Side2 炎上村
どうも一週間ぶりです。
前回のあらすじ(シリーズ):ケインとクーは第二王子主催の舞踏会前にお城を散策していた。
前回のあらすじ(Side):僕ことジェイスの誕生と、住む村の話
僕が生まれて三年の月日が過ぎた。この開拓村にも最近名前が出来た。『ジクンシャ』。それが新たな村の名前だ。なんと、開拓の功績をたたえて家の親父が騎士爵として任命されたのだった。
「はっはっは、俺もこれで貴族だぞ!」
そう親父は言っていたが母に聞けば騎士爵家は掃いて捨てるほどあるらしいのでそんなに期待しない方がいいという話だった。なにせ、開拓したら与えられる地位らしいし。
「しかし、それでも貴族門を使えるようになったんだぞ」
「貴族門?お父さん貴族門てなに?」
僕は親父から聞こえた言葉を聞き返す。貴族門、初めて聞く言葉だ。そんな僕の言葉を聞き、親父は嬉しそうに笑いながら言った。
「貴族門というのはだな。まあ、読んで字のごとく貴族しか使ってはいけない門だ」
「へえ・・・。平民は使えないの?」
「ああ、そうだよ」
「じゃあ、平民の人たちは門から町に入れないの?」
「いいや。違うよ。彼らには彼ら専用の門があるのさ」
自信満々に語る親父にさらに質問を投げかける。
「じゃあ、なんで分けるの・・・?」
「そ、それは・・・」
質問攻めにする僕に答えに窮する親父。割と最近ではよく見られる光景だ。・・・いい加減学んでから、十分な知識を得たうえで説明した方がいいと思う。
「それはね、ジェイス。貴族門は貴族が快適に移動できるように作られたからよ」
母による話だと、貴族が昔門で待たされすぎて苛立ち前に並ぶ平民をすべて切り殺したという話があるらしい。当然、王国はその貴族を罰したがこれと似たような事件が今後怒らないとは限らないので貴族門を設置したらしい。もっとも、こういった貴族門があるのはある程度の大きさを持つ町などに限り、村などにはないらしいが。
つまり、村の長である騎士爵家の我が一家が利用することはほぼないということだ。なにせ、うちも村だから貴族門なんて作るわけもないしね。
「なるほど・・・」
ちなみに、大体僕の質問攻めは親父が陥落してからが本番だ。母であるセレナは知識豊富で僕の質問に丁寧に答えてくれて僕の知識欲を満たしてくれる。いや、持つべきは辞書かモノを多く知る知り合い(この場合は母だけど)だな。お蔭で僕は幼いころから多くのことを学べた。本当に母には感謝している。・・・親父?感謝してるよ、もちろん。
「ありがとうございます、母様」
そう言って僕はリビングから出る。向かう先はこの家でも風呂場やリビングを除き僕が最も訪れている場所、書斎だ。
ま、書斎といっても本は十冊程度しかない。前世では三桁以上の書籍を持つ僕にとってはやや少なく感じる。最も、ほとんど専門書などではなく小説あるいは漫画だったが。
さて、そんな話はさておき、うちの書斎に何があるか・・・という話だが、うちにある本はすべて魔法に関する本である。『初心者用魔導書』、『中級者用魔導書』・・・などが十冊である。個人的には、先に挙げた二つの本の作者、ベルデリン・クライスの本が一番魔法の種類が多く載っていて気に入っている。というのも、他の本はほぼ内容が同じか、彼の本と被っているのだった。
それはともかくとして、僕がここで何をしているかといえばそれは魔法の習得である。
昔、僕が魔法使いの才能を量る魔法によって測定した結果、黄金の煙が人差し指から立ち上ったのだった。それからというもの僕はここに籠って魔法の練習をしていた。
「ふんふんふ~ん♪」
そう鼻歌を歌いながら手を伸ばすと、手のひらの先から水が発生する。その水は空中に浮かび球の形を作った。そのまま大きくなりやがサッカーボールほどのサイズになったとき、変化は起きた。
さきほどまで球場だった水は形を変えて直方体へと変化する。だが、それだけにはとどまらず三角柱や円錐、挙句の果てには象やキリンを形作った。
「・・・ふぅ、大分消耗したな」
そう言って僕は水を消す。正確には水を水素と酸素に分解したのだ。実のところ、魔法にかかれば元素間の結合を解くのは割とたやすいことだった。それも、なんの悪影響もなく。生前の知識が悲鳴を上げている気がするが、それは放っておこう。これに適応しなければだめだろう。ちなみに、僕はこの魔法のことを『分解魔法』と呼んでいる。ま、あくまで自分で名付けただけだから通称ではないのだけれど。ちなみにこれはどの本にも載ってなかった。おそらくオリジナルということだ。・・・まあ、まだわからないが。
だが、これは大分魔力を消耗する。おかげで手っ取り早く魔力を消耗したいときには便利だ。魔力というのは使うたびに最大値が増えるからな。どこまで伸びるのは生憎と知らないが、結構増えてくれるとありがたい。
「ふわ・・・眠い」
大幅に魔力を消耗すると眠くなる。耐えられないほどじゃないけども今の僕は子供だ。寝る子は育つ。それが最近の僕の座右の銘・・・というかなんというか、だ。
「まあいいや・・・。おやすみ」
体を包む若干の倦怠感を感じながら僕は眠りについた。
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あつい。熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い。
「はっ!・・・はぁはぁ」
僕は体中に熱気を感じて目が覚めた。起きた場所はいつもの書斎だ。だが、なんだ。なんでこんなに暑い・・?
