第二十五話 五年後
不定期更新・・・とか冗談で済ませられない・・・。
GW中更新できずに申し訳ありませんでした!!
前回あらすじ:師匠の王都の本邸に行く。
この世界にも暦がある。人暦というものだ。この人暦というのは、前の暦は神暦と言い、神代の時代・・・つまり、神がいたようだ。
そして、人暦1056年火の月、ケインジス・ラーデンス――生誕する。
月36日の10か月に、年末年始5日の月に属さない日がある。
火の月、婦の月、実の月、夜の月、逸の月、無の月、那の月、屋の月、庫の月、兎の月。
ケインジスの生まれは、作物が収穫されやすい実の月のことであった。
そして、その年から約二年経った人暦1058年火の月、ケインジスの故郷、タラポッカ村に第三王女ローズが逃亡してきて、ラーデンス家はしばらく彼女を保護した後、王女ローズは再び王都へと戻っていった。――己を鍛えるために。
それから一年と少しが経ち人暦1059年夜の月、ケインジスは『燃える乙女』の異名を持つ、王宮魔法使いレイ・スーランと出会い、師事する。
さらにそこから時は経ち屋の月、緊急招集により王宮魔法使いの招集により師匠、レイ・スーランと共にケインジスは王都に渡り、道中で第二王子ガイアス・サイトニスと知己を得た。
そして、その王都でそのまま暮らすことほぼ五年が経った――現在は1065年婦の月。ケインジス・ラーデンスは七歳児になった。
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「そういえば、ケイン君。君も八歳になったんだっけ?」
「・・・はい?」
普段、俺の年齢になんて触れてこない師匠が急にそういうことを言い出したので俺はちょっといぶかしげな気持ちで師匠の顔を見た。
ちなみに、今いるのは王都にある師匠の家の中庭、というやつだ。先ほどまでここで筋トレをしていたのだった。
ちなみに俺の年は七歳だ。来月には八歳になるけどもね。
「あぁ、来月だったっけ・・・?」
「そうですよ師匠。・・・誕生日もう四回祝ってるんですから弟子の誕生日くらい覚えておいてくださいよ・・・」
「ん~、と言われても、ボクはクーと執事やメイドたちの誕生日くらいしか覚える気ないしねぇ・・・」
「そこに弟子くらい加えて!?」
師匠のあんまりな言葉に俺は声を上げる。ていうか理不尽すぎるんだろ。俺だけ仲間外れかよ・・・。クーだけ覚えてるってなら、ああ師匠だって納得できたのに。
はぁああぁぁってテンションを下げている俺を見ながら師匠は言った。
「いや、八歳ならやらなきゃいけないイベントがあったのを思い出したけど、運がよかったね」
「いや、運ってか・・・」
「なら、来月に予定しておこうかな」
「その件でしたら準備はすでに進めておりますが」
師匠と俺の会話に介入する声があった。俺達はその声の主が一瞬で分かった。俺付きのメイドのリルンだ。彼女は相変わらず俺付きのメイドとして仕えてくれていた。・・・同じように相変わらず冗談も融通もきかないが。うん。
「おぉ、やっぱりボクの召使たちはやり手だねぇ!主人冥利に尽きるよ!」
「いえ、これくらいは当然です」
話に割り込まれたのに師匠は一切機嫌を損ねた様子などなく、むしろメイドのリルンをほめていた。・・・まぁ、師匠らしいっちゃあらしいが。
「準備って何ですか?」
まあ、そんな光景はいつも見ているので俺もスルーするけども。
「む?それは・・・」
「ご主人様、それは口外してはいけないでしょう」
「あ、あー。そういえば、そうだね」
「?」
結局、それきり師匠は口を噤んでしまい俺はそれ以上の情報を得ることはできなかった。
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しかし、師匠の言葉に影響なんてされていないが、もうすぐで王都に来て五年になるのか。何事もなく五年過ごせたということかな。毎日毎日俺は軍部に通い剣術の特訓や体を鍛えたりしていたが、・・・まあ扱かれること以外には特に何もなかったな。
師匠の家では、クーと一緒に飯食い魔法習い師匠と模擬戦し・・・っていう極めて普通の日常を送っていた。・・・普通・・・の?・・・考えたらダメだ。疑ってしまえば日常が日常でなくなる・・・。
王宮においても、定期的に開かれる第二王子主催のパーティーは相変わらずだし、第三王子の不穏な噂も相変わらずだ。水面下の小競り合いも当然に、な。
