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俺は早速、S区のあの十字路に訪れていた。
やはり、あの場所に何かあると思っていた。
十字路の真ん中に立ち、再び看板を見る。
「いったい何に注意するっていうんだ……」
「俺にだよ……」
背後から声がし、後ろを振り向く。
そこに、あのフードの男が立っている。男の両眼の焦点は、相変わらず左右に物凄く離れている。
「何だお前っ……」
フードの男の左手に、きらりと光る何かが見えた。瞬間、男は俺に左手を振り上げた。
「ぐっ……!」
とっさに両腕でガードをし、俺は後ろに尻持ちをつく。俺の左腕の袖が切り裂かれ、真っ赤な血の線が切り裂かれた隙間から見える。
「……死ね!」
フートの男はそのまま、俺にナイフを振り下ろす。俺は、動けず固まっていた。
「やばい……」
瞬間、目の前でありえないことが起こっていた。
何者かが、フードの男を取り押さえ、ナイフを落とし、フードの男を後ろ手にして、地面に押さえ込んでいた。
「……」
男は、無言のままフードの男を抑えている。
「嘘だろ……」
俺は思わず小さく呟く。
そこにいたのは、失踪していたあの大学生だった。
「……大丈夫ですか?」
失踪していた大学生は、じたばたするフードの男を抑え、俺に尋ねてくる。俺は困惑しながら、失踪していた大学生に頷く。
「あ、ああ……」
すると、じたばたしていたフードの男は静かになった。
俺は立ち上がり、失踪していた大学生に尋ねる。
「君は、ヒロム君なのか……いったい、今までどうしていたんだ」
「僕はちょっと、身を隠していたんですよ。でも、あなたのことをちゃんと見てましたよ……」
「お父さんが心配している。帰ってあげてくれ……」
「いや、いいんです……」
失踪していた大学生は立ち上がる。そして俺に答える。
「あの父親は、本当の父親じゃないんです」
「いったいどういうことだ……」
「父親は、すり替わっているんですよ」
俺は、困惑していた。彼は何を言っているんだ。
「あれは、俺の親父の代わりなんです……奴らがすり替えたんですよ」
「奴ら?」
瞬間、ずっと地面にうつぶせで倒れていたフートの男が目の前から消えた。俺は目の前で起こった出来事にさらに困惑した。
「ここももうそろそろですね……いったん違う場所で話しましょう」
失踪した大学生は、俺にこの場所から離れるよう提案してくる。状況を理解できない俺は、とりあえず失踪していた大学生の言うことを聞くことにした。
「わかった。とりあえずここを離れよう」
俺と大学生は、その場を後にした。




