第13話 休暇 episode 靖治and水崎
秋葉原駅での戦闘後、基地に帰投したS部隊の面々は数日後に司令室に呼び出された。水を操る悪戯者の身柄を捕らえた後、基地司令部から休暇と夏期に強化合宿をするように命じられた。基地司令から直接伝えられるため10人は司令室に入った。
「何か司令室って緊張するね」
「確かに!何かオーラというか厳格な雰囲気があるよね!」
「水崎、杏。休暇や強化合宿が楽しみなのはわかるが司令の前ではしゃぎすぎて怒られないように気を付けろよ?」
「分かってるよ~」
靖治はワクワクしながらしている2人に注意した後に【司令室】と掲げられた扉の前に立ち息を一つ吐いて扉をノックした。
「失礼します!S部隊コードネーム《S-1》、結城靖治以下9人到着いたしました!」
「入りたまえ」
「失礼します」
司令とは何度も通信を取り合ってはいるがいざ対面すると靖治でも非常に緊張する。基地司令の長野毅は1990年~2004年までの14年間、英雄S部隊の一員として活躍した。入隊当初から厳格なオーラがあり、抜群な能力操作と身体能力を誇り部隊の中でも群を抜いていた。しかし、年齢を重ねていくと体に負担がかかったことにより引退を決断し7年間A部隊の名古屋基地副司令を歴任後、現在S部隊の司令を勤めている。そのため長野司令は非常に厳しいことで有名であるため手に汗をかきながら司令の話を聞いていた。
「立っているところ悪いが椅子に腰をかけたまえ」
「お気遣い感謝します。それで・・・本日司令から何か御用でしょうか?」
「何だ?私がお前たちを呼んではいけないのか?」
「いえいえ!そんなことはありません!ご用件というのは何でしょうか?」
長野司令はコホンと言いながら靖治たちに話す用件を説明した。
「うむ。では君たちへの用件を話すことにしよう。秋葉原での任務後に話した通り、君たちには休暇と強化合宿を与える。しかしこれは遊びではないことを十分注意せよ。君たちの行動は我々が厳しくチェックしているからな」
「強化合宿は分かりましたが休暇というのはどういうことをすれば良いのでしょう?」
「そう難しく考える必要はない。これからくじ引きで男女ペアを決め、自由にしてもらう。強化合宿とは違い遊ぶことは可能だ。是非とも羽を伸ばしてもらいたい」
「それは大変ありがたいのですが休暇中に悪戯者が出現した場合A部隊が対処するとおっしゃっていましたが大丈夫なのでしょうか?」
「安心せよ。確かにA部隊だけでは心配かもしれないが彼らも彼らでS部隊を目指している者たちだ。それに、休暇は交互に行うから君たちも行くぞ?」
「そう・・・でしたか!」
「何か不満か?君たちはS部隊として民間人の命を守る使命がある。うかうかと遊んでいると信頼を無くすしA部隊の者たちに実力で追い越されるぞ?それなりの自覚を持って1週間の休暇に励みたまえ」
1週間の休暇を与えられたがS部隊の英雄として節度ある休暇が求められる。要するに社会の模範になる行動をしなければならないため下手な振る舞いは許されないのである。
「了解しました!我々一同、素晴らしい休暇にして見せます!」
「うむ。それではペアを決めるとしよう」
その後司令室内で休暇で一緒に行動するペアの組み合わせを決めた。以下が各メンバーのペアの組み合わせである。
靖治・水崎 森一・杏 京太・萌 孝・さゆ 彩葉・直昭という組み合わせになった。靖治・水崎の順番から休暇を過ごしていき、司令独自が定めた採点方式で評価される。この採点方式には主に身だしなみ、コミュニケーション能力、判断力、協力等が求められる。それ以外にも細かい採点はあるものの大きく分ければこの4つが評価される。
「以上だ。明日から休暇が始まる。悪戯者への対処などの不安はあるかもしれないが君たちは目の前の物事に集中したまえ。では靖治と水崎は休暇を楽しむように。くれぐれも風紀を乱すことのないように!それが分かったら靖治、隊長を降りてもらうぞ?良いな?」
「「はい!」」
「それと靖治と水崎以外のお前たちは決して休暇の邪魔をしてはいけない。備考も禁止だ。良いな?」
「「「「「「「「了解です!」」」」」」」」
このようにして司令から伝達された?
