095 エルフとの会合5
リュージとニナルゥは現れた大きな光輝くものが何者なのか、果たして会話が通じるものなのか、未知との遭遇にワクワクしていた。
妖精たちは凸レンズに興味があるのか、時折近寄ってはこちらを覗きこんでいる。
「どうやら、凸レンズに映ったニナルゥの目玉に興味深々のようだぞ。」
とリュージが話していると
「何者じゃー?」
大きく光輝くものは問いかけた。
「よかった。話は通じるようだ。いってくる。」
リュージはそういうと、世界樹の高い枝の上にあるエアースコープのある場所まで、凸レンズを外して移動した。
ニナルゥはどうしようもなかったので、しばらくあたふたしながら、そのままリュージがどうなるのか見ることになった。
光輝くものは、目の前の凸レンズに語りかけていたのだが、上から突然現れたエルフに変化したリュージに驚いていた。
「な、なっ、何者じゃ?」
「俺の名前はリュージだ。お前は?」
「わたくしの名前はトローラです。この世界樹の管理者です。何をしにここにこられたのです?ここは立ち入ってよい場所ではありません。早々に立ち去りなさい。」
そう言ってトローラは踵を返そうとした。
「待て!俺はいつでもここにくることができるぞ。目的は精霊石とのパスをつなぐことだ。ちょうどそこにある、パスと同じようにな。」
リュージが指差した先には小さな穴のようなものがいくつも空いており、世界樹の枝葉に向けてほぼ隣接していた。
同時にリュージは自分の通ってきたエアースコープの凸レンズを外したものを見せた。
「ほぉ、空間魔法使いですか。新たに持ってくるとはなかなかの資質、感心致しました。だが、ここに立ち入ることは禁止します。今、ここはたいへんな状況なのです。」
「世界樹が枯れかけているってことか?精霊石が失われているってことか?パスが繋がっていないものが多く出てきたことか?」
「なぜあなたがそのことを知っているのです。まさか、あなたがこのことをやっているのですか?」
「いや、全く逆だ。改善提案を持ってきた。精霊石ならほら、ここにもある。」
リュージは相手を安心させるために精霊石をイベントリから500個ほど取り出し置いた。
更にワールドワンやさっき作ったエアーフライングバイクとのパスをこことつなげた。
エアーフライングバイクは族長とその部下たちの分を合わせたら200台ぐらいにはなったはずなので、200の精霊石とのパスが繋がったことになる。
ここでよく見ると、そのパスからは細かな光輝くものが呼吸するように出ている。
「あなたは何者ですか?いきなりきて、あっと言う間に状況を変えてしまうなんて。おかげで取り敢えず助かりました。お礼を言います。しかし、どう言うことでしょう。ただの人族が世界樹の枝葉の世界に入ってくるなんて、前代未聞です。ここにこれるのも驚きですがそれ以上にこのパスが200以上、一気に繋がって活性化するなど、見たことありません。
本当にあなたは何者ですか?」
「人族のリュージだよ。魔力量は結構多いらしい。空間魔法使いでもある。まぁそれくらいのもんだ。」
「魔力量が多いのはみて取れました。鑑定大と看破のスキルのおかげです。見かけはエルフですが人族というのもわかりました。ですが、この状況を一変させた力はわかりません。困っていた状況も一瞬でわかったのもわかりません。」
「困った状況をわかったのは見ればわかった。なぜわかったかと言われれば、エルフ族も困っていたからだ。状況を把握して出した結論がさっき言ったことだ。要はパスがつながらなくなったことが原因だろう。だから解決するために、パスをつないだ。ほぼ解決だろ?」
そう言ってリュージは相手をみてニヤリと笑った。
周りでは妖精たちがクルクル回ったり、固まって飛び上がったりしている。
「どうぞこちらへ。」
世界樹の管理者トローラは態度が温和になり、リュージを世界樹の枝葉の奥へと案内した。
リュージはパスを適当に散らして、トローラの後をついていった。
ついていった先は、木のウロのような穴だった。腰掛けのようなものを勧められたのでリュージは座った。
「改めて申します。パスをつなげて頂きありがとうございます。世界樹はパスをつなげて返すということを繰り返して成長し生きています。外では精霊石と呼ばれる石があり、それは近くの魔力を極わずかに吸収します。時には100年以上経つと精霊が生まれると言われます。基本的には精霊石は近くに世界樹とのパスがあると世界樹と呼吸することになります。そうすることで世界樹の恩恵を精霊石のある各地へと運ぶことができます。精霊石はその土地を豊かにし、また呼吸をする事で魔力を微量吸い上げて世界樹に還元します。その営みはかなりの長い間繰り返されてきました。しかしながら、数年前からその循環がうまくいかず、精霊石とのパスも途切れ、ここに来て致命的な状況に陥っていました。そんな時が続いていてどうしたらいいのかという状況だったのです。」
リュージはこの存在に、非常に興味があったのでしばらく付き合うことにした。
ニナルゥはリュージとトローラがいなくなった場所に取り残され、途方にくれていた。




