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オタクと美少女はバンドでギャルゲーソングを知らしめたい?!  作者: 獅子尾ケイ
激闘!ライブバトルに参加して、勝ち上がれ!合宿編
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第七十一話「まさかの事実に衝撃を受け、さらに衝撃を受けるワケ」

 バンドのさらなる強化のため、僕らは合宿をすることとなった。


「合宿とは言っているけど、授業とかはどうなるんだろう」


「そこは大丈夫らしいよー? 先生が学校に頼んで、出席扱いにしてくれたらしいしー」


「いや、それでもよく許したな。どうなっているんだ、僕たちの学校は」


 大きい荷物を持ち、僕らは話しながら先生を待つ。


 詳しい合宿の内容は聞かされず、指定された駅に来ただけであった。


「まあ、岩崎君! 細かいことは気にするな。同好会の合宿など、そうそうできることではないぞい」


「金本先輩たちまで来るのも、それはそれで異常ですね……バンドで弾くわけでないのに」


「きええええい! よいのだよ。僕らも、君たちの力になるべく存在をしているのだ……キラリンッ!」


 ――うぜええええええええ。


 金本の言葉に僕は若干のいら立ちを覚え、同時にあきれた。


「けど、合宿先は神社って言ってましたけど、なんで神社でバンドの練習をやるんですかね?」


 瑠偉はそう疑問を持ちながら、僕らに尋ねる。


 たしかに、なぜ神社でやろうと山本先生は言ったのだろう。普通にバンドの合宿ならば、どこかのスタジオ。もしくは、それに近い施設でやるのが普通。


 神社という神聖な場所で、ギャルゲーソングをやる意図がわからない。


「おーい! 待たせたな。全員は集まっているか?」


「山本先生ーおそーい!」


 遅れてやって来た山本先生は、大きな車の運転席から僕らに声をかけてきた。待ちくたびれた響子は、先生に文句を言いながら車に近づく。


「大きい車ですねー! これって、全員が乗れるんですか?」


 先生を合わせて、全員で十人。どんなに大きい車だろうと、どう考えても全員は無理だ。


「はっはっは! そんなのは無理に決まっているだろう? 機材やおまえたちの荷物。あとは、女子のみが乗車だ」


「ちょっと、待ってくださいよ! 僕ら、男はどうすればいいんですか」


「おまえたちは電車で現地に向かえ。男なんだし、楽をするな」


「ええぇぇ……」


 まさかの男子は電車と徒歩の移動。当然、みんなからの怒号が飛ぶ。けれど、山本先生は有無を言わせずに響子たちを車に乗せていく。


「……ちょっと、まてーい! なぜ、瑠偉が車に乗るんだよ」


 僕はつい金本の口調みたいに、そうツッコミを入れる。男は苦痛の徒歩による移動ならば、当然瑠偉もこちら側の人間だ。


なのに、女子たちはなにも疑問に思わずいた。


「岩崎……おまえ、一応は同好会の会長なんだからメンバーのことは知っておけよ」


「どういうことですか! 瑠偉は男でしょう?」


 僕はそう口にすると、響子たちは愕然とした顔で僕を見つめて黙っている。


 ――え? なにか、おかしいことを言ったか?


 予想外のみんなの反応に、僕は困惑。そして、瑠偉本人から衝撃的な一言が出る。


「岩崎先輩……俺、女子なんですよ」


「「ええぇぇぇぇ!」」


 僕がおどろきの声を上げる前に、後ろから金本たちの大きな声が聞こえる。金本たちも知らなかったのか、その声がすさまじいものであった。


「同好会が始まって以来の衝撃的な事実だな……最近になって老舗メーカーが倒産をしたくらいの」


「いや……それは、どうなんですかね」


 金本の言葉に、思わずそうツッコミを入れてしまう。


「というか……瑠偉が女の子だなんて、気づかなかったぞ」


「そうですか? 特に隠していたってわけでもなかったんですけどね」


「けど、おまえって俺とか言っていたし、服装だって女の子っぽくないしさあ」


 言われないとまったく気づかない瑠偉の容姿や言動に、僕は改めておどろく。


「いやー! 普通にわかるでしょー?」


 そんな僕らと違い、響子はすぐにわかっている口調で話す。


「芹沢さんも……瑠偉が女だってわかっていた?」


「うっ、うん。そうだね」


 女の子同士には、男にはわからないシンパシーでもあるのだろうか。僕ら男子はしばらくの間、明かされた事実に打ちひしがれた。


「まあ瑠偉は女の子らしくないところもあるのは本当ですからね! 双子のわたしとしては、悩みの種ですよ」


「別にどんな外見や話し方でもいいだろう?」


 瑠奈はため息をつきながらそう話すと、瑠偉がむっとしながら答える。


「ということだ、岩崎! ここでそんなセンシティブな会話だど終わりにして、さっさと行くぞ。じゃあな!」


 ――ブロローン!


