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2022年2月26日

 14時過ぎにまずきよのちゃんが姿を表したが、誰か探しているのか、走り抜けて、また戻って来た。きよのちゃん、「暑い!」と上着を脱いで壊れたレジャー椅子の上に置く。車を降りた俺も黒い防寒着を脱いでガードレールの後ろの枯れ枝捨て場に。

「朝は気温1度やったんやけどどんどん気温があがって14度や」と俺。

 その内、あいちゃんもやって来た。

 俺の、「きよのちゃんが俺の前二・三回通り過ぎたときてっきりあいちゃん探しよるんかいなって思うたんやが、だんご(茶トラのオス)やったんか」に、あいちゃん、「もううちじゃないの」と、ぶすっとするパフォーマンス。

「あいちゃんごめん。ここに来るのは分かってたけん行き違いになるの心配してた」ときよのちゃん。

 きよのちゃんお気に入りのだんご、中々姿を現さない。きよのちゃん、諦めず、住宅街を走り回って探している。

「だんご居ない。でもデブ猫茶々が居たぁ」

 この前俺にきよのちゃん、「猫じい名前もう茶々じゃないよ。おにぎりの『にぎり』だよ」


 あいちゃん、「うち今日はマリアと行きたいとこあるぅ。四つのプラン考えて来ましたぁ。第一は…で、第二は…で、第三は…で、第四は…で。マリア(きよのちゃんのこと)どれがいい?」

 きよのちゃん、それには答えず話を逸らす、「まずはだんごと遊びたい」

 きよのちゃん、再びだんごを探して回る。

 俺とあいちゃんの前にだんごがどこからか現れて寄って来た。

「だんご、おめぇどこに隠れとったんか」と俺。

 姿が見えないきよのちゃんに向かっての、俺の、「だんごが来たぞぉ」の呼び掛けに、向こうから走って来た。

「もうだんご探し回ったんやから」ときよのちゃん。


 あいちゃんは変わらずステファニーを愛でている。

「ステぇかわいいねぇ。うちはステが一番好きだよ〜」

 昨日は猫缶を開けてなかった。紙皿に載った二日前の猫缶の生餌は乾ききっている。きよのちゃん、ステを抱き捲る。あいちゃん、「新しい猫缶開けるよ」と二等分して、自分の分は紙皿に、きよのちゃんは缶のまま。

 暫くして、だんごとステファニー、俺らの前から姿を消した。きよのちゃん、「ステって暫くかわいがったら必ず愛想なくなってどっか行くよね」と不満顔。


 あいちゃんときよのちゃん、コンクリート地面に座って、「こんなに天気いいのにだれ〜もいない(猫がいない)」と暇をもて余し始めた。俺は立ったまま二人を見守る。

 その内、二人猫缶の餌を練りだす。きよのちゃんは缶の中でスプーンを使って。あいちゃんは直接手でこねくりだした。

「あいちゃん、きったねぇ。手についた匂い消えんのやないか?」と俺。

「大丈夫。紙石鹸あるし匂い消しの香水もあるよ。さてこれでうちの手についた匂いは消えるでしょうか?」

「まぁ香水があるんなら消えるんやねぇか」と俺。


 あいちゃん練った猫缶の生餌を粘土にして遊ぶ。

 きよのちゃん、「あいちゃん工作上手いんだよ」

 あいちゃん何度が顔を作って手で握り潰す。指の間から捻り出される生餌粘土に、俺、堪らず、「きったねぇ!」

 何でも知っていてませているような気もするが、この辺りはやはり小学生、かわいい。目を細くして見守る俺。

「あいちゃん手ぇ洗うか?」と訊く俺に、「うん」

 俺はバケツの古い水を溝に捨てて新しく汲んで来てやる。

 あいちゃん、「猫じい、うちのハンドバッグ開けてぇ」

「中から赤いポーチ出してぇ」

「そのなかに赤い紙石鹸があるぅ」って、「俺はあいちゃんの小間使いやな」と笑う。最後に車の中のティッシュを四枚引き出してあいちゃんに渡す、「猫じいありがとう!」

 手の匂いを嗅いだあいちゃん、「まだ臭~い」と香水をつけた。


 あいちゃん、俺に、「猫じいさて今日うち何時に起きたでしょう?」

「まさか朝の5時とか?」

「ブ、ブ〜、お昼の一時でした〜」

「あいちゃん、で昨日何時に寝たん?」

「1時でしたぁ」

「12時間か。休みなら普通の睡眠時間やな」

「でねぇ猫じい、うちまだ今日何も食べてない。トライアルに連れて行ってぇ」

「ラムーのたこ焼きやったら百円ぞ」

「やけど1時間待ちやしぃ」と気乗りしないあいちゃん。

「分かった。ならラムー行ってトライアル連れて行ってやるわ。であいちゃんいくら持っとん?」

「お母さんからお昼代で千円貰ったぁ」

「おうやったぁ。あいちゃんのおごりでラムーのたこ焼き食おうや」と俺。

 きよのちゃん、「さんせ〜」

 あいちゃん、「え〜と…間違いでした。うちが今持ってるのは100円でしたぁ」

「あいちゃんもう遅い。俺ときよのちゃんちゃんと聞いとるんやけん」


 ラムーへは、高速に沿って丘陵を上がり沼緑町の住宅街を下るいつものルート。あいちゃんが買ってきたのはスーパーラムーの激安海苔明太弁当。

「おう海苔弁当やな」

「300円しないんだよ。かなえちゃんに言ったら直ぐ買いに来そう」ときよのちゃん。あいちゃん、乗り込んで早速後部座席で食べだした。


 沼緑町の住宅街を抜けて高速の下の道に至る前、きよのちゃん、「うちあいちゃんと猫じいに聞きたいことかがあったん。夏祭り、ひまわり、スイカのうち夏を連想させるもの言ってみてぇ。猫じいは?」

