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第二十八話 未来を切り開く

今度こそ、星詠と決着をつける。

 俺がそう意気込んだ時、声がした。

「大きな魔力を感じたから来てみれば。ここにいたか」

 白い狩衣を着た星空のような髪の男、星詠未来だ。

 星詠が言う。

「勝負の前に突然逃げ出し、何やら小細工をしているようだが、無駄だ。貴様たちでは俺には勝てん」

 相変わらず偉そうな態度の星詠を挑発する。

「どうだろうな。案外、今はお前の方が下かもよ?」

「ほぅ?……」

 言葉は少ないが静かに怒ってるいるのを感じる。

「貴様たちの敗北は決定された未来だと言うのに大した口を聞くではないか」

 未来……か。そうだな、今のあいつには一体どんな未来が見えているのだろう?

 それはわからない。しかし、未来なんてものは簡単に変わるもののはずなんだ。

 だから、こう言ってやる。

「じゃあ、こっちも予言してやるよ。お前は3手後に負ける」

 未来を見通す自分に対して予言をする。

 それは星詠未来のプライドを大きく傷つけた。

「いいだろう!ならばその予言を成就させてみよ‼︎」

 俺たちの最後の戦いが始まった。


「優奈さん!」

「えぇ!」

 俺は体に魔力を纏い、優奈さんは俺に強化を施す。

 これだけでも今までとは格の違う強化がなされている。

「はぁっ!」

 俺は星詠に向かって全力で駆け出す。

「死ぬがいい!」

 星詠は50を超える数の窓を出し、砲撃する。

「【切断】!」

 俺は一瞬にしてその全てを叩き切る。

「一手目」

 俺は静かにそう呟く。

 星詠が叫ぶ。

「舐めるなよ、お前の未来は視えている!」

 

 近づいてくる俺の背中にナイフを振るって動かせない瞬間にデブリを撃ち込む。

 デブリは命中し、俺は大ダメージを負う。

 ()()()()()()()()()()


「ぐうあっ⁉︎」

 星詠が両目を押さえて呻き出す。

 星詠が叫ぶ。

「貴様っ!何をしたっ‼︎」

 星詠の眼の赤き光は弱々しくなっている。

 俺は冷静に告げる。

「この眼に視えているものならば、()()()()()()()()()()()

 星詠が呻く。

「ばかな……、未来を切った……?」

 【誓約】の効果により、俺の魔眼も強化された。

 全てを見通すこの魔眼には未来すらも視えている。

視えているのならば、たとえ未来であろうと俺の魔術で切ってみせる。

「これで二手目。さぁ、あと一手だ」

 俺は更に星詠に近づいて行く。

 星詠が叫ぶ。

「俺が負けるなどありえない‼︎【操命術・致命】!」

 星詠は秘奥を使い、更に追撃を仕掛ける。

 しかし、足りない。黒峰刀也が突然死するわけでもなく、また攻撃が当たらなければ死因にはなり得ない。

 黒峰刀也のの運命を死に誘うには星詠の力が圧倒的に足りなかった。

「おおおおおおおっ!」

 一心不乱にデブリを射出し続ける。

 俺はその全てを切り払いながら近づいて行くがとうとう星詠の努力が実を結び、一つのデブリがナイフを掠り、破壊する。

 星詠が叫ぶ。

「フハハハ!どうやら一手足りなかったようだな!このまま死ぬがいい!」

 俺は星詠の言葉に構わず振りかぶる。

 星詠は俺が殴打による攻撃をしてくると予想。

 魔術でなければ魔力強化で耐えられると体を覆う魔力を増やす。

 そして俺は()()()()()()()()

 俺の右手は易々と星詠の体を貫く。

「ごぼっ、ばかっ……な。ナイフが無ければ魔術は使えないはず」

 俺は真相を告げる。

「別に、()()()()()()()()()()()使()()()()()()()()()()()()()()()()

 星詠が顔に笑みを浮かべる。

「ふっ、そうか。これは一本取られたな」

 俺は最後のカウントダウンを告げる。

「三手目、俺たちの勝ちだ」

 俺は勢いよく右手を抜く。

 鮮血が溢れ出し、星詠は倒れる。



 星詠が今際の際に思い出すのは父の姿だった。

 強く、聡明な父は自分にとっての憧れだった。

 未来を見通し、神稚児と呼ばれた星詠にとって唯一目上と思える相手だった。

 10年前のあの日、星詠は父の死を視た。

 父が命をかけて化け物と戦うことで被害はたった2人に抑え込まれる。

 そうでなければ大勢の犠牲が出る。

 しかし星詠は父を止めた。

 わざわざ顔も知らない他人のために死ぬ必要は無い、と。

 だが父はそれならば尚更命をかける必要があると言って決議に臨み、死んだ。

 そして星詠は誓った。

 自分は父のようにはならないと、ひたすらに強さを求め、父よりも強くなることで生き続ける、と。

 自分が間違っているはずがない。

 誰しも自分の命が最も大事に決まっているはずなのだから。



 星詠が口を開く。

「黒峰……刀……也。俺……は……死なない……ために……他者を……省みず……強く……なり続けた……。俺……は……間違って……いたのか?」

 俺は星詠の言葉を考える。

「間違ってなんかないさ。誰だって自分の命が大事に決まってる」

 そうだ、星詠の願いは人間として何もおかしくなんかない。

 俺は優奈さんの方を一目見る。

 それでも――

「それでも、人が最も強くなれるのは、命よりも大事な何かを守る時なんだと思う。だから、お前は俺たちに負けた」

 星詠は自分のことしか守ろうとしていなかった。

 俺は自分だけでなく優奈さんを守ろうとした。

 その差がこの結果に繋がったのだと思っている。

 星詠がもう一度口を開く。

「結局……俺は……未来が……見えていたとういう……のに、正解が……見えて……いなかった……のだな……」

 俺は星詠に声をかけようとする。

「星詠……「舐めるなよっ!ゴホッ!」

 星詠が立ち上がる。

 傷口や口から大量の血を吹き出している。

 目は虚で足もふらついている。

 それでも、己の足で大地に立つ。

「死ねっ!」

「なっ⁉︎」

 星詠の背後に窓が現れ、デブリが優奈さんに襲いかかる。

「こっ、のっ‼︎」

 どうにか俺はそのデブリの破壊に成功する。

 まだ諦めていないのか⁉︎

 星詠が叫ぶ。

「俺は貴様たちごときには殺されない!俺の運命は、俺が決める!」

 星詠は両手を天に掲げ、その周囲に大量の窓が現れる。

「おいっ……!」

 俺は咄嗟に星詠を止めようとする。

 しかしその瞬間、一瞬だけだが星詠がこちらを見たような気がして立ち止まる。

 星詠は大量のデブリに集中砲火を受けて跡形も無く消滅した。

 星詠は死んだ。

 これにより、優奈さんの日魔長決議の優勝が決まった。

 優奈さんが口を開く。

「終わった……のね」

「はい……、これで終わりです」


 優奈さんが操蛇さんに連絡をとる。

 戦いは終わった。後は決議を終了させるだけだ。

 俺と優奈さんは決議を管理する魔道具があると言う場所に向かうことにした。

 

 

 

刀也と優奈さんが誓約を交わす未来が確定した時点で星詠の未来視は(未来で刀也に切られるため)不安定になり、自力で探したり、確実に当てるために大量のデブリを射出しなければならなくなっていました。それでも逃げずに戦おうとしたのはひとえに星詠が自身の力に自信を持っていたからです。

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