あるパーティーの備忘録-17
4.パトロンって、美味いのか?
「僕が実習で街の外に始めて収集に出るときに、護衛としてガロン師やレイブンを雇った日のことを、昨日のことのように思い出せます」
魔術師バルナスはしみじみと言った。
「我が神の思し召しにより、よき出会いが生まれたの」
ドワーフのガロンは得意そうに答えた。
「戦神様っていうよりも、ガロンのオッサンのおかげっていう気が、すごくするけどな」
戦士レイブンは、自分が冒険者として歩き出した日のことを思い出していた。
オレの名前は、レイブン。家名は無い。傭兵団・燃ゆる骨所属の戦士である。年齢はよくわからないが、たぶん12歳ぐらいだろう。
オレは元々、戦争で消滅した村の生き残りだ。廃墟でウロウロしているところを、傭兵団に拾われたのだ。最初は雑役夫扱いだったが、武器の扱いに適性を見出されて、戦士として教育されたのだ。今日は団長に時間を作ってもらい、成人後の進路についての相談をすることにしている。
「お前は、どう生きたい?」
直球勝負の団長の言葉に、オレも直球で答える。
「冒険者になりたい」
「ほぉ……」
団長は目を細めると、こう尋ねた。
「理由を聞いてもいいか?」
「冒険者って、街のヒトの役にたてるだろ? オレはそんな風に、ヒトの役に立てる冒険者になりたいんだ」
「具体的に順序立てて説明してみろ」
オレは考えていたことを話した。あまり話すのが得意じゃないけど、思いのたけをぶつけるつもりだ。
傭兵団の副業として受けた冒険者の仕事を終わらせた後に、感謝の言葉をもらえて嬉しかったこと。また仕事を受けたいと思ったこと。草刈りだけじゃなくて、物置の雨漏りの修理とか、部屋の模様替えに伴う家具の移動とか、これから受けてみたい仕事のこと。
隊商の護衛で他の街に行ってみたいこと。見たこともない景色や、食べたことのない食べ物に対する興味。まだ見ぬ仲間たちとの出会い。ダンジョンに眠っているというお宝に対する憧れ。討伐依頼や収集依頼に対する興味。
何度も同じ話を繰り返したり、うまく言葉が出てこなかったりしたけれど、オレの伝えたい事は全て言ったつもりだ。
「団としてはすこし残念だが、お前の選択を尊重しよう」
「あ、ありがとう?」
団長はオレの選択に反対しなかった。
「冒険者になるなら、もう1つぐらい技能があった方がいいな」
それどころか、こんな提案をしてくれたのだ。
「お前の能力だと、レンジャーになれるかもしれんな。明日から、レンジャーになるための訓練をさせてやろう」




