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あの顔
うるうるした目で言う彼女──自分が大事にしている言葉を田村君とも分かち合いたくて今日は来てもらった。でもその反対だった。分かち合ってくれたのは田村君のほうだ。それというのが、自分も同じく確固不抜の心を持ちたいと願い求める者だ。常からそういう心持ちでいたいと念じている。
ところで、確固不抜の心を養うためには、すべてが共に働いて益となる消息を我々は知る必要がありはしまいか。すべてが共に働いて益となる理を会得しない限り人は確固不抜の心を得るには至らないであろう。自分にしても、「すべて......益となる」の言葉が胸に響くのは、確固不抜の心を得ようとする所以に相異ない──今こそこれが分かった、田村君のお陰で分かった、田村君が教えてくれた、と、あの顔になった。への字に結んだ口元、しわに寄せた眉根、涙の浮かぶ青ざめた顔。さっきまでのニコニコは消えて、あるのは幼童の頃より憧れたもの。手を伸ばせばそこにある、見あやまりの余地を残さないそれは、昼寝の時間に夢想したもの。目の前にあった。




