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097 エルフとの会合7

マイトが落ち着いたので、いったん戻ってもらい、エンシェントスリーの部族の民に話してもらうこととした。

その間に、エンシェントワンの部族の民が移動するということになったため、慌ててゲートを開きにリュージがエンシェントワンの族長屋敷へと出向くことになった。

族長屋敷になったのは警備のある場所だったからである。

リュージが魔族を発見したエンシェントワン族長代理のニナルゥの屋敷の応接室はリュージのエアープロテクションを付与したのでそこでもよかったのだが、一応、ここは応接室ということだったので、入りやすい族長屋敷の玄関先となったのだった。


「リュージ様、本当にこの肥沃な大地を頂戴してもよかったのですか?ここはどう考えてもエンシェント大陸のどこの土地よりも豊かです。魔素に満ち溢れています。ここならどのような作物でも育ち育むことができると思います。」


「住むために準備したのだから、もちろん住んで構わない。居住地区2ワールドと農耕地区2ワールドは区分を分けているが、それぞれの入り口は広くして重ねてあるから同一階層のように違和感なく使えるはずだ。魔族への警戒と安全圏を確保するのが目的だから、決着がついたら元に戻っても良いと思うぞ。」


「ありがとうございます、リュージ様。部族のものとはよく話し合うように致します。」


エンシェントワン部族の長、ルーベンスはリュージと会話しつつ部族の移動を見守っていた。

すると、設置していた監視の魔導具に反応があった。

警戒アラームがなったのだ。


ルーベンスが駆けつけ、リュージも一緒について行った。

魔族は既に、捉えられていた。

見ると見かけはエルフなのだが、肌が浅黒い。リュージは魔族に空間操作を応用した空間圧縮をかける。

ちょうど威圧と同じ効果が与えられる。

威圧は空間操作を利用した空間圧縮の一つと言えよう。

魔族は急に威圧を受けて、たまらなくなり、正体を現した。

魔族の正体は変化能力を有したインキュバスだった。


「ちくしょう、はなせー!なんだってんだよー!」


エルフの姿からインキュバスになったのだが、エルフの特徴である耳が少し変化しただけで、あとは浅黒いというだけだった。

インキュバスとエルフは種族的によく似ているようだった。


その一部始終を見ていたルーベンスが硬直していた。


「サヴォー、お前…お前は…インキュバスだったのか………。」


「ルーベンス様、すみません。正体を隠していました。まさかここで正体がバレるとは思いませんでした。ご迷惑をお掛けしました。」


捕らえられた魔族はルーベンスの知り合いらしい。


「知り合いなら、あっちのリビングで話してくれ。一応、俺のエアープロテクションを付与した拘束具をつけてもらう。これなら逃げ出してもさして動けないし、危害を加えることもできない。」


リュージはそういうと、ルーベンスとサヴォーをリビングに追いやった。


そうしている内に、エンシェントフォーの族長からの反応があった。

リュージはエンシェントフォーにパーソナルゲートを開いて向かった。

応接間でもよかったのだが、単純にエンシェントフォーに行ってみたかったのである。

ゲートの向こうでは、エンシェントフォーの民が大勢集まっていた。

リュージが急に転移してきたので、人々からは


「おおっー」

「はぅぁぁぁーーーー、美しい…。」

「神、エルフの古き神が降臨された……。」


リュージが転移した先は広くて高い壇上になっており、ちょうどエンシェントフォーの族長フィッチェンが演説を終えて、盛り上がっていたところだった。

そんな中での奇跡のようなタイミングのリュージの登場である。

壇上のリュージに一斉に注目が集まる。


リュージはとっさの機転で、スピーチをすることにした。


「エンシェントフォーの方々、俺はリュージ、こことは違う場所から来た。エルフ族の窮地を聞きつけ、俺は世界樹の枝葉の上に住む精霊神と話をつけた。エルフのこの地は間もなく回復する。だかしかし、魔族の脅威は去っていない。魔族は巧みに姿を隠してこのエンシェント大陸に侵攻しようとしている。この魔族をあぶり出すためにも、安心安全な場所に一旦移って頂きたい。移る先はこのようなところだ。」


リュージはエアースコープと凸レンズ自体を超拡大して、エンシェントフォーの民がいる空中に浮かべた。

さながら超巨大なスクリーンのようである。

その先に見えていたのは、エンシェントワンの人々がディメンションワールド各地に散っている様子だった。

また、右手に別のエアースコープを見せる。

こちらはワールドワンのコピーである実り豊かな畑のビジョンだった。


その見せているあいだにリュージは密かに精霊のトローラと打ち合わせをする。

流れ的にエルフの前で演説することになった。

今後を考えて、話をしておいて欲しいなどを簡単に話した。

このあたりの瞬発力はリュージならではである。


リュージはエンシェントフォーの民に語りかけた。


「エンシェントワンの民は一時、退避した。エンシェントフォーの民も、退避してもらいたい。その前に精霊神トローラにも登場頂こう。」


リュージはパーソナルゲートを開いて、世界樹の枝葉の上のトローラを呼んだ。

トローラはゲートをくぐって、出てきたが、まばゆいばかりの光を放っていたため、リュージがエアープロテクションで周りを覆って光を抑えた。


「えー、トローラです。世界樹の管理人をしています。」


トローラはかなりの大根だった。


「今後も精霊石とのパスをよろしくー♪」


それだけ言うと、パーソナルゲートから世界樹の枝葉の上に戻って行ってしまった。


残ったエンシェントフォーの民は


「はぅぉぉぉぉぉーーー!」

「ぁぁぁぁぁぁぁぁぉぁぅぁーーー!」

「えぇぇぇぇぇぇぇーーーー!」


などと言って、今見たものが、夢だったのか現実だったのかわからない様子だった。

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