17
俺と失踪した大学生は、近くにある古い喫茶店で今までの状況を話し合っていた。
「それで、俺はあの場所に立っていたんだ」
「なるほど……」
何か知っていそうな大学生に、今までのことを俺は覚えている限り話す。
「やっぱりあの神社と、今回の君の失踪事件は関係しているのか……」
「そうです。たぶん、あなたの部下を殺したのも奴らだと思います」
「彼らは裏で何をしているんだ」
「それは、私の父に聞けばわかると思います」
「君の父親に?」
「はい」
失踪した大学生は、確信があるかのように堂々と俺に頷いてみせる。俺は半信半疑ながらも、彼を信じてみることにする。
今までの状況を覚えている限り話した俺と大学生は、すぐに喫茶店を出て、その偽物の父親がいるという失踪した大学生の実家へ向かった。
途中で拾ったタクシーを降り、実家の前のインターホンを押す。しかし、家の中から反応はない。
「いないのか?」
すると突然、失踪した大学生は走り出した。
ガラガラと、玄関の引き戸を開け、靴のまま中に入っていく。後を追った俺は、中で恐ろしい物を見てしまった。
父親が、蛇のようにくねくねと、縦に長く伸びていた。
「離れて!!」
急に叫ぶ失踪した大学生に俺は外へ出る。失踪した大学生は、両手を組んで、出した左右の人差し指をぴったりくっつける。
「アーヴィルバヴァ!」
よくわからない言葉を叫ぶ。
瞬間、縦に長く伸びていたものがパッと戻り、元の父親の姿になった。
「おい!」
そのまま倒れる父親に、失踪した大学生は声をかけながら抱きとめる。見ると、父親の口の右端から、真っ赤な、一筋の血が流れている。
「おい! しっかりしろ! おい! だめだ……くそっ」
失踪した大学生は、抱きとめた父親を左右に軽く何回か揺する。しかし、父親からは反応がなく、そのまま父親を床に下ろす。
俺は、近寄ってその父親をよく見ようとした。顔は白く、両眼を閉じ、動かなくなっている。
「くそ……先回りしやがって……」
周りをうろうろしながら、失踪した大学生は顔を歪めぶつぶつ呟いている。俺は、どうしたらいいか考えた。
そして、あることが思い浮かんだ。
「そういや、社会人の女性が失踪していたな……」
思わず、俺は呟く。
「なに!?」
急に、失踪した大学生は大声を上げる。
「それ、どういうことですか!」
「そういや、言い忘れていたか……もう一人、君が失踪した後、社会人の女性があの場所で失踪したんだよ」
「それって……」
失踪した大学生の顔が青ざめて見える。
「刑事さん……行こう! あの神社へ!」
俺の右腕を掴み、失踪した大学生は出ていこうとする。
「待て! それより気になったんだが、君の父親が偽物だったとすると、本物は今どこにいるんだ」
「そんなこと今はどうでもいい! あの神社へ行かないと!」
俺の右腕を引っ張っている失踪した大学生は、なぜだか焦っていた。いったい何があるんだ。
俺と失踪した大学生は、再びあの神社へ向かった。




