CLⅢ ⅥⅩ NEHIJAMUSARAK (烏丸事変 ⅩⅥ )
「なんだよテメェ!?魔法が………効かねぇ!?剣で魔法を斬るとか……マジかよテメェ………」
「だったら〜!〈自滅暗示〉!!」
剣で斬れる魔法ではなく、脳に直接作用する魔法。
「魔王ッ!!」
神造神剣がベルフェゴールのために駆けつけたが、その頃にはもう遅かった。
ゼフィロスは瀕死の重傷だ。
死ぬのは時間の問題だろうが、厄介なのはアウルスだ。
「………〈Ⅰ・聖槍〉」
飛び出したその聖槍の矛先は、アウルスではなくベルフェゴールへ向いた。
「魔王!なんのつもりだ⁉︎」
ベルフェゴールの付近に亜空間への入り口を生成し、聖槍を逃がそうとするが聖槍が迂回してベルフェゴールへ突撃してしまう。
「生物兵器……俺は……もういー……医者の女も……もう助からねー…………」
ベルフェゴールは神造神剣に最期の言葉を残す。
「アウルスを………殺せ………そして………サタンを………他のヤローも守ってやれ……………」
「死ぬな!小僧のことを思うならお前も生き延びろ!魔王!」
今はもう、生物兵器ではないとツッコむのはやめてベルフェゴールの話を聞く。
「それは………無理な話じゃねーか?………医者の女が………死んだんだ…………
治療なんて………今更できやしねーよ…………サタンがいれば話は別なんだろーな…………あいつの術式は、なんでもありだろ?………………」
「だったら!俺が今すぐにでも小僧を読んできてやる!だから死ぬな!」
神造神剣はいつになく必死にベルフェゴールに呼びかける。
魔王。世には恐れられているが、マモンもベルフェゴールも決して私欲のために力を振るってはない。
誰かのために、何かのために全力で力を使う人たちだった。
魔王の試練では一緒に共闘した相棒のような間柄だ。
サタンしかまともに接した者のいない神造神剣にはとても少ない仲間だ。
それを失うのは、あまりにも勿体無い。
「やめろ………助かる保証もねーし………それに、テメーもわかってんじゃねーのか?…………今サタンを呼べば…………破壊神はハヤトを瞬殺できちまう…………同郷なんだ…………同志なんだ…………あいつをもサタンが失えば…………」
日本という国で過ごした過去、〈蠍部隊〉に復讐を誓う仲間、〈憤怒〉の師弟…………いろんな繋がりがあるハヤトをサタンは後輩を可愛がるような目で見ており、大事にしている。
確かにサタンが確実にベルフェゴールを救える保証はない。
だがこればかりは間違いない。
「小僧は………怒るぞ」
「あーわかってる…………そーだろーな…………わりーな…………代わりに謝っといてくれよ………」
段々、ベルフェゴールの声も小さくなっている。
「………ッ‼︎」
魔法を発動される前にアウルスを殺す。
今の神造神剣はベルフェゴールと話しているため確実に油断されている。
その隙を狙い、思いっきり首からベルフェゴールの剣で切り裂く。
「勝った…………か……………」
「あぁ。もうここに敵はいない。俺も得意ではないがここで回復魔法を…………」
そう言って神造神剣が手を伸ばすが、
「やめろ…………もうそれじゃ…………間に合わねーぐらい…………重症なのは……………わかってる…………
レイのとこ…………加せーしてやれ……………」
「だが………」
神造神剣の言葉を遮り、ベルフェゴールは願った。
「オメーは………勝てよ…………じゃあな。相棒。」
その言葉と共にベルフェゴールは光のように消え、息を引き取った。




