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娘テレジアはひどく気に
当今世界の目を引きつつある、アメリカ大統領トランプと、ローマ法王レオとの間の、いざこざ──カトリックの人間にしてみれば迷惑な話だ。いかな超大国の大統領でもローマ法王を相手に喧嘩をふっかけようとは異例中の異例、プロテスタントの国アメリカなればこそ。もっとも、トランプがまことのプロテスタント信者なのか、疑わしくさえある。祖国で発祥した「福音派」と呼ばれる新興宗教と持ちつ持たれつなのがアメリカ大統領だ、とのこと。
ところで、テレジアのお父さん牧師はクリスチャンネームを持っている。伯母さんと同じ、生まれながらカトリックである。長崎地方に隠れていたキリシタンの子孫がテレジアの父親と伯母で、きょうだいとも生まれてすぐに洗礼とクリスチャンネームをもらった。テレジアのお父さんは、家に伝わる教えにそむいて、プロテスタントの看板を掲げ自ら教会を建てた。このような事情につけ、物が分かる年齢に達した娘テレジアはひどく気に病むらしく見えた。




