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俺は、その政治家に接触を試みることにした。
その議員の秘書に連絡を入れ、その日のスケジュールの予定を取る。
あくまで、”今騒がれている男子大学生失踪事件に関しての任意聴取”として。
そして、それを許可された俺は、ある高級ホテルの一室に、向かうことになっていた。
私服姿で高級ホテルの一室に向かい、ドアの両端にいる、屈強なSPの人間たちに会釈をする。ドアを開け、シルク製の白い大きなソファに腰かけている政治家の男と対峙する。
「先生、今回は大変不躾なお願いにも関らずお会いいただきありがとうございます。実は、最近起こったある男子大学生失踪事件について二、三お尋ねしたいことがありまして……」
「聞いてるよ」
「……あの、この子なんですが……」
俺は、失踪した男子大学生の写真を見せた。
「うん? 見たことないな……この子がどうした」
「その子が突然、失踪しまして……失踪する前に、”ある神社”を訪れていたんですが……」
「”ある神社”?」
「はい……先生もご存じかと思います。○○神社というところです……」
すると、政治家の男の顔は、あからさまに妙な表情に変わった。
「わしは知らんぞ! 何も! あの神社のことは何も知らん!」
完全に、狼狽している。
「……でも、多額の奉納金を神社になされていますよね?」
「いやあれは……わしにとって大事な神社だから……わしは何もやましいことなどしとらんぞ!」
目に見えるほど狼狽している。こんなに狼狽するのはさすがにおかしい。神社を使って裏金を隠蔽していたとしても、政治家ならこんなに狼狽するはずはない。いったいあの神社に何があるんだ。
「お前さん、この件を調べようと思っているんならやめといたほうがいい! 一つ忠告しておく……手を引け!」
何を言い出すかと思えば政治家の男は、俺に何かを恐れるように忠告し始めた。俺は、その政治家の男にさらに質問しようとする。
「いったい、先生は何をお知りなんですか? なぜそんなに何かを恐れているんですか」
「すまん……もう帰ってくれ。この件には関わりたくないんだ。わしは今大事な時期なんだ。頼む、帰ってくれ」
そういうと、俺に向かい政治家の男は深々と頭を下げる。俺は、その姿に唖然とする。
「……わかりました。もう尋ねることはしません。でももし、何か事件について話したいことがあるなら話してください。私たちもできることなら協力しますから……」
そう言って、俺は政治家の男がいる高級ホテルの一室から出ていく。
本署に戻っていく際中、俺は今回の事件が、思っていたよりも相当やばいのではないかと思うようになっていた。
あの恐れ方、異常だ。




