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第16話:痛いのも怖いのも最初のうち?

 剣皇教会の内装は実にシンプルである。

 中に入ると、すぐ礼拝堂と思しき場所にたどり着く。

 礼拝堂といえば、ゴテゴテと飾り付けているところとシンプルなところの二種類があるが、こちらの教会の石壁には何も飾り付けがされてはおらず、柱も同様である。

 木製のベンチが並んでいるのは共通。

 キリスト教なら、祭壇に十字架があるのが基本だが、十字架の代わりに、剣皇の紋章が描かれているだけである。

 剣皇の紋章を見るたびに、樹はいつになれば、腹筋と横隔膜が耐えられるのだろうかと思ってしまう。

 そして、絶え間なく響く打突音と絶叫。

 大きい建物ではあるが、中に入ると口の形をした建物だということは分かる。その中庭で何が行われているのか気になる。

 ただし、打突音は物を硬い何かに叩きつける動作からくるものであり、絶叫も掛け声なので、教会というよりは剣道場である。

「パイクスさん、カワサキさんですな」

「おはようございます。司祭さま」

 2人に挨拶した人物は、一見すると司祭には見えない。

 樹と同い年の青年だが、優しい顔立ちとは裏腹に、その身体は鍛えに鍛えられている。

「おはようございます」

「僕はカラパ健皇教会、助祭のコンクリンです。先生はお元気ですか?」

「師匠は相変わらずです」

「でしょうね。先生に教えてもらいたい気持ちもヤマヤマなんですが」

 あの人、サドだもんな。

 ショーンの指導風景が想像できるだけに、シフォンやコンクリンのように樹も苦笑するしかない。

 コンクリンは、樹に話しかけた。

「記憶喪失とは大変ですね。カワサキさん」

「ええ。名前以外は分からないので大変です。コンクリン様には自明なことであっても、オ…ボクにはちんぷんかんなので、ご教授をお願いいたします」

 右も左もわからない状況において、重要なのは味方を作ること。高姿勢で会うたびに、敵を作るようでは生き残れはしない。

「ご自分の好きなように語って結構ですよ」

 この司祭は一見すると、人当たりはいい。

「では、剣皇教について教えてもらえませんか?」

「鍛錬を積み重ねることで強くなり、(剣皇)陛下を倒すことですね」

 至って、シンプルだった。

「陛下は倒せないのでは?」

「無理ですね。大地を切り裂き、神を殺した陛下と戦っても凡人には勝てないでしょう。簡単に諦めたら、陛下に叱られると思いますが……無理ですよね」

 剣皇に出会えるのか、それとも生きているのか以前に、話を聞いている限りでは勝つのは不可能。落ちてくる隕石を拳一撃で破壊しろと言われているようなものだ。

「鍛錬をすることによって、陛下のような漢になることを目指してます」

 勝てる存在ではないからこそ崇拝されているだけに、剣皇のような人物になることを目指すのが、現実的だろう。

 憧れの人物のようになれるのも、幸せの形の一つには違いない。

「陛下とは、どのような方だったのですか?」

 樹としても、剣皇の人となりに興味が沸いてきた。

「ミサに参加すれば分かります。もしくは「剣皇のお言葉」をお読みになれば理解できると思います」

 聖書のようなものなのだろう。

 題名から察するのに言行禄のようなものだろう。剣皇は孔子などといった学者ではなく、戦士なのだから、日々の言動を集めたような内容になる。春秋や聖書のように、実際の剣皇の言行ではなく、後世の追記が混ざって、実際と創作の区別がつかなくなっているとは思われるが。

 樹は不思議に思った。

"今はいつだ?"

