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番外編 魔術の夜明け

それは俺、黒峰刀也が優奈さんと特訓をしていた時。

 俺は優奈さんにふと思いついた疑問を尋ねる。

「そう言えば優奈さん、基礎魔術は基本的に誰でも使えますよね、どうして基礎魔術はできたんですか?」

 基礎魔術、それは魔術師が魔力操作を覚える時に学ぶ魔術、自身の魔力を地水火風の四属性のどれかに変化させ、放つ魔術である。

 ただし、その威力は低く、魔力で体を覆った魔術師には傷一つつけることができない。

 魔力操作を覚えるため、と言ってもそれこそ、身体強化や自身の固有魔術でやればいいことではないだろうか?

 そんな疑問を覚えたため、俺は優奈さんに質問した。

 優奈さんが答える。

「そうね、基礎魔術が作られた理由を語るにはまず、魔術の歴史を話さなくちゃね」

 こうして、優奈さんによる、魔術の歴史授業が始まった。




 はるか昔からこの世界に魔獣は存在していた。

 この世界に魔力と人が存在する限り魔獣もまた存在するからだ。

 そして魔獣は生あるものを襲う。

 故に人々もまた全力を賭して戦っていた。

 時は古代ギリシャ、人々は魔獣の脅威を恐れながらも戦っていた。

 魔獣にも物理的な攻撃は通じる、しかし、魔獣の皮膚は鉄のように硬く、その牙や爪はどんな名剣よりも鋭かった。

 そのため、魔獣と主に戦うのは『英雄』と呼ばれる人々だった。

 当時の人々は知るよしも無かったが英雄と呼ばれる人々は魔力に適正を持ち、無自覚に身体強化を発動することで魔獣と戦っていた。

 それでも身体強化だけでは限界があり、間界から溢れた魔獣を狩るだけでもかなりの被害が出ていたりした。

 そんな中1人の男が立ち上がった。

 名をマギアレスと言った。

 マギアレスはどうして英雄と呼ばれる者は強いのか、どうして魔獣はあれほどまでに強いのかを考え続けた。

 マギアレスは時折り、英雄が戦う時に何かしらの力を纏うのを感じていた。

 そこからこの世界には何か不思議な力が満ちていてその力によって肉体を強化できるのではないかと考えた。

 マギアレスは友人であった英雄と実験を行うことにした。

 まずは英雄に己が内に存在する力の自覚から始めた。

 感覚的な説明を都度繰り返し、とうとう、力の自覚に至った。

 後に魔力と呼ばれる力である。

 魔力を自覚したことで英雄は自由に身体強化をできるようになった。

 戦える者は増えたがそれでも被害はなかなか減らなかった。

 故にマギアレスはさらなる魔力の使い方を考え出した。

 当時のギリシャには世界は火、水、土、風の四つの要素によって構成されているという説があった。

 マギアレスはこの説に目をつけた。

 魔力は世界中に存在している。

 ならば、魔力が四つの要素に変化することで世界を構成しているのではないか、そう考えた。

 それからマギアレスは魔力の属性を変化させる実験を始めた。

 この実験は困難を極めた。

 なぜなら誰も魔力の属性の変化のさせ方など知らず、そもそも、変化させられるのかすらわからなかったからだ。

 それでもマギアレスは諦めなかった。

 変化させる属性は火、これが最もイメージしやすいと考えたからだ。

 ただひたすらに念じ続けた。

 そしてとうとうその日が来た。

 マギアレスの魔力が熱を帯びたのだ。

 その熱は体温より僅かに暖かい程度、それでも確かにそこに熱が生まれた。

 人類が世界で初めて魔術を使った瞬間である。

 その後も実験は続き、他の3属性への変化も為された。

 その魔術は魔力操作の延長上にあり、魔力を持つ者であれば誰しもが使うことができた。

 これにより、人々は魔獣の脅威に対抗できるようになった。

 初めての魔術が完成した時、マギアレスはその名も無い技術に名前を付けた。

「この不思議な術に名前を付けよう。魔術(mageia)はすでにあるからな、それとは別の名前にしたい。……この術の名前は魔術(Magia)。うん、マギアとしよう」

 こうして魔術は夜明けを迎えた。

 その後魔術は世界中に伝わり、固有魔術を発現する者も現れるようになった。

 発現した本人しか使えない固有魔術に対して、誰もが使えるマギアレスの魔術を基礎魔術と呼ぶようになった。

 固有魔術を発現する者が現れてからは戦闘で使われることは無くなっていったが、それでも魔力操作の練習などで人々に今も使われ続けている。

 そして極東の国に伝わった後、基礎魔術に魅せられ、己が固有魔術にまで昇華させる者も現るのだが、それはまた別の話。



「とまぁ、こんな感じで基礎魔術は生み出されたの」

俺は優奈さんの話を全て聞いて感心する。

 今では当たり前にある基礎魔術でも当時としてはいくつもの困難の末に成された偉業だったのだと。

 この世界はゲームかもしれないが、それでもこの世界に確かに歴史はあるのだと知った。

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