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第二十六話 死星

 俺の意識が目覚める。

 そこは間界の伊勢神宮だ。

 何度死んだって構わない。ただひたすらに星詠未来の攻撃パターンを探し出す!

 俺は優奈さんの方を一瞥して強化を施してもらう。

 そして星詠の方へと向かって行く。

 今度はフェイントなども混ぜてみよう。

 俺は姿勢を低くして構える。

 黒峰流の歩法、【短刀術・蛇行舞】!

 蛇のようにうねりながら高速で星詠に近づいて行く。

 しかし当然星詠も対応してくる。

 【蛇行舞】は緩急をつけた動きで相手の目を欺く歩法だと言う。

 それでも未来が見えているなら動きが遅くなった瞬間に当てられるだろう。

 ()()()()()()()()。なら、そこで迎撃すればいい。

 星詠が魔術の名を呼ぶ。

「【天星】!」

 狙い通りに動きが遅くなった瞬間に魔術が飛んでくる。

 俺は最小限の動きで飛んできたデブリを切りつつ、接近する。

 しかし、星詠も更に攻撃を飛ばす。

「俺の攻撃がこの程度だとでも?」

 飛んできたデブリを切り裂くが更に後ろに別のデブリが隠れていた。

 しかし――

「その攻撃はすでに見ている!」

 俺は隠れていたデブリを避ける。

 星詠が呟く。

「やはり……!」

 星詠と俺との間に大量のデブリが降り注ぐ。

 俺はたまらず距離をとる。

 星詠が俺に話かける。

「貴様……未来を変えたな?」

 どうやら星詠曰く俺がリスポーンすることでも未来を変えられるようだ。

 まぁ、過去に飛んでいるようなものなのだから当然か。

 ならやはり、何度もリスポーンして星詠が対応できないほどに未来を変えてやる!

「優奈さん!」

 俺は優奈さんにさらなる強化を願う。

「【瞬間強化】!」

 俺は更に加速する。

 目にも止まらぬ速度で俺は駆け抜ける。

 右からの魔術、左、上、更に上から次に右!

 覚えている、先程と同じ道で星詠に接近しょうとすれば星詠は同じ場所にデブリを飛ばしてくる!

 俺は星詠の目の前まで近づく。

 ナイフを振るおうとしたその時、上からデブリが降り注ぐ。

 しかし、俺はその攻撃を知っている。

「ぐぅぉぉっ!」

 俺は無理矢理体を捻り、すんでのところでデブリを避ける。

 ここからは未知数、しかし、もう星詠は逃げられない!

 その時、腹部に強い衝撃が走る。

「えっ?」

 俺の体には大きな風穴が空いていた。

「がっ、はっ」

 俺は思わず膝から崩れ落ちる。

 よく見ると俺のお腹あたりに小さめの窓が浮いていた。

 うずくまる俺に星詠が話かける。

「いい夢は見れたか?」

「……?どう言う……ことだ……?」

 言っている意味がわからず俺は星詠に尋ねる。

「どうやっているのかは知らんが貴様は未来を変えられるらしい。まぁ、それ自体は貴様たちが呪禍や四元に勝てたことからわかっていた。だが、なぜほんの少し未来が変わっただけで俺がやられると思う。なぜ未来が変えられるだけで自分たちが勝てると思う。戦いが始まった直後に未来が変わった。俺の攻撃が全て捌かれる未来に変わった。なら更に攻撃を増やせばいいだけだ。そもそも貴様たちと俺では地力が違う!今までは未来を知るが故に勝てたかもしれんが同じ土俵に立てばこの程度だというわけだ!」

 俺を見下ろしながら星詠が言う。

「立て。立って戦い続けろ。貴様たちの存在理由は魔力を振り絞って俺の贄となることだけだ」

 俺は星詠に言い返しながら立ち上がる。

「言われ……なくとも……!」

 腹の傷はなんとか再生できた。

 まだ、戦える。

「うぉああああっ!」

 俺は星詠へ攻撃を仕掛ける。

 攻撃を避ける。避ける。切り裂く。左腕が吹き飛ぶ。

 進む。避ける。切り裂く。進む。右足が吹き飛ぶ。

 再生しながら進む。右足が吹き飛ぶ。左足が吹き飛ぶ。

 まだだ、まだ――

「な……んで?」

 体の再生が途中で止まる。

 足が治りきらない。

 星詠が呟く。

「魔力切れか」

 今まで四肢欠損レベルの怪我を短時間で何度も治したことは無かった。

 魔術だってすでに何十回も使っている。

 この世界に来て初めて俺の魔力が底をついた。

「まだよ黒峰くん!」

 俺の体に魔力が注ぎ込まれる。

 これは……優奈さんの魔力!

