愛とは?
ある日、庭に座り込む、リナを見つけた。
基本的に好きに研究させている。
報告の義務があるが、基本的に干渉はしないようにしている。
「リナ?なにかの研究をしているの?遊んでいるだけ?」
そう、私が聞くと、リナが持っていたあるものを私に見せてきた。
「虫が死んだあとの観察をしているの。」
「どうして?」
思ったことをそのまま聞いてみた。
「私の魔術、死んだあとに使えるのか気になって。」
死というもの忌避感がないのだろうか。種族の違い、まずまずの価値観の違いをひしひしと感じる。
実験材料としてみるのはいい、死自体を軽んじないでほしい。
でもそのことを伝えても、本当の意味でわかってくれないと思う。
どうすればいいだろうか、そう思っていると、あることを思いつく。
「リナ、少し見てほしい事があるの。」
「どうしたの、ばあや。」
そう言いながら、死骸をそっと渡してもらった。
渡してもらった死骸を、地面に埋めて、祈る。
「ばあや、何をしているの?」
「死んだ生き物は、魂となり、神様のところへ行くの。悪い子だったら、神様のところに行けなくて、悪魔に魂を食べられてしまうというお話があるの。だからこそ、死んだ生き物がしっかり神様のところへ行けるようにお祈りをする、そしてお墓を作る。理解は難しいからしなくていいの、形だけでも、死というものに触れたときは、お墓を作って、神様のところへ行けるようにお祈りしてあげてね。」
形だけでも、真似してくれると嬉しいのだけど。
そう思いながら、リナの返答を待つ。
「わかった、ばあや。一緒に・・・お祈り?しよ。」
「わかってくれて嬉しいわ。」
そこから、二人で虫の墓をたて、お祈りをした。
◆◇◆◇
「このトカゲが飼いたい。」
おそらく生まれたばかりのトカゲを持ってきた。
今後のことを考えると、動物を飼うのはいいのではないだろうか。
「飼いたいの?」
そう聞くと、リナは笑みを浮かべた。
「このトカゲさんが飼いたい。」
「わかった。許可はするけど約束してほしいことがあるの。」
「何?」
「生き物の命を扱うということは責任があるの。私があなたのことを大好きなのと、同じように飼う生き物たちも大好きになってあげてね?」
「?.........うん、できるだけやってみる。」
よくわかってなさそうだが、まあいいだろう。
ペット......
最近のあの子の実験を手伝うことも少なくなってきたし、一人で本を読む時間が多くなった。
少しだけさみしいので、猫でも街に出てもらってこようか。
「猫を街でもらってきたわ。かわいがってあげて。」
そう言いながら、街でもらってきた茶色と白の猫を見せた。
にゃ〜と鳴き、警戒心もなくリナに近づく猫を見て、仲良くやっていけそうだなと思った。
先にリナが森で捕まえてきたトカゲとも仲良くやっているようだし、いい兆しだ。
家族というか、つながりを意識し始めてくれた。
少しずつでも、小さい頃から教えてきたことが実を結び始めていて、喜ばしいことだ。
「リナあなたは魔女という種族の名がある。かくいう私は魔女ではなく人間なのだけど、人間というのも種族の名よね?だからあなたは魔女ではなくリナ、私のことを人間ではなくばあやと呼ぶように、名前がいるんじゃないかしら。だから名前をつけて上げて?」
「わかった。」
「じゃあ、ジェイルとちー。」
「かわいい名前ね。」
可愛く笑ったリナを見て、少し大きくなっている気がした。
こういうとき、子育てをしている実感がある。
◆◇◆◇
リナは最近、私の小説を読むようになった。
物語なんて興味も示さなかったのに、
「ばあや、この子はどうして、主人公の女の子を連れて、王都を出たの?なんで?」
今では、こんな質問をしてくれるようになった。
「リナ、それは、愛ね。」
「愛?それは何?」
「この子みたいに王子様が来てくれたらわかるかもしれないわ?ふふっ」
そう、少しでも、興味を持ってくれると、嬉しい。
人と人のつながりの温かさを感じてほしい。きっといい方向に成長できているはずだから。




