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俺の初恋は若年性  作者: わたしはオジヘル
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あなたと向かいあいながら

あの辺といっても、僕は昔の雑居ビルを見た記憶がないんだ。スーパーへ行く通り沿いだから何遍も教会の看板を目にしながらその前を行ったり来たりしたはずなのに。まるで記憶がない。


お父さんお母さんと隣町の住民になってからも、教会は移転せずに雑居ビル内で活動を続けていたんだから、日曜になればあなたは同じ町で半日を過ごした。でも僕を教会に誘わなかったばかりか、駅の反対側で集まっているなんておくびにも出さなかった。あの寒い日曜日、あなたは教会からの帰りだったんだね。教会で日曜日の行事に参加したあと、図書館で古典全集を調べながら僕のことを待っていた。ミスタードーナツの店内であなたと向かいあいながら、そういうわけだとは考えも及ばなかったよ。


それどころか何年も何年も一つ駅で乗り降りしていたに拘わらず、てんで気づかないでいた僕。だのにニコニコしながら言ったあなた──田村君もこの町で育ったのね、と。改札口は違うけど、田村君と私は同じところで生まれ育った、とうからその事を知っていたと言って、そうやってニコニコ顔で見あげていたあの時のあなた。


ほかにも田村君のことを知っていると言ったあなた──田村君のお母さんのことを、と。


あれから三十四年と四カ月、あなたと田村君はテーブルを挟んで向かいあいながら伯母様が御ミサから帰るのを待っている。

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