とはいえ、何も変わったことはない。静かなものだ。・・・静かすぎるほどに。
嵐の前の静けさ。そんな言葉の意味を、俺は深く受け止めておかなければならなかったのだ。
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それは、ある日の帰り道のことだった――
俺は日課である軍部通いの帰り道だった。
「あぁ・・・今日もきつかった・・・」
ふらふらしながら俺は街道を歩いていた。それを見た街の人も最初は心配そうな顔をしていたが、俺の着ている服が、軍部で支給される服だということに気付くと、すぐにああ、またかって顔になっていた。・・・軍部も軍部で大概だが、この王都の人々も慣れすぎだろ。
「おぅ坊主、今日も訓練かい?」
「おやっさん!」
ふらふら歩いているとやたらガタイのいい黒肌の男が声をかけてきた。彼はおやっさん。・・・本名は知らないが、この王都で彼を知るものはみんな「おやっさん」と呼んでいる。よくよく考えると何者なんだこの人。職業も不詳だし。
「ハッハッハッ、今日も坊主は元気だな!このワシも鼻が高いってもんだ!」
「おやっさん!」
何に対して鼻が高いのだろうか?あと、おやっさん!って叫びたくなったのはなぜだろうか。
「そんなわけで、こんな風にハイテンションなのが、みんなの『おやっさん』!つまりワシだな!!」
「誰に話してんのおやっさん!?」
なんか急にあらぬ方向を向いて自己紹介(?)始めたんだけど。本当になんなんだこの人。かれこれ五年近く(たまに)会ってるがキャラがハイテンションってところと意味不明ってしか掴めねえぞ。
・・・まあ、悪い人ではないがな。
「おっと、訓練帰りの坊主を長々と引き留めるわけにはいかないな」
そう言っておやっさんは懐から焼き鳥を数本取り出した。・・・待て、どこから取り出した。
「これは、ワシの奢りだ!訓練を頑張りな!!ハッハッハッ!!」
俺の手にあっという間に押し付けられた焼き鳥だけを残しおやっさんは去っていった。・・・嵐のようなひとだ。いつものことだが。
「っていうか、まだ温かいぞこれ?!」
本当にどこにしまってたんだあの人!
一応探毒の魔法で、体に害を及ぼす成分とかが含まれている、あるいは付着してないか調べるが、特に何も検知されなかった。一体何なんだよ・・・。
「ごくり・・・」
意を決して一口食べる。・・・ふむ、これは・・・青酸・・・
なんてわけもなく。普通においしい一品だった。この味は、たしか一般街の出店、
焼き鳥ヨーちゃんのものだな。タレのピリ辛具合が堪らないねえ。・・・喉乾いた。『産水』で水を生み出しそれで喉を潤す。
「・・・ふぅ、うまい」
次の一本を食べようと手元を見るとすでに串には何も刺さっていなかった。
・・・どうやら無我夢中に食ってしまっていたようだ。
「あぁー、おいしかった」
なので俺はそう言って串を上に投げる。そして炎魔法で燃やして塵に返した。このくらいは片手間でもやれるしな。特に見るほどのこともない。
「もし、そこの少年」
と、その時だった。彼女と俺が出会ったのは。
「はい・・・?」
声が自分にかけられたものと思い振り返るとそこには、女性がいた。喪服のような黒い服を着て黒いつばの広い帽子を被り、顔をベールで覆い、なぜか口元しか見えなかった――半透明なベールなのにな。そして、黒黒とした恰好を見た後だとかなり目立つ白い杖を突いていた。
ざわりと一瞬何か感じたが、特に不審なものはない。・・・いや、強いて言うなら喪服のような服が怪しいといえばそうだがな。そう、禍々しさ、とか殺伐した、とかそういったネガティブな印象はなかった。しかし、底知れなさというものはあった。
「あなたは、魔法使いなのですか?」
「え?・・・ええ、はい」
女性の質問に俺は呆けたまま肯定を返した。・・・別にこの程度隠すほどのものでもない。五年ほど前に王都にやってきて(俺に勝負を挑んできた)年上の王宮魔法使いの弟子を次々と破っている俺は王都でもそれなりには有名な存在だから隠していたってわかるだろうしな。
もっとも、俺の顔をあまり知らない人たちももちろんいる。少数派だが。だが、『燃える乙女』、レイ・スーランの弟子・・・といえばたいていの人間は俺のことを認識してくれる。