 女子が全員車に乗った後、山本先生は車を走らせて去っていった。


「いや! 僕らを置き去りにして、楽な移動手段を使わないでくださいよー!」


 僕のさけびが届くことなく、みんなを乗せた車はもう姿はない。


 残ったのは陰キャでオタクくさい連中のみである。


「さて、僕らも行くか。電車に乗り……徒歩で目的地へとなあ!」


 半ばやけくそのように金本はそう僕らに向かってさけんだ。僕らは肩を落として、電車に乗って向かうことにした。


 電車を乗り継ぎ、数時間という長い道のりを経て、ようやく合宿先である神社がある町へと降り立つ。


「けど、こうやって僕らが一緒で行動をするのも久しぶりだね」


「ああ。僕らがバンドを組み始めて以来かな」


「なっ、懐かしいね。といっても、去年だからそんなに昔でもないよね」


 神社へ向かう道中、歩きながら先輩たちはそう話をしている。たしかに、こうやって金本たちと一緒になるのは久しぶりだ。


「先輩たちは大学に行っても、ギャルゲーを広める活動をするんですか? バンドを組んでとか」


 僕はなにげなく、そう金本たちに尋ねる。すると、みんなはしばらく考えて答えた。


「まあ、バンドはやるかわからないけど。そういうギャルゲーとかアニメのサークルには入りたいかな?」


「そうだね。大学にはそういったサークルとかがあるだろうし、興味はあるね」


 荒木が答えると、和田もそう同じように話す。岡山も食べながら歩いているが、二人の話す言葉にうなずいていた。


 少なくとも、彼らはオタクの趣味を共有できる部活に入りたいと思っていることだ。きっと大学でもギャルゲーをプレイし続けるのだろうと僕は思った。


「なにを言っているのだ、きさまたちは! 進学をしても、ギャルゲーソングを広めていくに決まっているだろうが!」


 金本は和田たちの話にそう言葉にする。


「金本先輩らしいですね」


「ふはははは! ギャルゲーソングの良さを後世に残すためならば、どんな活動でも僕はやるからな!」


 大きな声で笑いながら、金本は上機嫌で口にする。金本だけは、ずっと変わらずにいるのだろうと思うと、僕はどこか安心をする。


「けど、先輩たちが卒業をしたらもう僕らでバンドはできないですよね。同好会としてでなく、一組のバンドとして」


 同好会でのバンドは響子たちともちろんやっていく。けれど、心の中ではまた金本たちとバンドでギャルゲーソングをやりたい気持ちもある。


 彼らと演奏をことはそれだけ特別なのだ。金本たちとしか作り出せないムーブを僕は枯渇しているのかもしれない。


 すると、和田は少し困ったような顔をしてから口を開く。


「それはどうだろうね。岩崎君は同好会で忙しくなるだろうし、僕らは大学生活で忙しい。なかなか会うのも難しくなるかもね」


「そう……ですか」


 その言葉に、僕の声は小さくなる。それが難しいとわかっているから。


「だから今、僕らは岩崎君たちの力になりたいんだよ。僕らがいなくとも、君たちがこれからもギャルゲーソングの良さをきちんと広めていけるようにね」


「うむ! だが、まだまだ未熟である岩崎君である。この金本様が最後まで面倒をみてやろうぞ」


「……ありがとうございます」


 僕は金本たちの思いにまだ応えられていない。こんな変な先輩たちだが、その心に僕は感謝をするのだった。


「さあ! 着いたぞ。ここが合宿先である神社だ」


 気がつけば、目の前には目的地である神社に到着をする。見ると、山本先生の車が横に止まっていた。


「へえ、結構大きな神社だね。それなりに、有名なのかな?」


「神社と言えば……巫女だ巫女! ナースナース!」

 金本はなぜか意味がわからないことを口にしながら、やたら興奮をしている。


「気にするな、岩崎君。大昔に流行ったギャルゲーを思い出して、テンションがバグっているんだよ……あいつは」


 荒木はため息をつきながらそう僕に話す。


「なにを言うか! さあ、あの階段を駆け上がり、巫女さんのお出迎えを受けようぞ! わあーい」


「おっ、おい! 金本」


 金本は勢いよく階段に向かって走っていく。僕らもそんな金本を追いかける。


「けど、こんな神社のどこでバンドの練習をするんだろう」


 僕はそう口にしながら、階段を登る。そして、社があるところにたどり着くとそこには肩を落としてうなだれる金本の姿があった。


「どうしたんですか? 金本先輩」


 まるでなにかのショックを受けている金本に声をかけると、その隣に見覚えのある人がいる。


「え? なんで、君が」


「ふむ。しばらくだな、岩崎。最後に会ったのは、以前にやったライブ以来か」


 僕にそう静かな口調で話す彼は、仁平を着こみ神社にいるには不釣り合いな容姿。髪の毛が一つもない、光り輝くスキンヘッドをしている。


 まるで寺の息子。同じく高校生で僕らとライブをやったことのある、仙道の組むバンドメンバーの小野寺君だった。

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