「どうなされた?」

「陛下のご尊顔などは飾られていないのですか?」

「陛下のご尊顔を拝するなど恐れ多いですよ。紋章が陛下代わりです」

 その紋章が横浜FCのアレだというのは、さておき。

 イスラム教と同じで、崇拝するあまりに偶像崇拝禁止みたいな形になっているのもあるのだろう。

「あの、すみません」

「何がですか」

「剣皇教に入信したいというわけではないのですが」

 宗教というのは同胞には寛容であるが、異教徒には極めて残虐である。同都市に二つ以上あるサッカークラブのサポーター関係を見れば明らかなわけで、殲滅されることはあっても、便宜を計ることはありえない。

「陛下はおっしゃられました「一京歩譲って、ホモが野外でオナニーにしていても見なかったことにしてやるが、その汚いソーセージを押し付けてきたら、殺せ」カワサキ様には、カワサキ様の信仰がおありなのでしょう。我々は止めはしません。ただ、労力には対価を支払ってもらうだけです」

 例えがおかしいとはいえ、剣皇教が強引な押しつけをしないことは理解できた。相容れない価値観だとしても否定はしないが、強制するのはやめろという内容を、わざとややこしい形にしているのは、ノンケにホモを強制する連中への怒りが表現できないからだろう。

 剣皇は、ガチガチなアルカイダやポリコレな自称インテリとは違って、樹と同じ日本人だから、宗教に寛容というより縛られたくない気持ちは理解できる。

 剣皇教というのは宗教というよりは、ジムみたいなものなのだろう。

「どんな鍛錬をするんですか?」

「それは見たほうが早いですね」


 青空に木霊する剣撃音。

 中庭に出ると、予想通りの光景が広がっていた。

「ちぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーぃぃっっっっっ!!」

 男が膝を曲げ、軍鶏のように低姿勢でありながらも木刀を上段に構えて疾走する。

 おおよそ100m先に離れた先にあるのは、土台に渡した一本の丸太。

「ぢぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぃぃぃぃぃっっっっっ!!」

 男はぶつかる直前で、脚を大地に食い込ませるほどに踏み込みながら、雄叫びを上げながら木刀を叩きつける。

 打撃音が爆ぜる。

 男は、右に左に切り替えながら木刀を叩きつけまくると、スタート位置に戻っては再度突撃を繰り返す。

 これを一人2人がやっているのならまだしも、数十人規模で打突を繰り返しているのは圧巻。突進する速度も、木刀を打ち付ける速度と回数もまちまちなので、整然としていないところが盛況を物語っている。

 小学校のグラウンドほどはある、中庭のほとんどが修練を積んでいる人々で埋まっているのだから、剣皇の人気ぶりが伺いしれるというものである。

 興味深いのは、彼らが手にしているのが、どう見ても木刀である。西洋的な風景の中で和風な木刀は違和感があるのだが、剣皇の紋章時点で、些細な問題でしかなくなっている。

"これは?"

 魔接石を使っての、テレパシー会話になっているのは叫び声がうるさすぎて、会話にならないからである。

"剣皇教の基本修練です。陛下が欠かすことなく行っていた鍛錬で、初心者は3年間、これだけを行って基礎体力を養ってもらうことになります"

"3年間ですか!?"

基礎を充分に積んでから、実践に移るのは理解できるが、3年間基礎だけというのは時間がかかりすぎる。

"カワサキさんは冒険者だから、早く覚えたいのは分かります。おすすめはしませんが速修コースもあります"

"確認しますが、料金は"

"それなりにはかかりますね。詳しくはボードを見てください"

礼拝堂のところに受付があったのを思い出す。本が積み上げられたテーブルの上に、文字が書かれたボードがあったが全然読めなかった。ハングルやブラーフミー文字が書かれているようなもので、数字でさえもアラビア文字ですらないので全然わからない。

 樹は苦笑いを浮かべた。

"すいません。オレ、ぜんぜん字が分からないので"

"ザワツミで、文盲の方は珍しくないですからね。二階に行きましょう"


