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あるパーティーの備忘録-14

3.目指せ、大魔法使い


「無茶をしておるな」

 ドワーフのガロンは、大きなため息をついた。

「神殿の庭先から、神官のタマゴをかっさらってくるとは……」

 ガロンは若干まじめな表情を浮かべた。

「宗派によっては、暗殺者を差し向けられても、文句は言えんところじゃぞ?」

「そこは、ニスシャ様のところですから」

 魔術師バルナスの笑みは、哄笑一歩手前といった所だった。

「他と違って狂信者も少ないですし」

「否定できんところが、なんともいえんわい」

 ガロンは苦笑を浮かべていた。これが至高神(ヴェリスラー)あたりだと、けっこう狂信者が多くなってくるのだ。


「おぬしらの馴れ初めは理解した」

 ガロンはどことなく疲れた様子だ。

「遺憾ながら、ジュールが神官を副業と言い切る理由もな」

 ため息。ガロンの幸せゲージは、かなり減っているに違いない。

「しかし、疑問が残るの。なぜお主は商人ではなく魔術師となったのじゃ?」

 ガロンの問いにバルナスはこう答えた。

「商家の3男の進路なんて、お先真っ暗ですからね。行商人として独立するか、どっかの商家に婿入りするか」

 バルナスの苦笑が大きくなる。

「大きな商会とかなら、支店を任されるなんてこともありますが、ウチの実家はそこまで大きくありませんからね」

「どう反応してよいやら、困ってしまうぞ」

 微妙な表情のガロン。バルナスは特に気にした様子はない。

「それに、僕には夢がありましたから」

「夢とな?」

 バルナスはこう答えた。

「賢者になりたかったんですよ。学ぶことは好きでしたからね」

「ほぉー」

 バルナスは火を見つめながら答えていく。

「街の学問所を優秀な成績で卒業した僕は、祖国に1つしかない高等学問所に通うことができました。推薦状を発行してもらい、入学試験に合格したんです」

「高等学問所とな?」

 ガロンの疑問に答えるバルナス。

「文字通りの高等教育機関ですよ。大きな街の高級役人なんかを養成する機関ですね」

「ふむふむ」

「高等学問所でも優秀だった僕は、河のこっちの賢者の学院への推薦状を発行してもらうことが出来たんです」

「ちょっと待たんか」

 ガロンが遮った。

「お主の祖国って、たしか、魔術師嫌いで有名な所では無かったかの?」

 バルナスは悲しそうな表情で答えた。

「このカッコだと、都市部でも袋叩きにあいますね」

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