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2022年2月28日

 今日は恒例の温泉の日。目的地は九重町の生竜温泉七福だ。その前の朝飯兼昼飯の腹ごしらえは、中津市耶馬渓町の旬菜館の天雲龍の絶品幕の内弁当。旬彩館店内模様替えしてテーブルを外に出していた。いつもの如く、森深耶馬渓線沿いの新栄堂河野菓子店でそば饅頭を四個買って、店の駐車場で食っていたら店主のおばはんが出て来て、庭から湧く名水で入れたお茶を飲ませてくれ、立ったまま長話。


 生竜温泉七福。消毒中とのことで半露天風呂の5番には入れなかった。残念。15時には小倉に帰り着いた。葛原ファミマでコーヒータイム。


 16時頃、先ずきよのちゃんがやって来たのだが、顔を両手で覆って泣いているように見える。餌を入れているポリバケツの前に佇む。

『変やな。きよのちゃんほんとに泣いとるんか。日頃気丈に見えるきよのちゃんやが、まだ12歳の小学生やからさもありなん』と寄って行かざるを得ない。

 両手で顔を隠しているきよのちゃんに、「泣いとんか?どうしたんか?あいちゃんと喧嘩でもしたんか?」と訊いてやると、言い出しの言葉はマスクのせいか、あまりよく聞き取れなかったが、「かなえちゃんと一緒にあいちゃんちに行きよったん……、かなえちゃんうちよりあいちゃんの方が好きやって…うちと居たくないんやって……」

「あいちゃんとかなえちゃんは今、どこに居るんか?」

「あいちゃんち」

「こっちに来るんか?」

「来るとは思うけど…」

「まぁ三人グループっていうんは中々難しいところはあるやろな。昨日あいちゃんがきよのちゃんとが大の仲良しとか言うてかなえちゃんハブしよったやないか。今度はその反対か…」

 きよのちゃん途端、顔を上げて、「うそぴょ〜んじゃ!」

「あっちゃ〜、やられたぁ!」と大袈裟に嘆くふりの俺。

 でもきよのちゃん、俺に嘘泣きしてくれるとは…。若干の違和感を感じない訳でもないが、こうまで出来るほど俺と親しくなったということの証明ではないのか。それに、かわいい小学生の女の子の嘘泣き、初めて眼前で見せてくれたきよのちゃんには感謝。小説のネタと肥やしになる。  

 かわいい女の子の泣き姿。慰めるため、つい頭撫で撫でしてやろうかと思ってしまった。危ない!危ない!墓穴を掘るところだった。


 でもやられたままでも悔しい。ここは一つ意趣返しを。

「きよのちゃんご免。俺謝らないかんことがあるんじゃ。あいちゃんときよのちゃんで練り込んだ餌、俺の不注意でポリバケツの蓋開けとったら入り込んで食われてしもうた」

「えっ!中に入って。嘘、そんなこと出来るの?」

「出来たごたる。俺が気付いたときステとアムアムしか居らんやったけんあいつらやねぇやろうか」と俺は大真面目な顔。

 きよのちゃん、「ステとアムアムが?」

 俺はしてやったりと、昨日二人がめっちゃ気に入っていた俺の落ちの言葉を使う、「うそぴょ〜んじゃ」

「もう猫じい!」

「仕返し成功!」


 きよのちゃん、駐車場に近寄って来ただんごを愛で出した。あいちゃんとかなえちゃんもやって来て、「あいちゃんごめん。こねくり回しとった餌、ポリバケツ開けたまま目離しとった隙に食われてしもうた」

 かなえちゃん、「えっ!中に入ってぇ?」

 俺の、「そうのごたる」で、疑問が返って来なかったのでこれ以上話を進めるのは止めた。


 三人、勝手口前に集まった。あいちゃん、新しく開けた猫缶の生餌を二つの紙皿に分けた。ステファニー、愛想が悪い。

 きよのちゃん、「もうステは無視!無視!」

 あいちゃん、この「ブスファニー!」

「あいちゃん、ステがすり寄ってきても絶対撫でちゃだめだよ」ときよのちゃん。

 きよのちゃん、「アムアムがかわいい!あの鳴き声聞いて虜になっちゃった」とブラスティックのスプーンで餌を少量やる。あいちゃんときよのちゃんの餌のやり方、ほんとに少ない。あれでは猫は食った気がしないだろうが、彼女たちには彼女たちなりのやり方があるんだろうから注文はつけない。

