第12話 コードネーム《S-10》 file 梶川さゆ
私の名前は梶川さゆ。英雄の(ヒーロー)S部隊でコードネーム《S-10》。
私の能力は位置追跡。この能力は対象の悪戯者の位置情報を脳内で分析しあらゆる場所も突き止め逃れることは不可能という能力である。位置追跡は利便性に長けておりこの能力を持っている者は非常に貴重である。能力の使用機会は主に悪戯者が戦闘中に逃亡した場合に用いられる。前回の水道橋駅、前々回の銀行強盗の件では使う機会がなかった。そろそろ自分の能力を最大限活かした使い方をしてみたいと私は思っている。
「さゆ、最近の能力の状況はどうだ?今メンバー全員に能力点検をしてもらってるんだけど何か異常とかある?」
「今のところはないです隊長!位置追跡、今日も完璧です!」
「そうか!問題なくて安心したよ。それじゃ」
月に一回、英雄S部隊では能力点検が実施される。この能力点検の目的は各メンバーが持っている能力が正常に機能しないもしくは何らかの異常が無いかをチェックする必要があるため隊長の靖治が考案したものである。普段からあまり使う機会が少ない私の能力には異常などは無く安心した。しかし、油断は禁物であるため注意は決して怠らないようにする。
一応能力点検を実施し異常が無いかを確認したその時、悪戯者の出現を報せる情報が入った。内容を司令部から聞く前に位置追跡を用いて出現場所を確認した。
「隊長!悪戯者の出現場所判明しました!」
「そうか!どこだ!?」
「悪戯者の出現場所は秋葉原駅前です!」
「了解!すぐに向かうぞ!」
「はい!」
その後、司令部から追加の悪戯者の情報を受け取り、現場となる秋葉原駅前へと向かった。今回出現した悪戯者の特徴は主に卓越した身体能力と膨大な水力魔法を用いた攻撃である。戦闘中に逃げ出す可能性があるため万全の準備を整えて現場へ急行した。前回軽傷を負った森一は問題なく回復したため彼も出動することになった。
道中、司令部から新たな情報が入った。
『S部隊司令部より諸君らへ悪戯者に関する新たな情報をA部隊の調査員から伝達があったため報告を行う。目標は現在数名の人質を取り、水を用いて身柄を拘束している。速やかな解放が求められる。また、水の強固な結界を築いており我々の攻撃を妨害し逃走を試みようとしている。あらゆる手段を用いて悪戯者の行動を封じ込め!』
「了解!」
その後、悪戯者が出現したという秋葉原駅前へ到着した。現場には規制が敷かれておりA部隊の隊員が警備していた。
「S部隊の皆さんお待ちしておりました!A部隊現場調査長官の宮東です!目標の悪戯者はあちらです。水結界の奥に人質を水の塊で拘束しています。すぐに解放しなければ人質の命が危ないです」
「分かりました。さゆ、悪戯者と人質の位置分かるか?」
「もちろん。・・・現在目標の悪戯者と人質は水結界奥の改札付近で拘束中。水結界の破壊を実行しなければ到達できません」
「了解。森一、能力使えるか?俺は完全防備で守備を固めとく」
「任せとけ!能力『能力妨害第1級-能力無効-!』」
森一の能力によって秋葉原駅を覆っていた水の結界が崩壊した。崩壊時に大量の水が溢れ出たため駅周辺は水浸しとなった。しかし、改札に行くと悪戯者と人質はいなかった。私は再度能力を使用し、行方を追った。
「隊長!悪戯者と人質を1番線ホームにいることが分かりました!」
「ナイスだ、さゆ!みんな行くぞ!」
今日は私の能力はかなり生かされている。しかし、目標が逃げるというのはかなり厄介である。逃げられる前に捕まえときたいのが本望である。
10人は1番線のホームに向かい悪戯者の姿を探した。探していると悪戯者と5名の人質が水の固まりに縛られていて苦しそうにしていた。
「さぁどうする・・・森一、お前の能力の第2級使えるか?」
「あぁもちろんさ。能力『能力妨害』第2級-能力完全無効-!」
森一の第2級の能力の発動により悪戯者が人質に縛り付けていた水の塊を破壊し、森一の能力に取り込み再度その能力を目標に対して使用した。使用後、水の塊に拘束された悪戯者は投降するかと思われたが抜群の身体能力を生かして逃亡を試みた。しかし、私の能力からは逃れられない。どこまでも私は目標を追い続けるのだから。
「逃亡中の悪戯者、京浜東北線の路線から東京駅方面へ逃走中!早急に追いましょう!」
「サンキューさゆ!京太、速度加減で俺たちの足を速くしてくれ!」
「もちろんさ!行くぞ!能力『速度加減』第1級-超特急-!さぁ追いかけよう!」
京太の能力により私たちの脚力は自動車以上に速くなった。そのためすぐに東京駅に到着し悪戯者の行方を追った。そして東京駅八重洲北口にて目標の悪戯者の身柄を拘束することに成功し任務完了となった。
「司令部へ。目標の確保に成功。負傷者ゼロ」
『了解。任務ご苦労であった。近々我々は君たちには休暇と夏期合宿にいってもらいたいと思う。そこで君たちの能力をさらにパワーアップしてもらいたい』
「なるほど・・・ですが夏期合宿中に悪戯者が」
『と言うと思ったよ。念のため我々はA部隊の中から選りすぐりのメンバーで構成された特殊部隊を設置し出現に備えてもらっている。安心して休暇と合宿に励みたまえ。それと合宿期間は能力の使用は認めるがあくまでも訓練の一環だからな。そこは覚えておくように』
「分かりました!この10人で更なる高みを目指したいと思います!」
「うむ。今日はしっかり休みたまえ」
「「「「「「「「「「はい!」」」」」」」」」」
その後、S部隊の面々は基地へと戻っていった。
「今日は助かったよさゆ。さゆの能力が無ければ今頃取り逃して一般の人に危険が及んでいたかもしれない。サンキューな!それと・・・隊長だからといって敬語じゃなくていいぞ?」
「分かった!休暇も合宿も全力で頑張ろう!」
「おー!」
このようにして私の一日は終わった。誰かの役に立てるということがこんなにも喜ばしいことだと思わなかった。次いつ役に立てるかは分からないが万全の準備で臨んでいこうと思う。まずは強化合宿先で海があれば水着を買いに杏や水崎たちと行こうかと思う。
第1章終了、次回第2章強化合宿編10月24日投稿予定