 俺の体がまたもや再生し始める。

 星詠がその光景を見て言う。

「使い魔に魔力を送ったのか。しかし、先は無いぞ」

 俺に目掛けてデブリが飛んでくる。

 俺は立ち上がりそれを切り裂く。

 優奈さんの方を見る。

 少し辛そうだ。おそらく、俺にほとんどの魔力を送ってくれたのだろう。

 そうか、これが1人で戦っているんじゃないの答えか。

 俺は星詠に向かって行く。

 今度こそこいつを倒す!

 向かってくる俺に向かって星詠が言う。

「貴様の底はもう見えた。疾く、死ね」

 星詠の魔力が高まる。

 これはまさか……!

「星詠家秘奥【操命術・致命】」

いきなり寒気がし始める。

 なんだ?まるで心臓を直接掴まれたような感覚だ。

 だが、何も起こらない。

 失敗したのか?ともかく、近づかなければ勝てない!

 俺は星詠に近づいて行く。

 星詠が魔術の名を呼ぶ。

「【天星】」

 飛来するデブリ、俺はそれを切ろうとする。

 その時、ほんのわずかにデブリの軌道が逸れた。

 ナイフは空振り、デブリは俺の胴体に直撃する。

「がっ⁉︎」

 俺は何メートルも吹き飛ばされる。

 体が大きく抉られている。

 再生――できない⁉︎

 どういうことだ⁉︎さっきと違って魔力はあるはず。

 なのに再生できない⁉︎

 慌てる俺を見て星詠が説明する。

「不思議か?それは我が家の秘奥、【操命術・致命】の効果だ」

「操……命……術?」

 俺は星詠の言葉をオウム返しにする。

 星詠が説明する。

「この魔術は占いの究極形のような物だ。この目で見た他者の運命に介入し、運命を変える。今回は俺の攻撃がどうあがいても貴様の命を奪うという運命に変えた。これにより、たまたま当たらないはずの攻撃が当たり、なぜか傷が再生できなくなるということになった。つまり、貴様の死はすでに決定された」

 まずい、本当に再生できない。

 自分がどんどん死に近づいていくのがわかる。

「待って!」

 優奈さんが突如声を上げる。

「私は今からリタイアする。だから黒峰くんにかけた魔術を解いて。私がリタイアすれば戦う理由はなくなるでしょう!」

 星詠が優奈さんを見つめる。

 その目は氷よりも尚冷たい凍てつくような目だった。

「敵に対して命乞い……か。残念だ。貴様はもう少し賢いのだと思ったが。今お前がすべきは敵に止めを刺して油断している俺を不意打ちで殺すことだった」

 無茶を言う。優奈さんは俺にほとんどの魔力を渡して限界だ。

 油断しているとはいえ、魔力で体を強化している魔術師を殺す方法なんかありはしない。

 星詠は何かを思いついたように言う。

「そうだ、貴様を殺そうとすればこの使い魔ももう少し踏ん張ってくれるか?」

 その言葉に俺は戦慄する。

 星詠の背後に窓が出現する。

 星詠が叫ぶ。

「さぁ、使い魔!貴様が立たねば主人が死ぬぞ!」

 俺は立ち上がろうとするが体に力が入らない。

 星詠が魔術の名を呼ぶ。

「【天星】」

 流星が優奈さんを跡形もなく吹き飛ばした。

「星詠ぃっ‼︎」

 俺は怒りによって立ち上がり星詠に攻撃する。

しかし、その攻撃は難なく避けられる。

 星詠はただ一言。

「終わりだ」

 上空から落ちてきたデブリが俺の体を貫いた。

 

 

 

 

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