 昨日、あいちゃんときよのちゃんは5時前に帰った。俺がポリバケツを整理していると、ステファニーとアムアムが寄って来て目で訴える。『お腹減ったぁ。あいちゃんときよのちょんがくれた餌全く足らないよぉ』と。

 俺が二人が練り捲った紙皿と缶に入った生餌を与えると、二・三分で食い尽くしてしまった。それが上記の出来事の真相だ。


 嫁が洗濯していて排水が溢れて、少量、コンクリート地面を流れる。あいちゃん踵を濡らしたようだ。

「あ〜、濡れたぁ」と嘆きながら、スプーンで掬った生餌を指で押して固める。

「ほら、こうするとアムアムが嘗め取るのに時間が掛かって撫でれるよ」

 きよのちょん、アムアムの背中を撫でて、「毛並みが気持ち良い。かなえちゃんも撫ででみたら」と誘われて手を伸ばす。

「やったぁ!撫でれたぁ」

「でもお前らよぉ、今までステだけ猫っかわいがりしてよぉ、アムアム除け者にしとって今さら調子良過ぎるんやねぇか?」

 きよのちょん、「アムアム性格アンバーに似てるんやない。それに靴下も」

 靴下というのは足首の部分だけ白いことだ。アムアム、前足が洗濯の排水に浸かって濡れたらプルプルと振って雫が掛かる。「アムアムかわいい!」

 きよのちょんが、「ステを見てぇ。羨ましそうにこっち見てるよ」

 その後、ステファニーがあいちゃんの膝の上に乗ってきても、きよのちょん、「無視よ。撫でたりしちゃ絶対だめだよ」と、釘を刺し捲る。


 今日は息子が休みで車を置いて遊びに行った。そのため、コの字型に車を止めていた。三人、まぁ楽しく猫と戯れていたので、俺は車に乗ってアメブロの「体重管理」の中の「あいちゃんかなえちゃんきよのちゃん」を更新していた。

