↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オタクと美少女はバンドでギャルゲーソングを知らしめたい?!  作者: 獅子尾ケイ
激闘!ライブバトルに参加して、勝ち上がれ!腕試し編
98/221

第九十四話「未知数な合同ライブ開催!」

 軽音楽部との合同ライブがいよいよ始まろうとしている。


 ライブをやる当日までの間、これといってトラブルもなく順調に進んでいた。校内でのビラ配り、放送部に協力をしてもらって校内放送でライブをやることを告知。


 僕らはありとあらゆる手段をとって、集客を呼びかけた。


 そして、この日。ライブ本番へと迎える。


「けど、本当に観に来てくれるんですかね」


「それは……わからん! けど、バンドがライブをやるんだし、多少は興味があるって人がいるかもしれないぞ」


 出番が来るまで時間はある。ステージの裏で瑠偉はそう尋ねると、僕は苦笑いを浮かべながら答える。


 確実に観に来るであろう軽音楽部の部員。それに、金本たちもおそらく来るだろう。


 問題は一般生徒のほうであった。放課後にやるのだけれど、その時間は帰宅を優先する生徒が多いはず。


 そんな中、ライブを聴きにやってくる人がいるかは本当に未知数である。


「まあー、あたしらはスカスカで誰もいない中でライブもやったことあるしー、そこまでメンタルはやられないけどなー」


「僕らはだろう? 瑠偉たちや芹沢さんは、そんな経験はないから不安に感じているんだろうが……」


「それもまた……バンドマンの通過儀礼だよー!」


 響子のそれはまったくフォローになっていない。むしろ、それが余計にプレッシャーになるとは考えないのだろうか。


 僕は深いため息をつくと、トリで演奏をする大石君がやってくる。


「どうだ? バンドのコンディションは」


「え? ああ、それは問題ないけど……」


 先ほどのやりとりを大石君に話すと、彼は答える。


「観客の入りがどれくらいかが気になっている? なんだ。そんなことで悩むかよ、おまえらの同好会は」


「悩むってわけではないけど……大石君は気にならないの?」


 こちらとは反応が違い、大石君はいたって冷静でいる。軽音楽部ならば、そこはかなり気にしていると思っていただけに意外だ。


「馬場さんも言ったんだろうけど、バンドをやっていると、集客ゼロは当たり前だろう? 俺たちなんか、ライブハウスでやったときはほとんどゼロだったよ」


「おお……知らぬ間に軽音楽部もライブハウスデビューをしていたとは」


「観客も大事だけど、それ以上にどんな状況でもバンドのパフォーマンスをフルで出せるかのほうが重要だろう」


 大石君はそう僕に話す内容はごもっともである。たしかにそうであるし、バンドととしては正解。


 僕らよりも場数を踏んでいる軽音楽部が言うと、妙に説得力があった。


「俺たちも今日、どれくらいの人が来ているか知らないけど、精一杯に良いライブをやれたらそれだけで成功だろうさ」


「なるほど……」


「まあ、そんな変に緊張をしなくていいと後輩に言っておくんだな。それより、おまえらの演奏を楽しみにしているぜ」


 そう言って大石君は去っていく。


「さすが軽音楽部ですね……あの余裕は」


「あれだけ余裕なら、ライブもすごそうですよねえ」


「けどー、ライブの経験的にはあたしらが上だからねー! なにせ、東京でライブをやってのけたんだからー」


「それは去年の話しな……」


 大石君が見せた余裕の姿に瑠偉たちが関心をしていると、響子がそんなマウントを取るように返してくる。


 けれど、それよりもこのメンバーによる新生ギャルゲーソングバンドにとって今回の学校でやるライブも、いい経験になるだろう。


大石君が言ったように、僕らもどんな状況でもフルパフォーマンスを出せるように。


「音楽研究同好会さん? もう数分で、ステージに上がってください。司会進行は生徒会で行いますので、指示に従うようにと会長からの伝言です」


「はっ、はーい」


 現れた生徒会の人に言われ、僕は答えた。もうすぐ、トップバッターである僕らのライブが始まる時がきた。


 なんだかんだと、今日のライブができるように手を尽くしてくれた生徒会。そのありがたみを垣間見える。


「よし……みんな! やるからには全力を出して、演奏をするぞ。そして、次の大型イベントの前夜祭だと思うんだ!」


「妙に気合が入っているねー! まあ、キョウちゃんの初であるメインボーカルをひっさげて、かましちゃおー!」


「「おおー!」」


 響子が僕に続いてみんなにそうかけ声を出すと、瑠偉たちは声を合わせて答えた。


 それに、芹沢さんもコーラスとして観客の前でやる初のライブとなる。


「芹沢さん。大丈夫!  練習通りにやれば、きっと聴く人に届くよ!」


「うっ、うん! わたし……がんばる!」


 僕は緊張をしている芹沢さんの顔を見ながら、そんな風に励ます。芹沢さんは覚悟を決めたように、そう答えてくれた。


 僕らは軽く柔軟をして体をほぐす。そして、すでに演奏がいつでもできるモードへと変化する。


「それじゃあ、あと数分でステージに向かってください」


 すでに楽器を持ち、ステージ裏でスタンバイ状態でいる僕らにそう指示が出る。


 どれくらいの人が体育館に集まっているかは関係ない。軽音楽部とやるライブで、最高のパフォーマンスを見せる。


 ギャルゲーソングの良さを、またここで広めるために全力を出し切るのだ。そして、ステージへ行けというゴーサインが出ると、僕らはライブをやる舞台へと歩む。


 楽器をアンプとエフェクターにつなぎ、それぞれが立ち位置でその時を待っている。


 目の前には垂れ幕が下がっていて、体育館の中がどうなっているかわからない。


 ――なかなか、じらしてくれるなあ。


 僕はそう思いながら、ギターを構えている。


「それでは、軽音楽部と音楽研究同好会による、合同ライブを開催いたします」


 体育館のスピーカーからそんなアナウンスが聞こえ、垂れ幕が上がっていった。


 これより、僕らのライブが始まる。


 完全に垂れ幕が上がり切り、正面を見るとその光景におどろいた。


 僕はニヤリと笑いながらみんなに合図をすると、ギターの音を最大まで上げて勢いよく弾き出したのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。