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あるパーティーの備忘録-13

「番頭さんを呼んできて」

 僕は若い方の護衛に番頭さんを呼びに行かせた。番頭さんが来る前に、彼女に確認しておかなくてはならないことがある。僕はできるだけ何でもない風を装い、こう尋ねた。

「ジュールちゃんは、どれぐらい前からおまじないが使えるようになったの?」

「おまじない? 今日が初めてだよ」

 彼女は自分の発言の意味を、どこまで理解しているのだろうか。

「初めてのおまじないだったんだね。じゃあ、ジュールちゃんがおまじないを使えることを知っているヒトは、僕たちの他にいるのかな?」

 ゴクリ。思わずツバを飲み込む。

「いないよ」

 これは、もしかすると、もしかするのかな? 僕は周囲を見渡した。孤児院の裏の日当りの悪い一角には、僕ら以外の人影は見当たらない。

「そうなんだね。ジュールちゃんのおまじないのことはさ、僕たちだけの秘密にしない?」

「ひみつ?」

「そう。他のヒトには内緒の、僕たちだけの秘密。どうかなぁ?」

 僕はジュールちゃんの目を覗き込んだ。ジュールちゃんはしばらく考えていたが、ニコっと微笑むと、こう言った。

「あたしたちだけの、ひみつ」

 第一関門突破。内緒とか秘密とかが嬉しい年頃の子で、助かった。僕も同じような年齢だろうって? 商家で揉まれていると、他の子供よりも早くから夢と現実の区別がついてくるんだよ。

 誰にも知られていない神官のタマゴを見つけたんだ。このまま連れて帰らなければ、もったいないじゃない。僕がチラリとベテランさんを見ると、彼は称賛の光を目に灯していた。若い脳筋さんと違って、状況を完全に把握しているらしい。

「ゆびきりをしないと、いけませんな」

 ベテランさんは笑いながらフォローをしてくれた。

「ゆびきりげんまん、嘘ついたら、針千本のーますっ。ゆびきった」

 僕とジュールちゃんは、ゆびきりを交わした。


 番頭さんが到着し、ジュールちゃんの養子縁組の手続きは、滞りなく完了した。番頭さんの養女となり、メイド見習いとして我が家に住み込みで働くことになったのだ。

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