 あいちゃんが、「ねぇ猫じい…」

『おうきたな』と俺。

「ラムーに連れてってぇ」

 後部座席の左側があいちゃん、右側がきよのちょん、助手席がかなえちゃんと、これは三人で決めた座席なんだと。

 きよのちゃん、「ねぇ聞いて。今日うち猫じいに嘘泣きのどっきり仕掛けて成功したよ。猫じいやられたぁって」

 俺は運転席に乗り込みながら、「まだ小学生やしさもありなんと思うやねぇか」

「うちかわいい女の子やしぃ」ときよのちゃん。

「今日は月曜日だから百円たこ焼き買えるかも」とあいちゃん。

「買えると思うぜ。確か平日に時間待ちはねぇ」と俺。


 車を出して住宅街から大通りに出るタイミングで、かなえちゃんの、「毛玉(きよのちゃんのこと)泣き真似が上手いもんね」に、「ほんとか?」と俺。

 あいちゃん、「猫じいほんとかってマリア(きよのちゃんこと)の嘘泣きにやられたくせに」

 ラムーへはいつもの沼緑町の高台の住宅地を下りていくルートで。ラムーの広い駐車場の左端にあるコインランドリー前に停めた。

「おう着いたぞ。行ってこいや」

 あいちゃん、「ありがと猫じい!」

 あいちゃんときよのちゃん、レジ袋を下げている。ということは百円たこ焼き買えたんやな。かなえちゃんは買ってないみたいだ。

「かなえちゃんは何かったん?」と訊く俺に、「クロワッサンたい焼き」

 これもたこ焼きと同じ百円だ。


 車を走らせながら、「かなえちゃんの家大きいんやってな」と俺。

 あいちゃん、「マングース飼ってたんだよ」

 きよのちゃん、「庭にプールもあるんだよ」

 俺は、「ほんとかのう?」と訝る。

 きよのちゃん、「今度猫じいかなえちゃんの家に案内してあげるよ」

「いやそこまでせんでええわ。不審者と疑われるけな」


 家に着いて、バックで停めずにビワの木に向かって頭から突っ込んだ。

「きよのちゃんマヨネーズは?」

「20円って高い。買えない」

「分かった。俺が家から持って来たるわ」

「ありがとう猫じい」ときよのちゃん。

 持ってきたマヨネーズに、「ピュアセレクトマヨネーズ、これうちも使ってる」

「嫁がこれを買うんじゃ」


 きよのちゃんが猫を追って車をちょっと降りた。

 首を回して見てみると、結構マヨネーズを掛けている、「かなえちゃん見てん」と俺。

 かなえちゃん、「うわぁ、毛玉いっぱい掛けてる。あいちゃんは掛けんの?」

「うちはいらな〜い」

 きよのちゃんも車に戻ってきてたこ焼きを美味しそうにパクつき始める。

「猫じいの記憶が抜群って知っとるぅ?」あいちゃん

「さてうちたちが初めて猫じいの家に行ったのはいつでしょう?」

「分からない」ときよのちゃん。

 俺が、「12月5日だよ。俺はかなえちゃんが言ったこともほとんど覚えとるしぃ」

 かなえちゃん、「それ怖い!」

「何でかかなえちゃん。別にボイスレコーダーオンにしとる訳じゃねぇし。俺の頭の中にインプットされるだけやし」

 かなえちゃん、「うち居なかったよね。そのときのこと聞きたい」

 俺、「息子と二人で猫に餌やりよったんじゃ。そんときあいちゃんときよのちゃんが物欲しそうな羨ましそうな目で俺らを見つめとんのに気付いたんじゃ。仕方ない話し掛けたるかって近寄って行ったんじゃ」

 あいちゃん、「マリアと一緒にモールに行くところやったんねよ。そしてうちステファニーに一目惚れしたん」

「触りたいって聞いたらあいちゃんが嬉しそうに『うん』って。俺がステファニー抱いて近寄ったら暴れて逃げやがった。あいちゃん悲しそうやったな。ほいでステファニーに馴れさせるために俺の代わりに餌やりに来たらって提案したらあいちゃん、『うち絶対来るぅ』ってね」


 と、楽しい時間を過ごしているうちに、時刻は17時45分を過ぎていた。

「門限だからうち帰るね。毛玉は?」とかなえちゃん。

「うちも帰るよ」

 かなえちゃん、一足先に家路に就く。かなえちゃんの姿が住宅街の路地に消えて、あいちゃんときよのちゃん燥ぎだす。

「猫じい、もうちょっとしたらうちを家まで送ってぇ。歩いて帰ってるかなえちゃん驚かす」

 あいちゃん、「かなえちゃんああしていて歩くの早いから」

「じゃぁ猫じいレッツゴー!」とか、俺完全にこいつらの足にされてしまった感があるが、めっちゃかわいいから抗えない。

 あいちゃん、「うちは左側見とるけんマリアは右側ね」

 住宅街から大通りに出て左折、次の交差点を右折、あいちゃん、「マリアかなえちゃん居たぁ?」

「こっち側にはまだ見えな〜い」

 と、あいちゃん、「かなえちゃん居たぁ!」

 一旦車でかなえちゃんを抜く形にはなるが、二人、スモークフィルムを貼った窓ガラスを開けて、「かなえちゃんやっほ~」と叫びながら燥ぎ捲る。

『ほんとかわい過ぎるわ。こいつら』


 俺はかなえちゃんの直ぐ先で止まる。きよのちゃん、飛び出すように車を降りて、「うちのか〜ち(勝ち)」

 かなえちゃん、「もう毛玉!うちだけ歩かせて初めから車で送って貰うつもりやったんやね」

 車の中のあいちゃん、「マリア握手!」

 きよのちゃん、「じゃぁ猫じいまた明日ねぇ」


 俺の家についても直ぐには帰ろうとしないあいちゃん。婆さんの敷地にいる猫を愛でていた。すると、見たことのないハチワレ猫が近づいてくる。

 俺が、「シルバーか?」と呟くと、あいちゃん嬉しそうに、「あれはアンバー(あいちゃんのアパート周辺に住み着いている野良ちゃんで、カリカリ餌が好きでよく俺の家から持って帰っている。アンバー、まだ撫でさせてくれないとあいちゃん零しているが、めっちゃかわいがっている。アンバーの写真はこのテーマの初めの方、前書きに載せている)だよ」

「あれがアンバーか。初めて見たわ」

 あいちゃんが呼び掛ける、「アンバー」

 アンバー、あいちゃんの声を聞き分けたかように道路から一段高くなった婆さんの敷地の突端に近づいてくる。

 俺は、「こりゃアンバーの写真撮っとかなならんな」と、車からからスマホ持って来て三・四枚撮った。

 あいちゃん、「アンバー帰ろ」と優しく語り掛ける。

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