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蝋人形の彼女
このころの朋子は蝋人形のようでした。無表情に近い顔をしていました。
食事介助の時でも、入浴介助の時でも、排泄介助の時でも、車椅子に座っていても、ベッドで寝ていても、表情に変化が見えませんでした。
ゆいいつ人らしい表情をして見せるのは、伯母が訪ねてくる日でした。
それから、ある夕方、パート職員になって程ない田村君が膝をついて「朋子。」と名前を呼びました。彼女は「なに?」という顔をしました。
姑息な手段を用いて居場所を突き止めた、とそう田村君が告白したとき、わずかに微笑みました。




