↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
よもやまストーリー  作者: 妻戸裕次


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
17/24

第17話『卑弥呼、5Gに降臨す』

その日、官邸には

妙な静けさが降りていた。

風も止まり、時計の針すら遠慮がち。


ただ一つ動いているのは――Wi-Fiのランプだけ。


高市総理、正座。


机の上には、銅鏡とタブレット。古代と現代、まさかの同席。


「……来るわね」

その一言で、空気がピリつく。


側近(小声)

「総理、それただのオンライン会議です」


次の瞬間――

画面、暗転。

霧、もわっ。

出た。


「我は卑弥呼――」

「はい、音声クリアです」

早い。対応が現代すぎる。

「ここはどこだ」

「官邸です。回線は5Gです」

「ごじー……新たな神か」

「いえ、速いやつです」


沈黙。

時代が、ちょっと戸惑う。


議題は「民の心をどうまとめるか」。


卑弥呼は占いや神託で人々を導いたと語り、高市総理はデータと政策で国を動かすと説明する。


「私は見えぬ声を聞き、国を治めた」

「私は見える数字を読み、国を運営しています」


「では、民は従うか?」

「SNSで炎上します」


「炎……火攻めか?」

「心が燃えます」


しばしの間、

古代と現代が見つめ合う。


祈る者と、ログインする者。

占う者と、分析する者。

どちらも王。

どちらも、ちょっと孤独。


「……王とは、ひとりよな」

その言葉だけは、千年を軽々と越えてきた。


「ええ。でも現代は」

一拍おいて、高市総理。

「Wi-Fiがあります」

「それは良いな……」

卑弥呼、ちょっと羨ましそう。


通信、終了。

静寂、復活。


Wi-Fiランプだけが、やけに誇らしげに点滅している。


側近、震え声。

「今の、なんだったんですか……?」


高市総理、さらり。

「古代からのビデオ通話よ」

一呼吸。

「意外と、遅延なかったわね」


その日から、官邸の回線名は変わった。  Yamatai-Net。


パスワードは――

誰も知らない。

たぶん、神託で決まる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。