 二階に上がると、落ち着いた雰囲気が戻ってきた。

 もちろん、中庭での修練が終わっているわけではないが、壁で空気が遮断されているので会話ができるぐらいには落ち着いている。

 雰囲気を一言でいうと教室。

 区切られた壁の向こうから、一人の大人とたくさんの子供たちが聞こえてくる。

「マルクくん「剣皇のお言葉」第8節第13章を朗読してください」

「はい「「一京歩譲って、ホモが野外でオナニーにしていても見なかったことにしてやるが、その汚いソーセージを押し付けてきたら、殺せ」です」

「この陛下の意味はなんでしょう。答えられる人はいませんか?」

「はい。せんせいーっ!!」

「趣味が違っていても認めるが、押し付けられたら、殺せーということでしょうか」

「マリちゃん、正解です。では、なぜ陛下はそうおっしゃったのでしょうか」

 部屋の向こう側は、小学校の授業であった。

 教えている内容が物騒なのは、ひとまず置いておくことにして。

「剣皇教では、学校も経営されているんですか?」

「ヴェストファーレンでは、聖帝陛下のご意思で、全国民に教育を施すことになっているので、我々も聖帝陛下にご協力しているのですよ。我々の陛下と、聖帝陛下は兄弟ですからね」

「それは素晴らしいです。月謝などは」

「最小限の教育であれば無料ですよ」

 基本無料というのであれば、課金額はいくらぐらいになるのか気になるのが、ソシャゲ脳といったところだろう。

 いずれにしても、今の樹は無一文なので剣皇教会で修練を受けるとしたら月謝を払わなければならない。誰かに立て替えてもらうという事になる。必要経費なのでいいとして、問題は出世払いの利息がいくらになるかということである。

「心配はいらないよ~」

 シフォンは言った。

「トイチでオッケーだから♪」

「余計に不安だ」

 もう一つ不安だというか、恥ずかしいのは、小学校からやり直すのはいいとしても、いい年した青年が子供たちと混ざるという点である。羞恥プレイに近い。見方を変えれば、ロリコンには天国といえば天国なのかも知れないが。

「さっき、ヴェストファーレンの全国民は教育を受ける機会があるとは言ってますが、現実には受けきれていないというのが実情です」

 世の中には建前と現実がある。建前は綺麗なものであるが、建前通りに物事が進めば、誰も泣かない。

「少年少女ではなく、カワサキさんと同じ年代の方々も通ってますので、恥ずかしがることはないですよ」

 少し意味合いが違うような気がしないでもないが、定時制のようなものだと思えば、樹としては納得できる。

 教室から、先生と生徒たちの声が聞こえてきた。

「せんせー。陛下の「自分の好みを全人類の意思だと思いあがるな。死ね」とおっしゃってました。どういう意味なんですか?」

「そうですね。皆さん、陛下のお顔を描いたとしましょう。陛下は何色だと思いますか?」

「きいろーっ」

「しろーっ」

「くろーっ」

「にじいろだと思います」

「樹は、剣皇は何色だと思う? 私は樹と同じ色だと思うんだけど」

「俺は水色かな」

 剣皇に対して、不遜すぎるのはともかく、この先生の授業内容がワイルドずきる。肌の色をネタにするのは日本でも厳しい。アメリカやヨーロッパでは間違いなく首になっている。

「では、アレンくん。陛下は何色だと思いますか?」

「黒だとおもいまーす」

「スミレちゃんは」

「わたしは赤です」

「では、アレンくんが陛下は黒だと思っていることはいいことにしましょう。でも、陛下は黒だとスミレちゃんに押し付けるのは絶対にダメです」

「どうしてですか~」

「それは、アレン君の好みであって、全人類の意思でもなんでもないからです。陛下の色を決めていいのは陛下だけ。許しも何も得ていないのに陛下の意思を代弁していると思いこみ強制するのは、陛下がもっとも嫌うこと、直々に粛清されて当然でしょう。みなさんも正義の押しつけには注意しましょう」

 