近くにある窓から外を見る。そこからは畑や、遊んでる子どもが見えるはずだ。
「なっ・・・!?・・・うそだろ」
外を見た瞬間僕は絶句した。外にあったのはあたりを煌々と照らす炎だった。炎はそこかしこにあった。近所のじいさんが育てていた畑や、おじさんが育てていた木、それに近所の家が燃えていた。
「どうして・・・こんな・・・。・・・っ!?」
その時僕は振り返った。その方向にはドアがあったがドアの隙間からは・・・黒い煙が入ってきていた。
「そんな・・・?!」
ドアを開けた瞬間モアッと黒い煙が部屋の中に入って来た。
「げほっ!ごほごほ・・・!」
煙を思い切り吸い込んでしまった僕は無詠唱で風を吹かせ煙を散らす。さらに風魔法により空気の膜を作ることによってなんとか呼吸を確保する。
「父様、母様・・・!!」
そう叫び家の中を探そうとした瞬間、リビングのドアが吹き飛んだ。そのドアの直線状にいた僕はそのドアにより吹き飛ばされて外へ。
「ぐぁっ!・・・ぐふ」
勢いはものすごいもので、空気の膜があったため辛うじて衝撃は致命的なものではなかった。だが、何回も転がったせいで頭がくらくらする。
「父様、母様・・・」
そう言って、ふらつきながら立ち上がり家の方を見たとき、家は物凄い音とともに爆発した。爆風に再び転ばされて家を見た。・・・いや、家のあった方を見た。そこには家の残骸しかなかった。
「そ、そんな・・・」
呆然とその方向を見る。だが、家は残骸のままだった。
「嘘だ・・・こんなの悪い夢なんだ・・・。目を覚ませば・・・」
「残念だがこれは現実だぜ、坊主」
頭を抱えてうずくまった僕にかける声があった。その方向を振り向いて僕は絶句した。
そいつの肌は白かった。それも白人とかそんな意味ではなく単純に白い。病弱な人間やあるいは気分の悪い人は顔が青白くなるといったことがあるけれどそんな白さでは断じてなかった。たとえるなら、そう・・・死人のような肌色だった。
さらにその眼は、まるで草食獣を狙う肉食獣のように鋭い赤色で口元には鋭く伸びた犬歯が覗いていた。
僕の頭に一つの単語が浮かび上がる。すなわち「吸血鬼」と。
「あ~、しっかしうまそうだなお前。子供の肉は柔らかくて血は甘いから俺ァ好きだぜ?きひひひ」
そう言って僕に迫りくる男の後ろにふと視線を転じればそこには・・・何体かのミイラがあった。そう、全身の水分を吸い取られたような者たち。だが、その顔のいくつかには見覚えがあった。
「爺さん・・・おじさん・・・」
「ん?おお、こいつら知り合いか?」
僕の呟きに反応した男は僕の視線の先を見て納得したような声を上げた。
「ああ、大丈夫だ。こいつらは死んじゃいねえぞ、坊主」
「死んで・・・ない・・・?」
「ああ、死んじゃあいないさ」
男の言葉に僕は呆然としたまま言葉を返す。すると男はニヤリと笑ってつづけた。
「こいつらは弱小な人間ではなくグールに生まれ変わったってぇわけだな」
「ぐ、グール・・・?」
「ああ、そうだ。グールだ」
グール。その言葉を僕は頭の中で反芻する。グールはたしか・・・。
「グールは血を吸われた者を主として崇拝し従う。俺たち吸血鬼の駒だきひひ」
「え・・・」
「ああ、確かにこいつらは人間の肉が大好物だが安心しろよお前は食われない」
ニヤニヤした笑顔のまま男は俺に語る。僕は自然と息が荒くなっていた。そんな俺の様子を見てか、さらに吸血鬼は笑みを深くする。
「だってお前もこいつらの仲間入りするんだからなあああ?」
そういっていきなり男は僕の両腕を掴む。その力はすさまじくとても振りほどけないほどだった。そして、男はおもむろに口を開けて僕の首へと牙を突き立てる。
「・・・え」
その直前だった。男は首を刎ねられた。その直後、男の体は制御を失いこちら側へ倒れてきた。
「ひ、ひぃぃぃぃぃ!!」
一拍遅れて、僕は状況を理解し悲鳴を上げる。頭がくらくらした。だが、今はここから逃げ出さないと・・・と思ったとき、近くでズルリ、ズルリ・・・と何かが這う音がした。そちらに目を向けるとそこにいたのは・・・グールだった。
「あ、あ・・・」
グールはズルリズルリと音を立てて近寄ってくる。それにつれて悪臭が鼻を強く刺激した。
「く、くそっ!どけ、どけ、どけ!!!」
迫るグールを見ながら僕の体に乗っかている男の死体をどけようとするが、三歳児程度の子供のちからじゃとても無理だ。つんと鼻に付く悪臭が一際強くなったっと思ったとき、僕はグールの方を見た。・・・見てしまった。
「a、aaaaaaaaa」
「あ、あああああああああ!!」
大きく口を開けているグールの姿が目に入った。痛みに備えてギュッと目をつぶる。・・・が、いつまでたっても痛みは襲ってこなかった。
そっと目を開けるとそこにグールはいなかった。困惑する僕をよそに、僕に乗っかっていた男の死体がどけられた。
「だ、誰・・・?」
そちらの方へ向けて誰何の声を漏らしたが、その人物は答えることはなかった。
それよりも早く僕の意識は途切れてしまった。
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そして、この日。新たな開墾村であった『ジクンシャ』が大火災によってなくなった。
今日は短めでした。バイト探しつつなので時間があまりとれないくせにバイトも見つからないってなんなんでしょうね・・・。
なんで近くには服系統の店が多いんですかね?壊滅的ファッションセンスを持つ俺には厳しいです・・・。




