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※避妊に関する会話と、性行為を示唆する表現があります。

「なにそれカワイイ!」


 銀麦亭に帰ってきて、出迎えてくれたロザリンちゃんと夕食をとってから部屋に行くと、ロザリンちゃんに後ろを向いて待てと言われた。


 なにかな、なにかな、とドキドキしながら待った。

 布地の擦れる音に期待が膨らんでしまったのは私の脳内がピンク色だったせいなのか。


 もういいわと言うので振り返ったら、彼女は素敵な衣装を着ていた。

 紺地のワンピースに白いエプロン。

 思ってたのと方向性が違ったけど、おっきなお胸が可愛いです。きちんと測って作ったみたいにぴったり合ってる。


「ん?どっかで見たことが…」

「どこだったか思い出してみて?」


 私から正解を引き出そうとするロザリンちゃん、ほんとに可愛いです。

 いや、ロザリンちゃんが期待して待っているので真面目に考えよう。

 うーん。


「アレ?よく見るとこれってここの人たちが着てるやつ!?」


 胸元のサイズのせいか他の人と別物に見えるんだよね。

 ここの制服、なんか少し微妙とか思ってたけど、ロザリンちゃんが着てるものだとバランスよく可愛く見える。不思議な服だ。


「ええ。明日から働かせて貰えることになったの」

「そうなの!?」


 私の居ない間に何があったの。

 それもそうだけど、よくロザリンちゃんサイズの服があったね。

 すっごい特殊サイズだと思うんだけど。

 しかし。


「うーん。明日からかぁ」

「なぁに?」

「んー、明後日から数日、多分2泊くらい?ちょっと長さは読めないけど、みんなとダンジョン潜ってきます。…うぁあ。ロザリンが銀麦亭で働く姿が1日しか見れないっ!3日くらいずっと見守っていたい!」

「そうなの…。お馬鹿なこと言ってないで。仕事なら仕方ないわ。怪我なく帰って来てね」


 ロザリンちゃんの声が少し寂しそうで、心苦しく感じながらも寂しがってくれるのかと思うと妙に嬉しくて、複雑だった。


「はぁい…。あっ、戻ってきたら実家のほう行こうと思うんだけど、ロザリンもいいかな?」

「うん。ゾフィさんに相談しておくわね。ねぇ、アルフレートの実家までってどれくらいの距離?」

「んー…馬車だと2、3日くらいだけど、ポチさんの脚だと最速1時間半、休み休みゆっくり行っても4時間くらいじゃないかな?たぶん」

「近いのか遠いのかいまいち判らないわ」

「案外近いよ?」


 速い速度を長時間維持できる狼系統の魔物の脚だとかなり近く感じるんだよね。


「ねえ今日は結局どんな仕事をしたの?」

「草原のほうで大発生したゴブリンの討伐。放置してたからか、すっごい大きい群れになっちゃってたよ。3人で規模の大きめな魔法打ち込みまくってなんとか制圧した」


 今日の私は頑張った。

 フェイに「はっちゃけてますね」と言われたくらいテンション高かった。

 確かに自分でも張り切りすぎだろとは思ったよ。

 でも自分では止められなかった。

 おかげで結構疲れてる。そういう日はお風呂に入りたいよね。

 思い出したせいかもだけど、今切実にお風呂が欲しいと思ったよ。

 私は仕事から帰ったらゆっくりバスタブに浸かりたい。

 自宅には必ず設置したい設備だね。


「さて、と。私、シャワー浴びてくるね。今日は頭から砂被っちゃって…。うあー、じゃりじゃりする」


 コートを脱いだらパラパラと砂が落ちた。

 今日だけでだいぶ埃で汚れたような気がする。


「いってらっしゃい」


 笑顔で洗濯サービスから返ってきてた着替えを渡された。

 なんかいいな、こういうの。


 ほくほくした気分でシャワールームに行くと先客が居た。

 シャワールーム内は3つのシャワーブースがあり、仕切られていて、目隠し兼扉があって頭と足しか見えないようになってるけど使用者の有無がすぐ判る構造になっている。

 女性用も同じ構造なんだろうか。

 なお、男性用シャワーブースにいたのは見知った紺の髪と脹脛の形状からしてルドルフだ。

 私はとくに声をかけることもなく、隣のブースに入って服を脱いでマジックバッグに仕舞った。

 コックを捻ると若干ぬるめな湯が頭上から降り注ぐ。

 好みを言わせてもらえばもう少し熱い方がいいな。

 湯量も充分だしそんな贅沢言えないんだけどさ。


「うわ、汚っ!」


 視界に入った足元に、つい声が出た。

 砂というべきか埃というべきか、とにかく流れ落ちたもので湯に色がついてた。汚れっぷりに吃驚だ。


「アルフレート?」

「あ、ルドルフおつかれー」


 髪と身体を洗って泡を洗い流し、キュッとコックを捻って湯を止める。

 身体を拭いて下着だけ穿いてからブースの外へ。冷風を自分に向けて送り、涼んだ。


「アルフレート、俺にもくれ」

「んー」


 同じように出てきたルドルフにも送風。

 