 剣皇教会の一角に休憩所があり、それなりの人々でにぎわっている。椅子と机だけではなく、ちょっとしたカフェにもなっていた。

 コンクリンから一通りの説明を受けた後で、2人は休憩所で休んでいた。

 日本なら、木のコップに注がれたコーヒーの水面に、樹は見入ってしまっていた。

「どうしたの? 顔が重いんだけど」

 シフォンが樹の不調を感じ取ったようである。

「いや、オレ。無一文だからさ」

 コーヒーは有料である。

 日本円が通用しないのだから、現在の樹は一文無しである。つまり、このコーヒーはシフォンにおごってもらったものである。

「私のおごりだって言ってるのに。樹は楽観的なのか心配性なのか、わからないなぁ」

「悪い。でも、借金が積みあがってくるのは、いい気はしないだろ」

「それも…そうかも。師匠なら平気で踏み倒すところなんだけど」

「ショーンさんなら、あそこにいる」

「えっ?」

 調子に乗っていたシフォンの顔色が、一気に死者のような色合いになるのが面白かった。

「いや、冗談」

「ひっどいよぉ。すっごく焦っちゃったじゃない。本当に本当に本当に怖がらせないでよ」

 シフォンが地獄の閻魔から有罪判決を聞かされたようになっていたから、ショーンの恐ろしさが伺いしれる。実際、昨日はシフォンが先走って窮地に陥ったことから、ショーンにアイアンクローを食らっていた。充分に痛くもあるが、あの程度はまだ慈悲なのだろう。

「ごめん。オレが悪かった」

「わかればよろしい」

 樹も、冒険者として活動すればショーンのしごきを受ける可能性が高いので他人事ではない。

「お金について気にしなくてもいいよ。私と樹は仲間じゃない。昨日、私や師匠を脅していたのはなんだったの?」

 昨日は冷静に考えれば、どうかしていた。

 自転車旅のつもりが、異世界に飛ばされたことでテンションが高くなっていたのだろう。そうだとしか思えない。普段の樹がアレなら色々な意味で痛すぎた。

「了解したよ。独り立ちができるまで、ヒモやらせてもらうんでよろしく」

「いいよー。お返しが楽しみだねー」

 無一文でも、当分の間はツケで生活できそうなので、生活費のことは考えないことにした。もちろん、働かざるもの食うべからずなのだが、樹にはいつものことだった。

「ズ、じゃなかったポラリスはどうしているんだろう」

 樹の当面の活動内容が決まって余裕が生まれると、ズラトのことが気になる。

「ポラリスちゃんは今頃、シエラ姉のおもちゃ、もといシゴかれているだろうね」

「アクィラさんとシエラさんの手伝いをする事になるんだと思うんだけど、どんなこと?」

「野犬亭は冒険者ギルドだけど、料理屋でもあるんだ。どっちかといえばそっちが本業? ポラリスちゃん可愛いもんね~」

 説明になっていないような気がしないでもないが、それだけで樹には理解できた。

 野犬亭で地獄が生まれている様が、容易に想像できる。

「アクィラさんは堅実的な感じはするけど、シエラさんは……」

「可愛いものすっごく大好き。初めて会った時、さんざんおもちゃにされたっけな~」

 シフォンの果てしなく遠いまなざしが、シエラから初めて受けた仕打ちの凄まじさを物語る。

「今はポラリスに会いたくて仕方がないんだろ?」

「そうそう。シエラ姉がポラリスちゃんをどんな姿にしてるのか、すっごく楽しみなんだぁ。かわいいだろな~」

 この堕乙女が、と樹は内心で突っ込みつつも、頬がひとりでに緩んでしまうのを実感する。

「できれば、ポラリスと役割代えてほしかったというのはある」

「イツキがメイド服着るの?」

 状況を想像させられる。

 気持ち悪くなった。

 ものすごく気持ち悪くなった。

「殴っていい?」

「殴られたくないけど、ごめん」

 シフォンも悶絶していた。

 衝撃が収まったところで、樹は口を開いた。

「実は飲食店で働いた経験があるんだ」

「嘘!?」

 この話をすると他人には感嘆されるが、シフォンも例外ではない。

「もちろん料理を作っていた訳ではないけど、自転車を買うためにウェイターなどのバイトをしていたんだ」

「ポラリスちゃんって売ってたの!???」

「売ってねーわ!!」

 ズラトがどっかの店先の軒先で大量に並んでいるところを想像させられて、樹は気持ち悪くなる。仮に、そういうことが現実にあったら大きなお友達たちが大歓喜、日本は世界一幸福な国になっていただろう。

