CⅩⅩⅩⅩ Ⅲ NEHIJAMUSARAK (烏丸事変 Ⅲ )
神の駒がないというレイの発言が本当なら、〈豚〉、〈狐〉、〈蛇〉、〈獅子〉は邪神の術式(もしくはその劣化版)を扱えると見ても問題はない。
「みんな!魔獣の腹の中に、神の駒の珠が埋められてるかもしれない!
〈豚〉の腹から出てる瘴気がもし〈余憤の禍根〉のものと同じならベルゼブブの能力……毒を扱ってくるかもしれない!」
通信で全チームに情報を共有するが、現状どこを切ったらトドメを刺せてかつ瘴気を出さずに済むかなんて誰も分からない。
「どこを攻撃していいかわからない以上、むやみに攻撃するのは避けた方が良いが瘴気を理由に攻撃を控えるのはやめろ!
そもそもその瘴気が神の駒によるものかもわからない!」
サタンの指示もあり、ひとまず方向性は定まった。
むやみやたらに攻撃をするのではなく、最低限討伐に必要な攻撃のみをする。
術式を発動できるのかは不明だが最大限警戒をする。
「天使!!下がっていろ!」
神造神剣の攻撃が〈豚〉に大きなダメージを与え、〈豚〉はもう立てない状態になった。
しかし安心するには早すぎた。
宙を浮いて上からの攻撃をしていた玄武が突然、地面に墜落するように倒れた。
「玄武君!?」
「天使!!亀に近づくな!」
玄武が扱っていた玄い触手は豚と同じ、濃い赤に変色していた。
甲羅の色も、まだ完全には変色していないがかなり赤黒く、血のような色になりつつある。
「これって……まさか………」
「あぁ。こいつらが扱うのはただの邪神の術式じゃなさそうだな。
術式よりも強い、術式を超えた………〈真奥〉とでも言おうか………何も口にしていない亀を苦しめているならば能力はベルゼブブの本来の術式よりも高い。」
ベルゼブブの能力は、「"食材に"毒を混ぜる」能力だ。
それを超える「毒を放つ」能力となればそれは本当に神造神剣の言う〈真奥〉というものになるのだろう。
ベルゼブブの術式を超えるもの、それはおそらくレイから奪われた珠にあるのではないか。
「これは………まずいな」