「あ"ー」

「今日は何してたの?」

「マデリーンとダンジョン下層の下調べにギルド行ってた。お前は?」

「リィナとフェイと3人で、草原に巣作って増えまくってたゴブリンの殲滅」


 互いに今日のことや明日の予定を報告し合ってから服を着て、その場で別れた。

 出たついでに歯を磨いてから部屋に戻ると、ロザリンちゃんが椅子に座って濡れた髪を拭いているところだった。


「乾かすよ」


 傷めてしまわないように気を使いつつロザリンちゃんの真っ赤な髪を温風で乾燥させる。

 最近益々つやつやになってきていて、すごく綺麗。


「ありがとう」

「どういたしまして」


 シャワールームから出るためだけに着た服を脱いで仕舞って、いつものグラスを出して、氷を入れ、ウィスキーのボトルを出して適当に注いだ。

 ロザリンちゃんも要るかな?念の為もう一つグラスを出して、形成した氷だけ入れとく。

 行儀悪いけどベッドに上がって脚を投げ出し寛いで、魔道具作りの入門書のページをパラパラと捲った。

 銀麦亭に帰ってくる前に寄った書店で購入したものだった。

 20ページほど読み進めたころ、ロザリンちゃんがベッドに上がってきた。

 手には私のと揃いのグラスがあって、酒は結構減ってた。


「ごめん、つい集中してた」


 そう言いながらも私の視線は彼女の胸元から離れられなくなっていた。


「ううん。いいの。アルフレートを眺めてたの。私こそ邪魔してごめんなさい」


 グラスを空にしてからサイドテーブルに置き、本をぱたんと閉じて適当に置く。

 朝拒まれたので夜なら良かろとくっついたら、エッ?て顔をされた。何故。


「え…駄目…?」


 嫌なら仕方ない…。

 我慢はできる。すごく残念だけど。


「駄目じゃないけど…珍しいな、って。あなたせいぜい1か月に1度くらいしかしなかったじゃない。しょっちゅう来てはいたけど」

「いや、うん…仕事だからじゃなくたって私としてくれるんだなぁって思ったら嬉しくて。…………嫌だったら減らすね…」


 自分でも不思議なんだけど、今日もすっごくしたい。

 拒まれたなら仕方ないけど…。

 別に抜きたいわけじゃないんだよ。昨日したし別に溜まってない。

 そういう意味では半月に1回でも充分なんだけど…。

 なんなら挿入もナシでいいと思った。よく考えたらただロザリンちゃんに触れたいだけだった。


「まあいいや。くっついてるだけでも嬉しいし」

「い、嫌なわけじゃないのよ!?」

「そう?触ってもいい?」

「いいわよ」


 承諾をもらったので心置きなくロザリンちゃんに触れる。すごく楽しい。毎晩触りたい。

 もしかしてウチの父さんが飽きもせず毎日なのはこういうことか?

 あれ?私も子沢山コース?

 いやまて、それはさすがにまずい。ロザリンちゃんの負担が大きすぎる。

 よく考えたらロザリンちゃんは毎月魔法を掛けてもらうことで避妊していたはずで、もしかしたら今は掛かってない可能性も…?

 日数から考えると、昨日なんて結構危なかった…?

 同族間ではなかなか出来なくても他種族とだと格段に出来る確率は上がるらしいので、何も考えずにしてたら簡単に出来てしまいそうだ。

 あかんて。


「ね、ねえ、こんなこと今更聞くの恥ずかしいんだけど、避妊ってどうしたらいい?人族って普通どうしてるの?やりかた知らなくて」

「エルフはしないの?」

「健康な若い夫婦が毎日しても2、30年に1人くらいしか生まれないのに避妊なんてしてたら、種族が滅びます」

「その状況下でよく避妊という言葉自体を知ってたわね」


 異世界の人族だった朱里さんの記憶が無かったら知らないし意識すらしてなかったと思うよ。

 あれ?

 世の中に意外とハーフエルフを見かけるのってそのせい?


「そういうのがあるって知識だけはある。受精もしくは着床を妨害すればイケるはずって理屈くらいは解る。ただ普通どうやってるかとか一般的なやりかたは知らない。家を出るとき、他種族とだと子供出来やすいらしいから結婚するまではそういうことしてよそのお嬢さん孕ますなと父さんに言われた記憶があるけど、具体的にどうするとか聞いてない」


 ルドルフに聞いたときは回答をぼかされたし。

 父さんのあれはもしかして行為自体をするなという意味だったのだろうか。もう遅いが。


「一番楽なのはやっぱり産院とかの魔法医に魔法掛けてもらう方法ね。今までと同じ」

「あ、産院でするんだ…」


 産婦人科的な感じなんだろうか。


「あとはそういう効果のお茶を二人で毎日、必ず一回飲むのとかは安上がりらしいわね」

「忘れそうで無理だし身体に悪そう」


 ピル的な感じ?