・・・と、話がそれたな。今は目の前の女性のことだろう。
「・・・そう、あなた魔法使いなのね。それはとてもいいこと。仕事も見つかりやすいしたいてい優遇されるわね」
「は、はぁ・・・」
女性の言葉に俺は気の抜けた返事しか返せなかった。
「研鑽しておくことね、少年。その努力は実るでしょう」
そう言って女性は歩き出し、俺とすれ違う――直前
「――私とは違って」
小さな声でそう告げていった。
その声にハッとした俺は振り返ったがもうそこには女性はいなかった。影も形も残っていなかった。
「あれ・・・?たしかに今、女性が・・・」
周りを見渡してみても、先ほどの女性は欠片ほども見つからない。というか、今まさに人が目の前から消える・・・あるいは一瞬で一人の人間の視界外へと移動したというのに、誰もそれを気にした様子はない。
「まさか、誰も気づいていなかった・・・?」
背中に汗が流れる俺に、冷たい風が吹いてきた。
その風は、なぜかゾッとするほど冷たかった。
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考え事をしながら歩いていると誰かに声をかけられた。ん?とそちらの方を向くと、そこには巨乳美女がいた。
「あ、アレッタさん・・・」
「お久しぶり~、元気そうね~ケイン君~」
間延びした話し方をする彼女、実際彼女はのんびりとした性格をしていた。
彼女の名前はアレッタ。いやちょっとそれどうなのよというレベルの巨乳、あるいは爆乳を持つ人妻。・・・そう、人妻なのだ。目じりの垂れた優しい目にふんわりとした鼻、柔らかそうな唇を持つ彼女は近所の男どもの話題によく上る。・・・人妻だが。
ちなみに、俺と彼女の付き合い(ご近所付き合い的なものだ)は、唐突に始まった。彼女が一人で家で留守番していた時に強盗が入ってきて、といった状況だったところに俺が飛び込んで助けたってだけだった。もちろん、俺はかなり鍛えているのもありまさしく瞬殺(殺してはない)であったが、一人の女性としては恐ろしい相手だったろう。
ちなみに、旦那はといえば、そのときちょうど仕事先に出向いていたので不在だったのだが、後日滝のような涙を流して感謝された。・・・ちなみにだが、旦那は軍部で働いている、超絶強面の筋骨隆々大男だったので、初見でチビリソウになったのは内緒である。
まさしく美女と野獣といった感じの夫婦だが、某映画のようになかなかラブラブな生活を送っているらしい。近所の連中は、なんであいつが・・・ってなっているが、まあそれは彼の不徳が致すところだろう。
っとと閑話休題。
「アレッタさん、どうしたんです」
「ん~?」
話しかけてこられたのでそう返した俺に、アレッタさんは腕を組んで右手の人差し指を顎に当てて首を傾げた。・・・組んだ腕により胸が強調され、なおかつ右腕がその豊満な胸丘へと姿を消した。ごくりと俺は生唾を飲んだが・・・気付かれる様子はなかった。
「ああ、そうそう~。ケイン君を見かけたから話しかけただけなの~」
「そ、そうでしたか・・・」
しばらくして答えを出したアレッタさんに俺はがくりとする。・・・これはのんびりじゃなくて天然じゃなかろうかと自分の中の評価を修正しようか迷った。
「うん、それだけ~。じゃあね~」
そう言って腕を振ってバイバイと言って彼女は去っていった。
・・・毎度のことながら、よくわからない人であった。
「・・・ん、あ、そうだ。出てきて、黒猫」
俺がそういうといきなり中空に赤い魔法陣が出てくる。そして、その魔方陣から何かが生まれ出た。それは、黒い猫だった。
「にゃ」
地面に降り立った猫は俺を見るなりそう言ってきた。
「ああ、こんにちは。黒猫、さっそくだけど頼みごとがあるんだ。ちょっといい?」
「にゃにゃ」
猫にものを頼もうとする俺、はたから見れば怪しい図だが、猫は俺の言葉を理解したようにポンポンと地面を二回たたく。
「えぇ?二個もほしいの?」
「にゃ」
そういう俺に対して、猫は「供物がないのであれば働かない」とでも言うかのようにそっぽを向く。・・・まあ、仕方ない。
「ほら、特製カラウオ唐揚げだよ。二個、これでいい?」
「にゃ!!」
『狭間倉庫』より唐揚げを二個と皿を出してそれを猫の前に置くと、猫はそれをあっという間に平らげた。そして、満足げに一声鳴く。
「じゃ、いつもみたいにアレッタさんをよろしくね?」
