38/41
一度は諦めた彼女
と言って、もし、ここで帰れば、またとテレジアを見る時は来ない。わたしは日雇い、再び応募しようか却下あるのみだろう。人手がないから入れている日雇いなのに、半日で帰るようなやつを用いようとも思われない。
それでなくたってヤバい人間だからと今頃噂しているに違いない。職員を威嚇してくるあいつは何だと。扉の閉め方も考えるべきだった。施設長に聞こえたろうし、失敗したことに入所者をびっくりさせはしなかったか。もういいから帰れとつまみ出されて文句は言えないやつです。
一度は諦めた彼女でした。忘れた彼女でした。夜桜の晩にあのような話を聞かせなければ、わたしは忘れつづけたはずです。もう、二度と忘れる時は来ない。忘れる素質がないと自分で分かっています。
昼食をとることもしないで掛けていたら、施設長がやってきて、
「◇◇さん、さっきはお疲れさまでした。大変じゃなかったですか。助かりました。休憩が終わったら居室清掃をお願いできますか。これを見ながらやって下さい。お願いします!」
と最敬礼してみせると、テーブルにクリアホルダーを残して立ち去りました。首の皮一枚でつながったようでした。




