あるパーティーの備忘録-16
バルナスの話を聞いていた他の3人は、乾いた笑いを浮かべていた。
「隠していた性癖が白日の下に晒されるのは、誰もが避けたいところではあるのぉ」
ガロンの言葉に大きくうなづく。
「そんなワケで、僕が入学するころには、寮規則に部屋の掃除の徹底が、新規に規定されたと聞いています」
「なかなかに人外大魔京なんじゃな、賢者の学院ってところは」
「否定はしません」
バルナスの次の言葉で、空気が凍り付いた。
「研究室によっては、幽霊とかゾンビとかがウロウロしているなんていう事例もあるようです」
「幽霊に、ゾンビ?! 早急に神官を派遣して浄化せんかっ!!」
吼えるガロン。飛び出していきそうなガロンを慌てて抑え込むレイブン。ニコニコと笑っているジュール。苦笑を浮かべるバルナス。その場は、一気に混沌の度を深めた。
「あそこは治外法権ですから、街に被害が出るまでは、手を出せないですよ?」
バルナスのセリフがガロンの暴走に油を注いだ。混乱はしばらく続き、ついに、雇い主から文句を言われてしまった。
「申し訳ありませんが、そろそろお静かに」
「まあ、楽しい学園生活……でしたよ?」
「なぜ疑問形なんじゃっ!?」
テヘペロとでも言いたげな様子のバルナスに、ガロンが律儀に突っ込んだ。さすがに小声になっていたが、その表情は険しかった。
「あそこで学んでいたからこそ、ガロン師やレイブンと知り合えることが出来ましたからね」
さっきまでの雰囲気から一変して、バルナスの表情は真面目なものに変わっていた。
「僕たちが出会う確率って、とても小さいですからね。なのに、出会い、こうして一緒に冒険に出ている」
バルナスは言葉を切ると、しみじみと続けた
「神の見えざる手とか、運命とか、そういう概念は好きではありませんが、何か人知を超えた力が働いたのかなぁ……と、思います」
「それこそ、神の意志じゃろう」
言い切るガロン。
「それを研究するのも、面白そうですね」
バルナスの言葉が静かに夜空に溶けていった。