「にゃ」
俺のお願いを言うと、猫は急にすっと消えた。それを見た俺は安心のため息をつく。
今の黒い猫は、俺の使い魔の一匹『黒猫』だ。・・・え?名前が安直すぎないかって?いや、だって『闇と夜を支配する者』って名前や『光当たらぬ救世主』って名前を嫌がるからいい名前を思いつかなかったんだよね。結構俺的にはいいと思うんだけどねえ・・・。
ちなみに、黒猫は、猫って名前を付けているが実は違う生物だったりする。俺が魔力で生み出した、新生物『シェイプシフタ―』だ。主に黒猫の姿を好むが、人間に化けたり、あるいは竜の姿をとることもある。・・・イメージ元は這いよる混沌だ。なので、最初はSAN値をガリガリ削る姿だった。だが、幸運にも姿を変える能力を持つのですぐに終わったが。
そんな黒猫は頻繁にアレッタさんの警護についている。なぜか・・・というのも、俺が彼女と知り合ってからこれまで、人さらいにさらわれること三回、奴隷商人につかまりそうになったこと五回、普通の人とはちょっと違う脛に傷持つ人々(軍部じゃない方)に連れていかれそうになること四回あった。なので、いちいちそういう目に合わないよう、黒猫をボディーガードとして彼女のそばにつけていたりする。・・・ちなみに、彼女もその夫も黒猫のことは普通の黒い猫のようにしか思っていない。・・・まあ、だいたいピンチに陥ったときとかは黒猫が気を利かせて遠くから魔法を打ったりしているからだな。
護衛対象にはゆったりとした時間を。俺のモットーだ(嘘)。
そうそう、使い魔は何だという話だが、そもそも使い魔というのは三種類あるのだ。一種類目は、まあ、普通に魔物が懐いてそれを使い魔にするパターン。これが結構多く、使い魔ではなく従魔、で通ることもある。ちなみに、その従魔の主人はテイマーと呼ばれて、ラッキー扱いされる。・・・まあ、魔物が懐くのはまれだからな。そのテイマーって呼ばれる人物が二匹三匹と次々魔物を従魔にしていくわけでもないから、要素は運くらいしかないように思える。ちなみに、この従魔は広義で使い魔ということになる。
二種類目は、魔法使いの間でそこそこメジャーなのだが、異界から召喚した生物を使役する、というものだ。これも博打要素が大きかったりする。実のところ、このシステムは異界にいる生物の意識をコピーし、それを魔力によって本体に似せて作られた器の中へぶち込み、自身の支配下に置くというものだ。で、問題は、この召喚には魔法陣が必要なのだがその魔法陣を決まった法則で描かなければ発動しない。仮に発動しても、その召喚したものが自分の予想を裏切ったりすることもあるのだそうだ。
だが、ここだけの話、世の中には悪魔召喚の書と呼ばれる、悪魔を召喚するための魔法陣の描き方が詰め込まれている本がある。それは写本という形でばらまかれているが、これも実は罠が張ってあったりするのだ。まず、この魔法陣を使う召喚にありがちだが、召喚には魔力を多大に使う。対象の魔物(悪魔)が強力であれば強力であるほど必要な魔力は増える。・・・ゲームかよ、と思うかもしれないが、強い魔物は往々にして高い対魔力があり、そのためその存在へと干渉するための魔力が多めに必要となる・・・って理屈である。
さて、そんな風に多大に魔力を召喚しても、命令に従わせるためにその魔物へ打つ楔(契約ともいえる)に必要となる魔力も多くなる。そんな過程で魔力と共に生命力も搾り取られ死んでしまう魔法使いが後を絶たなかったりする。このとき、楔を打ち込め切れなかった魔物は魔力というかマナへと還元されるが、もし楔を打ち込め切れ、かつそれを制御する魔法使いが(魔力切れによって)死んでしまったときは、楔の魔力が切れるまでその魔物が暴れ出し多大な被害が出てしまう。何十年か前にこの形の召喚失敗で死傷者が三桁に上る事故があったそうだ。
ちなみに、この手法によって呼び出せた魔物を召喚獣と呼ぶことがある。広義ではこれも使い魔だ。そして、悪魔を呼び出した場合はそのまま悪魔だ。こちらも広義で使い魔となる。それと、この召喚獣は、この世に留めるための楔の維持に結構な魔力を使うってのも罠だ。生命維持の分は自分でできるけどね。
悪魔の場合は、特殊な魔法でも使えるらしく、主と契約して、その契約が守られる限りはこの世にとどまり命令を遂行するらしい。そのため、悪魔の維持に魔力などは要らないがその契約においての代償は魂(あるいは殺戮)を希望するので、この世界にも「悪魔に魂を売る」って言葉がある。