「俺はスイカ」

「うちは夏祭り」とあいちゃん。

 きよのちゃん、「スイカを選んだ人は世界征服を夢見てるんやって。夏祭りを選んだ人は世界を旅したい人」

 あいちゃん、「当たってるぅ。インドには絶対行きたいけどその他韓国とかにも行ってみたいもん」

「あいちゃんのなりたい職業は何やったかいな?」と俺。

「うちは看護士」

「あっと思い出した。あいちゃんは四年生のときの発表で看護士になりたいって言ったんやったな。俺に世界征服願望があるってか。全く見当違いっていう訳じゃねえように思えるんは気のせいか?」

 きよのちゃん、「うちはひまわりを選んだけど運命の出会いの男の人を待ってるんだって」


 高速沿いの道をなだらかに下りながら、俺はしみじみと、「お前らの将来世界は平和であって欲しいのぉ。ウクライナもこげな平凡な日常やったやろうに何の前触れもなくキチガイ野郎が街中にミサイル打ち込んできやがったけんな。大勢の人が命失くした」

 あいちゃん、「ロシアやろ」

「ああそうや。これはウクライナだけの問題やねぇぞ。日本の北でもロシアと接しとる。突然ロシアがミサイル打ち込んできて攻めて来んとは限らん」

 きよのちゃん、「えっ!日本にもロシア攻めて来るの?」

「ないとは言えん。皇帝プーチンは気が狂っとるごたるしのぉ。日本、俺たちの言うこと聞かんなら武力で従わせてやるとか叫んでな。まぁ俺とか生きてもあと10年以内やろうがお前らの未来はまだ50年以上あるしな。心配で死のうにも死ねんわ」


 家に着いてからもあいちゃんは後部座席に座ってアイパットミニを弄っている。きよのちゃんは婆さんの敷地でだんごを愛でる。俺はアメブロの体重管理に二人のことを書き込んでいた。

 そこにあいちゃんのアイパットミニに電話が入る。

「あいか…あいかね」

「くにちゃん?」とあいちゃん。

 くにちゃん、「今何してんの?」

「友達と遊んでるよぉ」とあいちゃん。

 くにちゃん、「今三重県に居るの」

  あいちゃん、「みんなくにちゃん行方不明って言ってたよ」

「あいか、卒業式はいつ?」

「17日だよぉ」

「あいかお土産何がいい?ぬいぐるみ?」

「くにちゃん三重県?」

「まぁいいか。欲しいものがあったらラインしてね。じゃぁねぇあいか!」

 アイパットミニでの電話を切ったあいちゃん、「猫じいさてうちは誰と話してたでしょう?」

「あの声の若さやったらあいちゃんの叔母さんやな」

「ぴんぽ〜ん」

「お母さんの妹さんか?」

「パパの妹だよ。でも怖いときもあるんだよ。おじいちゃんの家でおばあちゃんが作った〇〇残したら、『あいか、おばあちゃんの作ったものが食えないの』って怒鳴られた」

 俺はにやっとして、「あいちゃん叔母さんの前だと俺と話すときと違って甘えん坊の話し方になるんやな」

 外に居たきよのちゃん、「うちの声もしかして入った?」

「大丈夫だよ」とあいちゃん。

 俺が、「あいちゃん友達と遊んどるって言いよったが、じじいと一緒に居るって言うたらくにちゃんびっくりするやろうな」と、にやつく俺に、「それ言うんだったらうちこう言うよ、『じいと遊んでやってるぅ』って」


「今日俺久しぶりに回転寿司食いに行ったんや。くら寿司。嫁と二人で2000円やった」

 あいちゃん、「えっ、安い」

「そうか?」

「うちの家族四人とお父さんの友達の五人でスシロー言って3万円払ったよ」

「何ち、3万!」

「兄ちゃんもお父さんも友達も底なしで食べるから。お父さんちょっと太ってる」

「あっちゃ〜、羨ましいなぁ。あいちゃんのお父さん太っ腹やな。もうこの辺で食うの止めろとか俺なら言っちまうわ」と俺。


 きよのちゃんとあいちゃん、戻ってきただんごを愛で捲る。俺も傍に座ってその様子を目を細めて眺める。

 あいちゃん、「だんご枕!」

「もうあいちゃん、そんなことしたらだんごがまた逃げるぅ。もううちもステに同じことするからね」


 あいちゃん、「買ったもの家に置いてくる」と一旦離れて、きよのちゃん、「あいちゃん帰った訳やないよね?」

「ちゃんと戻ってくるって言いよったぞ」と俺。

 続けてきよのちゃんに訊いてみる、「あいちゃんの今日やりたいことの四つのプラン、きよのちゃん乗り気やなかったけど?」

「うん。今日の今日じゃなくて前々から言ってて欲しかった」

『えっ、あいちゃん昨日俺の車の中で、「明日マリアと行きたいとこあるぅ」って言いよったぞ』と伝えようとが、止めた。

「きよのちゃんは自分の部屋ってあるん?」

「あるよ。かなえちゃんもかなえちゃんのお姉ちゃんも部屋あるよ」

「お姉ちゃんが広島行ったら部屋変わるってことあるん?」

「う〜ん、お姉ちゃんの部屋はうちの部屋より広いから欲しいのは欲しいけど今のままでいいや」

「そうやな。お姉ちゃんもちょくちょく帰ってくらやろうから慣れた部屋の方がいいやろうけな」


 戻ってきたあいちゃん、二人でもう一度だんごを撫でて、きよのちゃんの門限は18時だが、ちょっとだけ早めに俺の家を後にした、「じゃぁ猫じいまたね」

「おう!」

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