そして翌日、靖治と水崎は某夢の国へ足を運んだ。
「お待たせ靖治、えっと・・・どうかな?」
「似合うよ水崎。とても可愛い」
「本当!?ありがとう!」
「(笑顔の水崎は本当に可愛いなぁ・・・)」
水崎は学生気分を味わいたいがために制服で行こうと言い出したため靖治も水崎も制服である。とはいっても制服姿の水崎を見るのはあまり無いため非常に新鮮である。英雄育成学校では私服と制服選択可能だがほとんどの生徒が制服である。
そして靖治は水崎の可愛さに目を奪われながらも某夢の国の中へと入っていった。すると丁度昼のパレードが開催されていたため見ることにした。
パレードの乗り物に乗っていたキャラクター達が手を振ると近くにいた子供たちもとても喜んでいる表情で手を振っていた。水崎も同様に手を振ったり写真を撮ったりして童心に帰ったかのように楽しんでいた。水崎が楽しいと俺も楽しくなってきた。
しばらく歩くと小腹が空いてきたため喫茶店みたいな店舗へと入っていった。
「靖治、ここで軽くご飯にしない?」
「そうだなぁここにするか」
すると中に入ると少々普段の喫茶店とは違う雰囲気であった。客のほとんどが男女であったのだ。
「いらっしゃいませ!現在当店では【某夢の国学生カップル限定フェア】を実施中です!限定フェアの料理を食べていただきますとご褒美がありますよ!いかがです!?」
「ねぇ靖治、私たちカップルだって~」
「そう見えてるらしいな。それと俺は耳が弱いから普通に話そう。あ、ここで食べていきます」
「(靖治って耳が弱いんだ・・・可愛いな)」
「カップル2名様入りました~どうぞこちらにお掛けください!こちらお飲み物となっています!注文が決まり次第お呼びください!」
「わかりました」
どれにしようかと迷っているとかなりお腹が空いてきたためカルボナーラを頼んだ。水崎も同じものを頼んだ。そして料理到着後、食事を楽しみお会計をしたのち店を出た。
「ありがとうございました~またのご来店お待ちしております~」
店員ににこやかな笑顔で見送られながら再び各所を巡った。休憩した後にジェットコースターやメリーゴーランドに乗り込み、水崎と自由に楽しんだ。靖治は女の子とどこかへ出かけることがあまりなかったが楽しむことが出来た。そして夕方から夜になってくるとイルミネーションが付けられた状態でのパレードの行進があることによる人の混雑が出てきたため水崎と靖治は手を繋いで離れないようにした。
「人多いね。でも結構きれいだね」
「そうだね。もう夜だけどどうしよっか」
「う~ん・・・残り6日休暇あるし・・・いろんな所行こうよ!アニメの聖地だったり野球見に行ったりゲームしたりいろんなことしよ!」
「おぉ!それ良いな!休暇楽しもうぜ!」
「うん!」
このようにして初日の休暇内容を終え、その後も靖治と水崎は2日目に2人の好きな野球観戦、3日目に水崎が好きなアニメの聖地巡礼、4日目は靖治が好きなプロ野球ゲームの大会参加、5日目は2人で家で料理対決、6日目は秋葉原のアニメイトで買い物、最終日には日帰りキャンプをするなど2人の時間を存分に使って楽しんだ。
靖治と水崎の休暇が終了し2人は司令室に呼び出された。
「失礼します」
「お。来たか。1週間の休暇は楽しめたか?」
「はい!靖治と遊べて楽しかったです!」
「そうか。靖治の方はどうかな?」
「俺もすごく一緒にいてとても楽しかったです!水崎の笑顔を見ると自然とこっちも笑顔になってきますね」
靖治の言葉に水崎は頬を赤くしていた。頬を赤くしている顔も可愛いと思った。
「この7日間、君たちの行動等を見させてもらったが・・・素晴らしいな。誰がどう見ても羨ましく思うだろうな。以上の事とこの前教えた判断基準を加味して君たちの休暇評価は100点満点中95点だ。次は満点目指して頑張りたまえ」
「「はい!」」
司令室を退室後、靖治と水崎は自室へと戻っていった。戻る前に2人はこのように話していた。
「7日間ありがとうな!また時間があれば遊ぶか?」
「もちろん!靖治のこともっともっと知りたいし・・・それに・・・」
「それに?」
「ううん!何でもないよ!それじゃ、これからも任務頑張ろうね!」
「あぁ!」
これは靖治にとっても水崎にとっても2人の距離が更に縮まった瞬間である。この1週間で靖治と水崎の信頼や友情そして愛情は一段と大きくなったに違いない。
次回10月28日投稿予定




