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幼い昼寝の夢
田村君は喜んでなどいませんでした。
本当は、逃げ出したくありました。
朋子の顔を見るたび、やり切れない胸の内でした。
朋子の入浴介助と、排泄介助は、精神の拷問でした。
田村君は、昔昔、幼い昼寝の夢で、一人では煎餅も割れず買い物かごすら持てない女の人に憧れました。弱い弱い人と恋愛する夢を見ました。
現実は、夢ではありませんでした。悪夢でした。
でも、仕方がないと諦めました。ひどい介護、ひどい看護をする職員がいたから。
それはそれは、見ていられない程だったから。
ほんの一例にすぎませんけど、飲み込む機能の弱まった九十歳女性が食べ物にむせると、ナースがやって来て背中を勢いよくパンパンパン、パンパンパン、「何々さん大丈夫!」パンパンパン、と執拗に叩く。
相手を死に至らしめかねない極めて危険かつ非医学的な方法をとるナース達でしたが、朋子をそのような職員の手に委ねることは出来ませんでした。
それと同じか、それ以上に、未練がありました。断ち切る力が自分にはありませんでした。




