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※下ネタ、妊娠に関する会話があります。

 やっぱり風呂、いいなぁ。


 自分の家を持つなら、風呂は要るね。

 絶対要るね。


 パウル兄さんも出て行ったあと、私はゆっくりと広い浴槽を堪能した。

 一人じゃないのが若干不満だが。


「なあアリー、なにおっ勃ててたんだ?」

「やめてくれるかな!?」


 大したことがなくても反応する年頃なことくらい、わかってるだろうにこの兄は…!


「人が誤魔化そうとしていることを蒸し返すんじゃないよ!?」


 原因は石鹸だが、知られたらさらなる揶揄いのネタを提供するだけである。「こいつ石鹸の匂いで勃起してたー」とか言いかねない。きっと言いふらそうとする。絶対言わないからな!


「いやー、弟が順調に成長してんなーと思って」

「白々しいぃぃぃ!」

「だってお前あんまり女に興味なかったじゃん」

「別になかったわけじゃないし」


 確かに、実家にいる頃は女の子より趣味が大事だった自覚は、あるけれど。

 貧乳なエルフに興味がなかっただけである。


「まあ、エルフにはいない感じだな。ロザリンさん」

「……おう」


 どこ見て言ってんだよ、それ。事と次第によっては許さんぞ。


「好きなのか?」


 気まずくて出ていきたかったが、この兄にしては真面目な声に、つい留まった。


「……好きだよ」

「胸が?」

「全部だわ馬鹿たれ!」


 なんてこと言うかな…!


 ……。


 ……うん? 今、私、テオの前で何言った?


「なら、大事にしろよー」


 テオは軽い言い方をしたけれど、たぶん、茶化しているだけではなかった。


「わあああぁぁぁぁ!」

「叫ぶな煩えー!真っ赤だな!!」


 やかましいよ。

 昔からこの兄には翻弄されっぱなしだ。

 だから近づくときはつい身構えてしまう。


「ロザリンさん、いい人そうだな」

「うん。私が一番困ってるときに助けてくれた人だったんだよ…」


 そうだよ。

 ロザリンがいい人なのは百も承知だよ。


「お前にはもったいないな」

「急に失礼だなテオ」

「いや、割と本気で」

「そういうとこ、本当に失礼!」


 茶化したかと思えば、こちらを気遣ったり、的を射たことを言ったり、また茶化したり。

 この兄の相手は非常に疲れるのだ。


「なあアリー」

「うん?」

「何で結婚しようと思った?」


 唐突だな。


「その…いろいろ違うだろ? …生きる時間、とか……」

「…うん。他人の嫁になったところを想像してみろ、って人に言われて。…短い時間しか一緒にいられないなら、できるだけ近くに居なきゃだめだ、って、思ったんだ」

「友達か?」

「うん。友達」

「…そいつも人族?」

「……うん」


 終わりだけ見て始めないんじゃ意味ないだろう、と言ってくれた友もまた、人族だ。


「なあアリー」


 今度は何だよ…。


「お前、デカいね」

「うるさいよ!?」







*




「アリーが叫んでるわねぇ」

「えっ?」

「まぁ大したことじゃなさそうだわ」

「はあ…」


 お風呂から上がって、マギーさんと私が今いるのは、私にと用意されていた客間。

 ベッドの上に、持ってきている寝衣や下着を並べている。ちょっと恥ずかしい。

 採寸の際身につけていた下着にマギーさんがとても興味を示したため。

 数枚、お店に居た頃に入手したものもあって、マギーさんが特に興味を示しているのがまさにそれだった。


「こっちのは?」

「これは王都の服飾工房のものですね。これも同じ工房のものです」

「まあぁぁぁ! こういうの、やっぱり私も欲しいわ……!」


 マギーさんがここまで興味を示すのには、理由があった。

 ここ数年、密かに悩んでいたことがあったらしい。


 なんでも、早めに子どもが欲しい、と。


 アルが以前言っていたことがある。

 健康な若い夫婦が毎日しても30年に1人生まれるかどうか、と。


 クラウスさんは、頻度としては普通のエルフ成人男性そのものらしい。

 とても標準的、とのこと。

 気が引けたものの聞いてみたら、人族だったらだいぶ淡白なほうだったみたい。

 一応、結婚して二百年、三百年は夫婦二人きり、というのはエルフには珍しくないらしい。

 けれどマギーさんは、実家が子だくさん家系でもある。

 子どもも好きで、できることなら、もっと早く欲しかったらしい。

 クラウスが悪いわけじゃないのよ?まだ結婚したばかりだし、私がせっかちなだけ、と笑って話しているけれど、その声の奥には、想いをひとりで抱えてきた寂しさがあった。


 おかしいわね。私が一番よく知ってるエルフとはだいぶ違うみたい。


 ……と、思ったのだけど。少し心当たりはあった。

 婚約前! そうよ、婚約前!

 あのひと、やたらよく来るくせに、いつもお風呂に入ってお話して寝て帰るだけの、特殊な人だったじゃない…!

 もしかしたら。

 実際には、その気になるまで時間がかかるというか、切り替わるまでが遅いだけなんじゃないかしら。

 しつこいくらい誘っても気づかず、もう直接的過ぎるほど直接的に誘わなければ、全然その気にならなかったくらいだったし。

 

「もしかしたらなんですが…。きっかけがあって、誘っているって気付いてもらえたら、変わるかもしれませんよ?」


 だってアルったら、私が着てるものにかなり反応するもの……!

 あの人、何に反応してたかしら。

 順に思い出してみる。

 今日も浴室で使ったあのいい匂いの石鹸もそうだし、シユラーデ風の寝衣も、そうね。


「…どうしたらいいのかしら」

「香りとか、普段と違う髪型とか。あと、下着や寝衣でそういう雰囲気になることもあると思います」


 マギーさんの望みが叶いますように…!!




***




「お父さんあのね」

「うん?なんだいノア。小さな声で、ナイショ話かい?」

「うん。あのね、兄さんね」

「ちょっとまてノア。何を言おうとしてるの!?」

「兄さんね、お母さんよりおっぱいおっきいね」

「ぎゃはははは!」

「テオ!? 人の大胸筋のことで笑わないでくれる!?」

「母さんは……あれでいいんだ」








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― 新着の感想 ―
雄ッパイ笑ったww
骨格が細いだけでボディビルダー並の筋肉な感じかな…筋肉書き込んだ塗り絵みたいになってそう
実家は家庭円満っぽくてよき!
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