僕に朋子を下さい
伯母様から田村君を認めて、手を振り振り近づきました。
「田村さん!お疲れ様。いつもありがとう。待ち合わせ?」
「待ち伏せです。ここで待っていればお会いできると考えたものですから。」
「なに?誘ってくれるの?久しぶりよ、デートなんて。」
デートするのに駅前のファミリーレストランに入りました。
田村君は神妙に食事のみの注文。伯母様は食事と生ビール。
「田村さん、朋子のことでお話でも?僕に朋子を下さいとか?」
「はい。」
「やっぱり。」
「わかりますか。」
「わかるわよ。朋子だって嬉しそうにしているんじゃないの。」
「朋子さんと僕、同級生なんです。」
「おや、まあ」とそう言うわりに、驚いたような顔をしません。
「朋子さんは片思いの人なんです。」
「それで働きに来てくれているの。朋子が羨ましい。」
「高校三年生のとき、交換日記のような事をしました。振られましたけど。」
「振られる覚えがあるの。あの子が人を振るなんてよっぽどのことよ。」
「僕は朋子さんに恋していました。朋子さんは交換日記の相手が欲しかったんだと思います。」
「そんなことはないと思うけど。」
ビールが先に来たので、伯母様はジョッキを傾けつつ聞いてくれました、「頂くわね」と。
「朋子が可愛い?今でも思っているんでしょう。」
「はい。」
「くれったって今さらやれやしない。」
「いえ、そういう話ではありません。」
「冗談よ。」
「告白しなければならない事があって待ち伏せました。」
田村君は一度、朋子の神父様に告白を試みました。
以前、伯母様と一緒に朋子の部屋の中を整理していた時、「ここ、朋子が通っていた教会。良かったら田村さんもいらっしゃい。歓迎するわよ?」と絵葉書を見せてくれた事があった。そこへ訪ねて行きました。
けれども神父様には聞き入れてもらえず、だから、伯母様に告白しようと意を決してデートに誘ったのです。