 その他いろいろな避妊具について説明された。


「いやごめん理解したからその先言わなくてもいいから!」


 恥ずかしそうに俯いて言い難そうにしてるロザリンちゃんの言葉を遮り、強制終了。

 一応コンドーム的なものは存在する、と。


「ねえ、アルはそういう魔法、掛けられないの?」

「どういう意図の魔法をどこに掛けてるかが最低限わかんないと同じ魔法は使えないかな…」

「…あの、ね……アレって結構恥ずかしいのよ…。診察台の上で脚を広げさせられて。………嫌なの」


 ぅお、ガチで産婦人科だった。


「うーん…。全く同じじゃなくていいなら、まあ可能かなぁ…」


 子宮内に精子が侵入できなくしとけばいいんじゃないかな?

 水の中で呼吸するときの、気体以外は気管に入らないようにする魔法みたいな感じでイケそうな気がする。


「できるの?」

「たぶん…。子宮内に精子が辿り着けなくすればいいわけだから、通れないとこを作ってやればいいんじゃないかな。してみようか?」

「うん」


 ロザリンちゃんのお腹に右手を置いて、魔法を掛けてみる。

 精子の侵入を阻む、としておこう。効果の持続は今までと同じ約1か月くらいにしておけば魔力もさほど要らない。


「待って、今、脱ぐから」

「うん?」


 目の前で始まるストリップに、もうおわったよとは言えないまま、つい眺めてしまった。

 魔法はすぐに終わったんだけど。

 慌ててそれを伝えたら、私の慌てようが可笑しくて笑ってしまったらしい。

その笑顔が可愛くて、結局、私は今夜もロザリンちゃんを美味しくいただいたのだった。





「ゾフィさん、ロザリンの件、ありがとうございます」

「いいえー。無駄な苦労をして欲しくなかっただけよー」

「うん?」

「何でもないわよぅ。女同士のお話よ。ねー?」

「はい!ありがとうございます。今日からよろしくおねがいします」


 朝になって、朝食のときにゾフィさんにお礼を言った。

 なお、ガータベルトとか個人的な嗜好にクリティカルヒットだ。

 眼の前でそんなものを着けられた日には、興奮せずには居られなくて、今朝もつい挑んだのだけどまた拒まれた。

 朝に挑むのはやめようかと挫けてきた。


「ね、ゾフィさん、私たち明日からダンジョンに泊まりで行ってくる予定なんだけど」

「ええ。聞いてるわよ」

「それで、今日空いてる時間に厨房貸して貰えないかなとご相談をと思いまして」

「旦那に聞いてみるわね」


 厨房に入っていったゾフィさんの姿を目で追う。

 旦那さんがこちらを向いてサムズアップしてみせた。いいらしい。


「朝食の片付けが終わってから昼食準備までの間と、昼食の片付けが終わってから夕食の仕込みを始めるまでの間だったらどうぞ、ですって」

「ありがとうございます」


 借りなくても出来ることは出来るんだけど、やりやすさが違うから、出来るだけ厨房借りてからやりたい。


「何かするの?」

「明日からの食事の補充。何か作り足しておこうかと思って」


 借りるお礼に、今日はまかない程度作りましょうかね。


 朝食を終えて一旦部屋に戻って、私たちはそれぞれの支度をした。

 ロザリンちゃんはあのエロ可愛い制服へ着替え、私は半袖シャツに着替えてエプロンと三角巾を持った。

 これを着けてると珍しがられるけど、必須だと思うんだよね。


「ちょっと早いけど、下へ行きますか?」

「そうね」


 階下に降りると厨房はまだ片付けの最中だった。

 早く作業始めたいし手伝おうかな。


「ゾフィさん」


 すすす、とゾフィさんに寄っていくロザリンちゃん。


「あら、ロザリンさん?まだ早いわよ?」

「でもあと10分くらいでしょう?」

「まあそうだけど。…そうね。最初だから説明もいっぱいするし、早めに始める?」

「おねがいします!」


 なんだかゾフィさんにはかなり気を許してる感じなんだよね。


「私は厨房の片付けを手伝うよ」

「…皿洗いを頼む」

「了解です」


 口数少ないご主人の指示に、皿洗いをしていた朝番の従業員さんが私と交代。お皿の片付け作業に回った。

 私は片付ける場所までは把握してないのでそのほうが効率は良いだろう。

 私は洗剤をつけたスポンジで積み重なった皿を片っ端から洗っていった。


「相変わらず早いですねアルフレートさん」


 朝番の従業員さん、私自身は彼のお名前を知らないんだけど、彼は私のことは憶えてくれている。

 年単位の超長期滞在の宿泊者だからか?


「慣れじゃない?…さて、何作ろうかな」


 マジックバッグに仕舞ってある食材を思い浮かべた。

 何はなくともカツサンドはテッパンなので、作るとして…。タマゴサンドも作って、先日購入したベーコンでベーコンサンドも作ろうか。

 今度ベーコン自体も作ってみたいね。いつか燻製器作って野外でしてみよう。

 美味しく出来たら酒の肴にもぴったりだ。



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