひとまず祈闘家の近くまで行く。


 祈闘家近く、間界。

 この辺りに祈闘さんがいるはずなので仲間にしたい。

 初めから祈闘さんが居てくれればとても助かる。

 刀也が俺に話しかける。

「早くから仲間にするのはいいがどうやって仲間にするんだ?ヘタに話しかければ怪しまれて敵対されるぞ」

「俺に考えがあるから見ていてくれ」

 そう言って俺は祈闘さんの探索を続けた。


 少しして祈闘さんが見つかる。

何体もの魔獣を相手にしながら鍛錬しているようだ。

 一匹の魔獣が祈闘さんの背後をとる。

 俺はすかさずその魔獣を切り捨てる。

「危なかったな、大丈夫かですか?」

 俺は祈闘さんに話しかける。

「……あなたが倒さなくても別に大丈夫でしたけど一応例は言っておきます。助けてくれてありがとうございました」

 少し警戒されているようだ。しかし、その程度は予想範囲内。

「あぁ、あなたに少し用があって来たからな。その前に死なれたら困るから」

「用……?」

 祈闘さんが首を傾げる。

 この時の祈闘さんは俺のことを知っているはずが無いので当たり前だろう。

 俺は話を続ける。

「結論から言うと、日魔長決議で俺と、俺の主と共闘してほしい」

 俺が決議のことを口にした途端、祈闘さんの目の色が変わる。

「あなた、いったい何者ですか⁉︎なぜ決議のことを知っている⁉︎」

 祈闘さんが己の武器である大幣(おおぬさ)をナイフのようにこちらに向ける。

「待ってくれ、共闘してほしいって言っただろ。俺の主は魔使優奈、魔使家の長女だ。当主の魔使操蛇の代わりに候補者に選ばれたんだ。で、俺はその魔使優奈の使い魔なんだ」

 祈闘さんにこちらのことを説明する。

「確かに魔使殿は候補者に選ばれませんでしたが、魔使家の長女は魔術が使えなくて魔術の世界から身を引いていると聞いたのですが……。それにあなたはどう見ても人間です。魔使家の魔術は人間を使役することはできないはずです」

 う〜ん、説明しても警戒が緩まるどころかさらに警戒されている気がする。

「おい、何が考えがあるだ!全然上手くいってないじゃないか!」

 心の中で刀也に怒られる。

 なんとか祈闘さんに分かってもらおうとする。

「えっ〜とですね。俺は体の一部が魔獣と言いますか、なんかこう、魔獣に近い存在なので【使役】魔術の対象になったんです。魔使優奈も今までは魔術が使えなかったけど最近使えるようになったんです」

 嘘は言ってない。俺の体が一部魔獣なのは本当だし、ついさっきも最近の内のはずだ!

 意識だけのはずの刀也からジト目で見られている気がするが気にしない!

「……わかりました。ひとまずあなたの話を信じましょう。ですが、共闘するかどうかは魔使優奈と会って話をしてからです」

 よし!どうやら信じてくれたようだ。

「それじゃあ、明日東神高校で話しましょう!」

「そこまで知っているんですか……」

 こうして俺は二周目では本来よりも早く祈闘さんと出会うことができた。

 

 

主人公は本来よりも早く祈闘さんと出会えたと言っていますが、元となったゲームの方でも契約イベントの後に街を出歩くと早くに出会ってルート分岐します

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