さてさて、それで三種類目――これが一番メジャーだが、魔力によって作るってやつだ。もちろん、メジャーって言ってもみんながみんなできるわけじゃない。魔力操作が一定以上で、かつ魔力も一定以上ないと成功しないが、ほかの二種類に比べれば敷居は低い。ちなみに、魔力操作イメージ力魔力三拍子そろえばオリジナルな使い魔も作れるが、一番簡単な使い魔でも作れれば一流とも言える。
その簡単な使い魔だが、本に載るほど使い振るされているともいえる奴は三体ほど存在する。一体目は犬型。犬型に魔力を固め、命を吹き込むから簡単だ。主な仕事は嗅覚を生かした捜索や手紙渡しと簡単な戦闘だ。
二体目は鳥型。鳥なので小さ目なおかげで魔力がそこまで要らない。主な仕事は手紙運び。伝書鳩みたいなものだが、こっちは魔力が続く限り運び続けられるため、普通の伝書鳩よりも移動範囲を稼ぐことも、あるいはスピードを稼ぐこともできる。
三体目は、モノに命・・・というか魔力を吹き込んで操作する。俗に言うゴーレムとかそこらへんだ。土とか木で作った人形とかが多い。ただ、このモノといったものは当然死体なんかも含まれており、好んで死体を操り動かす者を死体繰者と呼ばれ忌み嫌われている。
さて、上記の三体だが、これらは魔力が切れたら消えてしまうが、まあ仕組みは簡単なため、魔力を使いしていったり再度作ることも可能だ。
そして、簡単ではない使い魔だが――例を挙げるとするならば黒猫、つまり『シェイプシフタ―』が相当する。これは、相当なイメージ(俺は某這いよる混沌のおかげで簡単にイメージできたが)と多大な魔力を必要とする使い魔で、現状、俺くらいしか作れるものはいないと思う。・・・といっても、魔力操作にすごく疲れるのでもう一度作ろうという気は起きないため、魔力が切れる前に魔力を継ぎ足したりする。この使い魔も、魔力が切れたら消えるため、使役にも魔力がかなり必要なのだ。・・・と聞いたのは後の話だ。俺は知らずに使っていた。
以上が使い魔と呼ばれる。すっごく便利な動物の召使なんて聞こえがいいが、その実魔力をバクバク食う大食漢だ。・・・まあ、それに見合った働きはしてくれるが正直、悪魔と従魔以外は継続消費魔力が半端ないのであまり使っている人はない。
その使い魔だが、実のところ俺は五体使役している。黒猫以外の四体の紹介は次回の機会にでも行おうと思うが、これを人に言うとびっくりするので誰にも言ってなかったりする。師匠にもだ。・・・まあ、別に言いふらさなくてもいいよね?
さて、そんなことを考えていると、小さい鳥が飛んできて俺の肩に止まる。そしてコツコツと俺の頬をつついてきた。・・・痛い。
「イタイイタイ・・・なんだよベルフィン」
肩に止まった鳥の頭を軽くなでながらそう問いかける。・・・もちろん、これは使い魔である。誰のかと言えば、師匠のだ。これ見よがしに真っ赤にしてあるからよくわかる。その鳥が口を開けると声が聞こえてきた。
「ケイン君、そろそろ鍛錬の終わった時間だろうから早く帰って来なよ。今日はボクと模擬戦だろう」
その声はまごうことなく師匠の声だった。風魔法の一つ『囁き風』という、言葉を封じ込められる魔法を、使い魔に運ばせたのだ。自分の魔力で形作った使い魔だからこその使い方と言える。ただ、まあ。不便なのは電話のような使い方ができないってことだな。あくまで留守番電話、のように音声だけを残して送って感じだし。
なので、俺も魔力を操り鳥の形を作る。見た目はあまり目立たないようにそこらへんにいるようなハトにしたが、ただ一点、足だけは赤色にしておく。・・・これで師匠も俺の使い魔だと気付くはずだ。
俺も師匠と同じように『囁き風』の中に「すぐ帰る」という旨の言葉を残して使い魔を放った。バサバサと飛んでいくハトの姿を見送ってから、俺は改めて師匠の家へと歩き始めた。
というわけで第三章 王都炎上編、始まります。今回は暦と使い魔についての説明会になりましたがまあ、使い魔。このあと活躍の機会をすごく増やす予定なので楽しみにしていてほしいです。とりあえず、そろそろ書きたいところまで行きそうですね・・・。
できれば・・・次話こそ早めに投降できれば・・・。あ、次話はサイドストーリーです。すっごく切り悪いですけど。