「残念」

「残念がるな」

 ちなみに、パラトルーパー・プロは税抜きで13万円。決して安い値段ではない。

「でも、ウェイターできるなんてすごいね」

「まあね」

 ウェイターよりも、キッツイ仕事もこなしてきた。

 旅に出るのも金がかかるので、高校時代はバイトに明け暮れていた。学業よもバイトが優先だったので、よく大学に一発で合格できたなと思うが、結果として高校生活がさみしいのか充実していたのか、分からないことになってしまった。

「ウェイターの経験があるのなら即戦力になるのに、残念だね」

「残念だよな」

 役割としては、樹が野犬亭の仕事にせいをだして、ズラトが鍛錬に向かうのがベストかも知れないが、樹はプロに変形はできない。

「この後どうする? 鍛錬するなら付き合うけど」

 樹は現実に引き戻される。

 無一文という負債を返さないといけない都合、樹は強くならなければいけない。そのため、実は休憩室でのんびりしている余裕はない。

「………」

「剣皇様もおっしゃってたよ「今できないものが、明日できるわけがない」って」

 剣皇も夏休みの宿題は、夏休み最終日に片づける派だったのだろう。

「鍛錬をしなくてはいけないのは分かっているんだけど、その前に、この街を一通り把握しておきたいんだ」

 鍛錬を始める前に、新しい居場所となるカラパという都市を理解しておきたかった。

 本来は路銀に全然余裕があるので、働く必要はなかった。もっとも、自転車を漕いでいるので体力の消耗度は労働と変わらないが。

「把握しておきたいといっているけど、実は遊びたい、だよね」

「まあね」

 都市を一通り見て回りたいというのはあるが、要は遊びたいという事実には変わらないので苦笑するしかない。

「よう。シフォンの嬢ちゃんに、イツキといったか」

 休憩所に入ってきた、屈強な男たちのうちの一人に声をかけられる。

 話しかけてきた男を見るシフォンのまなざしが、冷やかなのは気のせいではないだろう。

「こんにちは。ダルトンさん」

 カルパに入る前に、検問で賄賂を要求してきた衛兵の隊長であるダルトンであった。

 経緯から、シフォンの態度は冷やかであるが、ダルトンは人好きのする笑顔を浮かべている。昨日の一件がなければ普通にいい人のように見える。

「こんにちは」

「イツキは異国から来たと言っていたが、シフォンと一緒に剣皇教会に来たという事は、イツキもマーストのとこの冒険者になるということか」

「はい」

「あのマーストの手下になるのか。冒険者はどこかしらのギルドに所属するのが決まりだとはいえ、もうちっと優しいところを選んだほうがいいぞ」

 ショーンを侮辱していると聞こえなくもないのだが、ダルトンに侮りや侮蔑している様子はなく、弟子であるシフォンも怒るどころか、冷や汗を搔いているので、どれだけ鬼畜ぶりが知れ渡っているんだよと樹は不安になる。

「ご忠告痛み入りますが、できれば入城の時に言ってほしかったですね」

「なかなかいうじゃないか。イツキも剣皇教会に修練に来たんだろ」

「はい」

「よかったら、修練を見てやってもいいぜ」

「ありがとうございます」

「じゃあな」

 樹が答えたところで、奥からダルトンを呼ぶ声をしたのでダルトンは2人の前から移動する。


 ダルトンが仲間の元に移動して、談笑を始めたところでシフォンが立ち上がった。

「行こっか。イツキ」



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